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2016-03-07 平成28年予算特別委員会(第2号) 本文

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  1. 東京都議会 2016-03-07
    2016-03-07 平成28年予算特別委員会(第2号) 本文


    取得元: 東京都議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    午前十一時開議 ◯早坂委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。  これより付託議案の審査を行います。  第一号議案から第二十七号議案までを一括して議題といたします。  本案について理事者の説明を求めます。 ◯安藤副知事 平成二十八年度予算案のご審議をお願いするに当たりまして、その大綱をご説明申し上げます。  二十八年度予算案は、世界一の都市の実現に向けた取り組みを加速化、深化させ、力強く前進させる予算として位置づけ、第一に、東京都長期ビジョンが指し示す、二〇二〇年とその先の将来像の実現に向けて積極果敢な施策展開を図ること、第二に、自己改革の一層の推進と財政対応力の強化により、計画的、戦略的な政策展開を支え得る強固で弾力的な財政基盤を構築すること、以上の二点を基本として編成をいたしました。  予算の規模は、一般会計、特別会計及び公営企業会計の二十七会計を合わせました総額で、十三兆六千五百六十億円となっております。  まず、一般会計について申し上げます。  歳入歳出の総額は、七兆百十億円、前年度に比べ〇・八%の増となっております。  初めに、歳入の概要でございますが、都税収入は五兆二千八十三億円を計上し、前年度と比べ三・七%の増となっております。  都債は、将来世代の負担を考慮し、発行額を抑制しており、発行額は昨年度と比べて九百六十二億円の減となる三千五百三十三億円となっております。  次に、歳出の概要でございますが、主なものを順次申し上げますと、総務費につきましては千九百九十億円を計上し、帰宅困難者対策の充実などを図るとともに、旧立川政府倉庫を防災拠点として活用し、首都直下地震等への対応を初め、多摩地域の応急対応力の強化を図ってまいります。  スポーツ振興費については八百四十四億円を計上し、オリンピック・パラリンピックに向けた競技施設等の整備やリオデジャネイロ二〇一六大会を契機とした大会機運の醸成など、開催準備を加速させてまいります。  また、障害者スポーツの普及啓発や環境整備などの取り組みを積極的に進めていくとともに、これらに集中的、重点的に取り組むため、障害者スポーツ振興基金を創設いたします。  都市整備費についてでありますが、千五百五十九億円を計上し、木造住宅密集地域の不燃化、耐震化の集中的、重点的な展開や緊急輸送道路の機能確保などを着実に進めてまいります。  環境費については四百九十五億円を計上し、水素社会の実現に向けた取り組みとして、燃料電池自動車の導入促進などを推進してまいります。  福祉保健費については一兆千二百六十七億円を計上し、福祉先進都市の実現に向けて、保育サービスの拡充や保育人材の確保、育成、定着に向けた支援の充実、子供の居場所創設などによる子供の貧困解消に向けた取り組みなど、これらを進めてまいります。  また、高齢者の暮らしへの支援として、地域包括支援センターの機能強化や介護人材の確保、育成、定着に向けた総合的な支援を新たに実施いたします。  産業労働費についてでありますが、四千七百六十一億円を計上し、中小企業の医療機器産業への参入支援を推進するほか、起業、創業の促進や経営安定化支援の取り組みを進めてまいります。
     また、国際的な観光都市の実現のため、外国人旅行者受け入れ環境の充実や地方との連携による日本全体の魅力発信などを進めてまいります。  さらに、正規雇用化を促進する取り組みを支援するなど、安定的な雇用の実現を図るとともに、障害者の正規雇用化などに取り組む事業主に対して都独自の支援を行います。  土木費については五千八百六十億円を計上し、都市基盤の高度防災化に向けて、特定整備路線や調節池の整備などを推進してまいります。  また、舟運の活性化に向けて、ソフト、ハード両面からの取り組みを積極的に推進してまいります。  さらに、区部環状、多摩南北方向の道路整備等を引き続き進めるほか、外かく環状道路の整備や渋滞対策を推進してまいります。  このほかに、今回の予算案では、政策展開を支え得る強靭な財政基盤の構築に努めたところであります。  税収は五年連続で増加をいたしましたが、景気変動によるリスクなどを踏まえれば、強固な財政基盤の構築は極めて重要でございます。このため、事業評価などを通じて、複数局が一体となって関連事業の見直しを強化するなど、効率性や実効性を向上させる取り組みを徹底し、都の自己改革を一層推し進めました。  また、東京都長期ビジョンに掲げる政策などの着実な展開に必要な財源として基金を適切に活用する一方、将来にわたり安定的に施策を展開していくため、活用可能な基金の残高確保に努めるなど、今後の財政運営への備えを講じております。  以上が一般会計の概要でございます。  次に、特別会計でございますが、地方消費税清算会計や公債費会計など十五会計で、歳出総額は四兆四千五百三十九億円となっております。  次に、公営企業会計でございますが、十一会計で、支出総額は二兆千九百十一億円となっております。  その主なものとして、まず病院会計でありますが、千九百二十七億円を計上し、広尾病院の移転改築に向けた準備などを進めてまいります。  中央卸売市場会計については二千三十億円を計上し、豊洲市場の建設工事を進めるとともに、開場準備として市場業者の移転に向けた支援を行ってまいります。  高速電車事業会計については二千三百四億円を計上し、バリアフリー化や勝どき駅の大規模改良などを進めてまいります。  水道事業会計については四千六百六十一億円を計上し、浄水施設や送配水施設などの整備を進めてまいります。  下水道事業会計につきましては七千六百二十七億円を計上し、区部及び流域下水道の建設並びに改良などを進めてまいります。  以上、平成二十八年度予算案の概要についてご説明を申し上げました。よろしくご審議をお願い申し上げます。 ◯早坂委員長 説明は終わりました。  次に、資料要求について申し上げます。  ただいま議題となっております議案について、お手元配布のとおり、資料要求がありました。  朗読は省略いたします。      ─────────────    〔「平成二十八年予算特別委員会資料要求について」は本号末尾に掲載〕      ───────────── ◯早坂委員長 お諮りいたします。  本件は、いずれも委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯早坂委員長 異議なしと認めます。理事者においては速やかにご提出願います。  この際、議事の都合により、暫時休憩いたします。  なお、再開は午後一時の予定です。    午前十一時七分休憩      ━━━━━━━━━━    午後一時開議 ◯早坂委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  委員会の要求資料について申し上げます。  先ほど委員会として要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。  これより総括質疑を行います。  この際、一言申し上げます。  質疑に当たりましては、さきにご決定をいただいております委員会実施要領などに従いまして運営してまいります。委員の皆様方には、円滑かつ充実した審議が行われますよう、ご協力をお願いいたします。  なお、持ち時間につきましては、電光表示盤に残り時間を表示いたします。さらに、振鈴で五分前に一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせいたします。  この際、委員の皆様に申し上げます。  質疑に際しましては、持ち時間の範囲内で答弁まで行われるようご協力をお願いいたします。  次に、理事者に申し上げます。  答弁に際しましては、委員の質疑時間も限られておりますので、短時間で明快に答弁されるようお願いいたします。  なお、発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますようお願いいたします。  これより順次発言を許します。  田中たけし理事の発言を許します。 ◯田中(た)委員 ただいまより東京都議会自由民主党を代表し、総括質疑を行います。  これから行う質疑は、いうまでもなく知事から提案された平成二十八年度予算案に関してであり、議会での質疑後、議決を経て予算執行されます。これは、知事に予算編成権、提案権、予算執行権が与えられ、議会に議決権が与えられているからであり、これら権限のよりどころは、知事と議会を構成する議員がともに直接都民から選挙で選ばれていることにあります。ともに都民に対する責任を負っている立場にあり、二元代表制の根拠であります。  議会として都民に対する責任を果たすため、時には知事に対し厳しい指摘をすることもありますが、これは都民から負託を受けた者としての責務であり、都民福祉の向上に向けた決意、責任感のあらわれからであります。  ぜひ、知事には我々の指摘をしっかりと受けとめていただきたいと思います。これから全力で質疑を行いますので、よろしくお願いいたします。  舛添都政は、平成二十六年二月にスタートしたため、知事自身が予算編成から携わったのは平成二十七年度予算が初めてであります。そして、独自色を出した二十七年度予算の執行を受けての、この二十八年度予算案であります。  長期ビジョンの一年目となる平成二十七年は、将来の東京を見据え、多くの新たな施策に着手してきましたが、その流れを停滞させることなく、オリンピック・パラリンピックの成功はもちろんのこと、世界で一番の都市東京の実現のため邁進しなくてはなりません。その意味からも二十八年度予算は大変重要であります。  そこでまず、二十八年度予算について、知事はどういう考えで編成に当たったのか、二十七年度の取り組みも振り返りつつお伺いいたします。 ◯舛添知事 私は、一昨年の知事就任以来、この二年間、現場の声を聞き、都議会の皆様と議論を交わしながら、世界一の都市東京の実現に向け、全力で取り組んでまいりました。  こうした中で、今後の都政の羅針盤となります長期ビジョンを策定いたしまして、今、田中理事おっしゃったように、二十七年度は私が一から手がけた初の予算を糧にしまして、二〇二〇年とその先の明るい未来に向かって、さまざまな分野において政策のいわば芽を育んできた一年でございました。  ことしは、リオデジャネイロでオリンピック・パラリンピック競技大会が開催されまして、それが終わりますれば、東京は世界中のさらなる注目を集めることとなります。こういうときだからこそ、東京を世界に、そして未来に向かって大きく飛躍させるために、確固たる基盤を築くべきだと考えております。  こうした観点から、二十八年度予算は、ようやく芽吹き始めました政策の芽をさらに大きく伸ばしていきまして、都民生活の質の向上とともに、東京、ひいては日本全体の将来への投資という視点を強く意識しながら、積極果敢な予算を編成した次第でございます。 ◯田中(た)委員 知事は予算原案発表時に、これまで二年間いろいろと仕事をしてきた、後半の二年間でこういう政策が実るように、しっかりと今回の予算でその道をつけたと述べられました。まさに政策の種を大きく育て、都政を成長させる予算でなくてはなりません。  特に、答弁のとおり、二十八年度予算で重視した投資については、東京のみならず日本の将来を形づくる取り組みであり、重要な視点であります。  そこで、二十八年度の予算編成において、東京と日本全体の将来への投資という点にどのような考え方で力点を置いたのか、知事にお伺いをいたします。 ◯舛添知事 私は、二〇二〇年という年を、その後の東京の加速度的な発展を引き起こす大変革点としまして、東京から日本の再生を確かなものとしていきたいと考えております。  そのためには、従来の概念にあるようなハードの投資だけではなくて、ゆとりある成熟社会を実現させるための教育や環境、成長戦略など、ソフト事業も含めた幅広い意味での投資を今こそ行うべきだと考えております。  こうした考えのもと、二十八年度予算では、将来にわたり東京で安心して住み暮らせるように、都市の高度防災化などはもとより、世界で活躍できる人材の育成など、東京発展の礎をつくり上げるための投資にも重点的に財源を投入しております。  さらには、観光の一大産業化を初め、新たな富を生み出し、日本経済全体の成長を支える取り組みや豊かな環境を次の世代に引き継ぐ取り組みなども強化しております。  この予算を原動力に、あらゆる分野で将来に向けた取り組みを強力に推し進め、東京と日本全体の発展に全力を尽くしてまいります。 ◯田中(た)委員 将来への確かな投資がなければ、この先の成長はないと私も認識をしております。東京も人口減少が見込まれる中、今後あるべき姿を描き、その実現のため、時期を逸することなく、大胆に実行しなくてはなりません。  こうした投資の核になるものは長期ビジョンに掲げる事業であり、二十八年度予算で長期ビジョンの事業を一〇〇%予算化し、一兆二千五百四十八億円を計上しています。また、その総事業規模は二兆五千億円になるとも示しています。こうした予算の説明の仕方は、私自身、これまで見たことがありません。  そこで、今回の長期ビジョンの事業が東京と日本全体の成長にどうつながるのか、二兆五千億円という総事業規模を示した意味も含め、具体的にお伺いをいたします。 ◯長谷川財務局長 長期ビジョンに掲げる事業は、他の自治体や民間企業などと連携して実施することによりまして、その総事業規模は二兆五千億円と、都が投入する予算の約二倍にも及んでおります。  このように、都の施策が引き金となることで、他の自治体や民間企業の事業展開につながり、新たな需要や雇用が創出され、日本経済の好循環にも寄与いたします。  さらに、例えば、外国人旅行者のさらなる増加に向けた受け入れ環境の整備や中小企業の成長産業への参入支援などは、東京と日本に新たな富をもたらすこととなり、また、骨格幹線道路の整備や東京港の機能強化は、東京と日本の国際競争力の強化につながるなど、長期ビジョンの実現は、東京のみならず日本全体の成長にもつながるものと考えております。 ◯田中(た)委員 今回の予算は、都内の区市町村はもちろん、他の自治体、民間、さらには国との連携を十分意識したものであり、特に国の成長戦略とも方向性が一致するもので、GDP六百兆円の実現を目指す国の取り組みにも寄与するものと認識をしております。  今後も東京、そして日本全体の発展に向け、関係機関との連携を密にし、積極果敢に取り組んでいくべきと考えます。  今後の都政は、東京大会の準備だけでなく、やるべき課題は山積しております。東京大会を成功させ、その後もさらなる発展をし続けるためにも、人材や財源を集中的に投入し、その取り組みを加速させていくことが重要であります。  その意味では、知事が二十七年度にさまざまな基金を創設し、さらに二十八年度予算で我が党の要望を受け、新たに障害者スポーツ振興基金を設置することは、率直に評価したいと思っております。  そこで、都の施策を加速させるため、今回の予算において、基金を戦略的にどう活用していくのか、その意図も含め具体的にお伺いをいたします。 ◯長谷川財務局長 二〇二〇年大会を成功に導き、その先に確かなレガシーを残すためには、限られた期間で積極的に施策を推進する必要があり、そのためには、こうした取り組みを財源の面から支える集中的、重点的な取り組みを図る基金について、新たな積み立てや適切な取り崩しといった戦略的に活用を進めることが不可欠でございます。  具体的には、二十八年度予算におきまして、障害者スポーツ振興基金を創設し、二百億円の積み立てを行うほか、二十七年度の最終補正予算におきましては、都税の増収や不用額の精査などによる財源を活用いたしまして、喫緊の課題でございます高度防災都市づくりを集中的に行うために、防災街づくり基金に二千億円の積み増しを行っております。  一方で、耐震化や豪雨対策等で五百二十三億円、無電柱化や暑熱対策等で百五億円など、基金を積極的に取り崩し、財源に充てることで、各局が連携して今行うべき施策の重点的な予算化を図っております。 ◯田中(た)委員 増収局面においても、税収をやみくもに使い切ることなく、将来への備えを講じ、なすべきときにその財源を活用し、積極果敢に政策を展開する、まさにこれこそが責任ある財政運営であります。  また、基金を有効活用することで、各局が十分に連携し、政策目標の実現に向け施策を推進することも重要な視点であります。  今後も、知事のリーダーシップのもと、都庁一丸となって諸課題の解決に邁進することを期待いたします。  次いで、マイナス金利に関する質問を行います。  日本銀行は、平成二十五年四月に異次元緩和といわれる大規模な金融緩和政策を、二十六年十月には追加の緩和政策を行い、これを受けて市場金利は歴史的な低水準で推移しております。  さらに、日銀はことし一月に、二%の物価安定の目標をなるべく早期に実現するため、これまでの量的、質的緩和に加え、マイナス金利の導入を発表し、二月から実施しています。  この政策発表以降、市場金利は日銀の狙いどおり一段と下がり、大手銀行では定期預金金利も期間や金額にかかわらず大きく引き下げられました。  また、債券市場では、短期、中期国債はもとより、十年国債の利回りが二月九日には一時、史上初めてマイナス金利を記録しました。  マイナス金利政策は、物価安定目標の実現に向け、投資や消費の拡大を目指すものでありますが、現時点で資産運用に関しては難しい状況となっております。  そこで、日銀が導入したマイナス金利が、基金など都の公金管理に与える影響についてお伺いいたします。 ◯塚本会計管理局長 今回のマイナス金利政策により、預金や国債などの市場金利は過去最低水準まで大幅に低下しており、現在、金融機関等から情報の収集をしているところでございます。  都の公金管理運用は、元本の安全性の確保を最重要視し、預金と債券などで行っておりますが、現在、都が行う日々の預金入札では、金融機関の提示金利が大幅に低下し、入札の辞退率も増加しております。  また、債券についても、理事ご指摘のとおり、十年国債の金利までマイナスになるなど、運用が困難な状況であり、今後の運用利回りについては、市場金利低下の影響を大きく受けざるを得ないものとなっております。 ◯田中(た)委員 公金管理については、預金入札や運用収入への影響を受けざるを得ないとのことであります。  日銀は、マイナス金利の導入に当たり、物価安定の目標達成のため、今後必要な場合はさらに金利を引き下げるとの考えを示しています。  そこで、引き続き不透明な金融情勢が見込まれる中、都はどのように公金管理に取り組むのかお伺いいたします。 ◯塚本会計管理局長 平成二十五年に日銀が量的、質的金融緩和政策を導入して以降、継続的な低金利状態など経済、金融環境は大きく変化し、さらに現在、金融情勢は極めて不透明な状況となっております。  今後もその時々の情勢を見きわめながら、運用先の分散や金融機関の経営状況の注視などによりリスク管理に努め、引き続き公金管理の原則でございます安全性、流動性の確保に万全を期してまいります。 ◯田中(た)委員 今までに経験したことのない金融環境でありますが、引き続き金融情勢を見据えて、都民の貴重な財産である公金の管理に努めていただきたいと思います。  一方、資金調達の面である都債発行の観点からは、先日の一般質問におきまして我が党の神野議員が明らかにしたように、この低金利の市場環境において、都債は有利な条件で順調に発行できており、利払いの面で将来負担を抑制できるメリットがあるということであります。
     都債発行に関しては、この低金利の市場環境を十分に生かした、安定的かつ有利な資金調達となるよう求めておきます。  また、日銀の金融政策が中小企業に与える影響についても注視する必要があると認識をしております。  今回のマイナス金利により金融機関の収入が圧迫され、財政基盤の強くない地銀や信金、信組への影響が大きいと指摘する声もあり、中小企業への貸し出しに影響が出ないよう注視する必要があります。  中国経済の変調、原油価格の下落など、世界経済の先行きも不透明になっており、景気回復、経済の好循環に向けた歩みをとめてはならず、こうした状況だからこそ、都は中小企業への金融支援をしっかりと行うべきと考えますが、見解をお伺いいたします。 ◯山本産業労働局長 来年度の制度融資は、融資目標額を一兆七千五百億円に据えまして、中小企業の経営の下支えに加え、積極的な事業展開を後押しする観点から、充実した融資メニューを提供いたします。資金調達コストがかからないというメリットがある預託金を二千七百四十七億円計上いたしまして、地域の金融機関を中心に必要な預託を行ってまいります。  また、小規模事業者を中心に利用者への負担軽減を図るため、信用保証料の補助を行います。  これに加え、制度融資を補完する、地域の金融機関と連携した新保証つき融資制度の融資限度額を一千万円から二千五百万円に大幅に引き上げるほか、都独自のABL制度も含め、重層的な取り組みにより中小企業の資金繰り支援に万全を期してまいります。 ◯田中(た)委員 中小企業にできるだけ低い金利で円滑に資金を供給できるよう、制度面や財政面から引き続きの努力をお願いしたいと思います。  次に、入札契約制度について伺います。  予算は、執行されて初めて目的が達成されるため、計画的事業実施につながる工事発注時期の平準化は極めて重要と考えます。  昨年の第四回定例会の我が党代表質問において、都の工事の発注が特定の時期に集中している現状を取り上げ、平準化に向けた考え方を伺い、今後、庁内連携のもと、発注件数のピークを下げる数値目標を新たに設定するとの方針が示されました。  多数の工事の調整や年度単位での仕事の進め方という高い壁を超えて、平準化に取り組むことによって、集中期には時間外労働や休日出勤が増加し、端境期には稼働率が低くなるといった受注者の厳しい労働環境が改善されるだけでなく、年度末の道路工事の集中による渋滞が緩和されるなど、都民にも目に見える効果が期待されます。  そこで、工事発注時期の平準化に向け、具体的な数値目標と、その目標に向けどのように取り組むのかお伺いをいたします。 ◯長谷川財務局長 現在、都の工事発注件数は、十月から十二月の集中期と三月から五月の年度がわりのいわば端境期で約三倍の開きがございます。  このように、時期により大きな開きのございます発注件数を可能な限り平準化するため、庁内検討を踏まえ、三年後の平成三十年度を目途に、集中期と端境期の発注件数の比率を現在のおおむね半分に縮め、一・五倍程度とすることを目標としてまいります。  これによりまして、理事お話しのとおり、長期ビジョン等に掲げた事業を計画的かつ着実に実施しつつ、事業者側の技術者の育成、確保を含む受注環境の安定化を図ることで、都民生活を支える社会資本の持続的な整備につなげてまいります。  この全体目標の達成に向けましては、各局においてそれぞれの目標値を設定し、設計業務を含めた発注の前倒しや十二カ月未満の工事への債務負担行為の適用など、これまでの制度改革の成果を積極的に活用してまいります。 ◯田中(た)委員 特に数値目標を設定してまで取り組むのは、発注者責任を全うしようとする都の姿勢のあらわれであり、評価するべきと考えます。多くの困難はありますが、都全体の成果を期待しております。  次に、業務委託に関しお伺いいたします。  最低価格自動落札方式は、経済性ではすぐれている一方、一部には安値でたたき合う案件も見られ、品質や担い手の確保、さらには障害者雇用などの政策目的の実現を支援していく観点からは限界があります。  改正品確法の趣旨を踏まえると、品質やサービス向上の重要性は、公共工事だけでなく業務委託全般においても同じであり、これまでの総合評価方式拡大の取り組みについては評価しています。  特に印刷業は、デジタル化が進む情報化社会の中で、東京の地場産業として今なお貢献しています。また、その成果物は都民と都政をつなぐ重要な役割を担っており、印刷物の品質確保への取り組みが望まれます。  財務局では、印刷請負を対象として総合評価方式を唯一実施していますが、結果をどのように分析、評価し、今後の印刷請負における総合評価方式の拡大に生かしていくのかお伺いをいたします。 ◯長谷川財務局長 改正品確法の理念でございます品質の確保は、行政サービスを支える業務委託においても重要でございます。  印刷請負におきまして、財務局ではこの二年間、契約情報などを掲載する東京都公報を対象に、総合評価方式を実施してまいりましたが、これにより履行能力の高い業者の選定につながり、具体的には、落札者からの提案によって作業工程が効率化され、発注者側でより入念に原稿作成や校正作業ができるようになるとともに、緊急時の掲載にも柔軟な対応が可能となるなど、東京都公報という印刷物に求められる正確性、確実性の面でも効果があったというふうに考えております。  今後は、この試行で得ました成果や他への応用方法などを実務担当者向けの手引にまとめまして、印刷請負における品質確保に向け、総合評価方式の試行拡大を図ってまいります。 ◯田中(た)委員 また、印刷関連の仕事は、障害者の重要な雇用の場となっております。現在、都が障害者就労施設等へ優先的に発注するいわゆる優先調達の実績を見ると、印刷物の発注割合が最も高くなっており、障害者就労施設等にも受け入れやすい分野だと思われます。  都は、二十八年度予算案においても障害者の生活支援を重点施策と位置づけており、障害者の生活の基盤となる就業の場の拡大と安定の下支えに通ずる優先調達に、より積極的に取り組んでいく必要があると考えますが、ご見解をお伺いいたします。 ◯長谷川財務局長 都は、平成二十五年度から障害者優先調達に計画的に取り組んでおりまして、そのうち印刷物が占める割合は、二十六年度におきまして約七三%に上ります。  このことを踏まえまして、物品や役務サービスなど、障害者就労施設等への一層の受注機会の拡大を図ることといたしまして、二十八年度からは特に予定価格十万円以下の印刷請負について、障害者優先調達に努めることを全庁的な方針として定め、関係局で連携して取り組んでまいります。 ◯田中(た)委員 ぜひともよろしくお願いをいたしたいと思います。  業務委託を担う事業者の大半は中小事業者であり、低価格入札によるしわ寄せが経営の圧迫や従業員の賃金を含む就業環境の悪化につながることも懸念されています。  印刷請負については、最低制限価格制度が導入されてはいますが、限定的であるため、受注者の就業環境を下支えする仕組みにはなっていません。これは、予定価格の積算や最低制限価格の取り扱いに関する運用方法などに課題があるからだと認識をしております。  しかし、東京の地場産業であり、都政の重要な情報発信を担い、障害者などの就業の場にもなる印刷業の担い手を育成、確保していくためには、低価格入札を防ぐ手だてを講じることがぜひとも必要であります。  品質確保や担い手の中長期的な育成、確保に向け、印刷請負における現行の最低制限価格制度を見直していくべきと考えますが、都の見解を伺います。 ◯長谷川財務局長 業務委託におきましても、低価格入札を防止して、品質確保や担い手の中長期的な育成、確保を図るためには、総合評価方式の拡大に加えまして、最低制限価格制度の導入も有効な手段でございます。  一方、制度の導入に当たりましては、積算方法の詳細化や最低制限価格の設定及び運用方法について検討して、制度が有効に機能するようにしていかなければなりません。  このために、まず、これまで最低制限価格制度を限定的に導入しております印刷請負について、より実効性のある制度へと見直しを進め、財務局の印刷物で試行してまいります。 ◯田中(た)委員 ぜひお願いいたします。  これまでの答弁から、印刷業務全体を技術力での競い合い、障害者就労の支援、さらには担い手確保の三つの視点から捉えて品質確保を図るという、公共調達の一つのモデルケースとなる可能性が示されたと考えます。  これらの視点を支える総合評価方式、優先調達制度、最低制限価格制度は、いずれも我が党が導入、拡大を促してきたものであり、これら入札制度により、印刷物の品質向上がさらに図られることを期待しております。  次に、オリンピック・パラリンピック及びラグビーに関しお伺いいたします。  イギリスで発行されているビジネス誌のフォーチュン誌二〇一一年五月発行号に、ロンドン大会や北京大会など、オリンピックには何兆円もの巨額の経費がかかることが掲載されていました。  東京大会においても準備が本格化しつつある中、昨年末から経費についてさまざまな報道がなされております。  近年の大会の中でも成功した大会といわれているロンドン大会は、東京と同様、過去にも開催されたことがあり、成熟都市での大会でありました。  そこで、ロンドン大会において、招致段階から開催前の準備段階など、その経過に応じた取り組み状況についてお伺いいたします。また、成功した大会の成果としてロンドンにもたらしたものは何か、あわせてお伺いいたします。 ◯中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 ロンドン大会におきましても、その準備の過程で招致段階の想定を超えた大事業となることが判明いたしました。  国を挙げて詳しく分析、検討しました結果、広域的な警備を初めとした追加負担や大会までにさらに生じる環境変化を見込んだ対応など、大会運営に直接かかる必要経費は、総額で約二兆一千億円と見積もられました。  この難局に対応するため、国、市、組織委員会の三者は適切に役割分担を定めましたが、その際、特に大会が開催都市に与える影響が大きいこと、大会の成果がレガシーとしてロンドンや国全体に残ることから、国や市などの公的部門が大会準備を全面的に支えることといたしました。  その結果、ロンドン大会は大成功に終わり、世界の都市総合力ランキングで大会後四年連続一位となったほか、ボランティアの活躍や文化プログラムの全国展開など、有形無形の大きなレガシーがロンドン初め英国全土にもたらされることになりました。 ◯田中(た)委員 ただいまの答弁は大変重要だと思います。東京大会での確たるところはまだ不明ですが、昨今の状況を鑑みれば、準備に万全を期すためにも、ロンドン大会での招致決定後の経緯はよく検証すべき事例だと認識をしております。  特に重要な点は、開催都市であるロンドン市やイギリス政府など、公的部門が役割をしっかりと果たし、それが全てレガシーとなっていったことであります。このことがロンドン大会が成功したと評されるゆえんだと思います。  そこで、我が党代表質問に対して知事から、東京大会においても、招致のときの想定をはるかに超える膨大な事業となりつつある中、新たな役割分担を決める旨の答弁がありました。  東京大会を成功に導いていくため、開催都市である都として、何を重視してこの大きな課題を乗り越えていく考えなのか、知事の見解をお伺いいたします。 ◯舛添知事 二〇二〇年の東京大会は、成熟した大都市で開催される過去最大規模の大会となると思います。この壮大な事業をなし遂げるためには、オールジャパンでの対応が不可欠であります。  その際重要なことは、大会のまず成功と、それから都民、国民にもたらされる有形無形の大きなレガシーのために、国際都市である都が中心となりまして、国をも巻き込み、公的部門としてなすべきことを果敢に実行し、大会準備を全面的に支えていくことであります。  今後、史上最高の大会とするため、どのような事業がどの程度必要なのか、経費の精査も含めて方針を立て、大会の全体像を示してまいります。  そして、その実現に向けまして、開催都市である東京都、国、組織委員会とが三位一体となり、責任を持ってしっかりと役割を果たしてまいります。  私は先頭に立ちまして、いかなる困難があろうとも、何としても大会を成功させていく決意でございます。 ◯田中(た)委員 オリンピック・パラリンピックを成功させ、その成果を後々の世代にまで末永く残していくためにも、まずは現在取り組んでいる大会準備の足元を固めるべく、東京都、組織委員会、そして国がそれぞれ何を担うのか、役割をはっきりとさせる必要があります。  二〇二〇年はゴールではなく、その後へ続く通過点であります。ぜひ知事には、東京は今ターニングポイントを迎えているという認識を持ち、開催都市の責任者として、何としても大会を成功させるのだという強い決意を持って責任を全うしていただくよう改めてお願いをいたします。  さて、ことし夏のリオデジャネイロ大会は、オリンピック・パラリンピックの持つ力、すばらしさを実感できる絶好の機会であります。招致決定時の高揚感を再び日本国中に呼び戻し、その盛り上がりを二〇二〇年につなげていかなければなりません。  また、リオ大会には世界中から多くの観戦客、観光客、メディアが集まります。この千載一遇の機会を捉え、次の開催都市東京への期待感を高め、そして世界に誇る文化、伝統、技術といった魅力を積極的に発信しなければなりません。  リオのあるブラジルは、ことしで百八年目となる移民の歴史があり、百六十万人といわれる日系人社会が構築され、日本との関係が深い国であります。現地の方々もこのまたとない機会を心待ちにしているのではないでしょうか。  こうしたリオ大会を通じてどのように東京の魅力を発信するのか、知事の見解をお伺いいたします。 ◯舛添知事 今おっしゃったように、全世界の注目が集まりますリオ大会は、次回開催都市東京の魅力を発信できる絶好の機会であります。  私自身、リオデジャネイロに参りまして、東京を積極的にアピールしたいと思っております。同時に、現地の方々の期待にも応え、日本とブラジルのきずなを強めていきたいと思います。  世界の歴史ある都市にはそれぞれ個性がありますが、東京には海と川、両方の水辺を中心に発達し、生活や文化が育まれてきた水の都という、ほかの都市にはない際立った魅力がございます。  私が今、一生懸命、舟運というようなことをお話ししているのはそういう意味があるわけですけれども、リオ市内にジャパンハウスをつくりますが、この水の都としての魅力を中心に、東京の過去、現在、未来を体験できる展示などを通じまして、東京ブランドを世界に向けて発信してまいりたいと思っております。  また、オリンピック・パラリンピックの各閉会式では、リオ市長から大会旗の引き継ぎを受けた後に、東京、日本の魅力をPRします八分間のパフォーマンスを展開いたします。日本を代表するクリエーターや演出家、東京の歴史、文化に精通している有識者の意見を取り入れながら、組織委員会と連携して、東京に対する期待感を高めるものにつくり上げてまいります。  リオ大会を通じまして、東京のプレゼンスを向上させ、国内外の機運を盛り上げて、二〇二〇年大会を必ずや成功へと導いてまいりたいと思っております。 ◯田中(た)委員 ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。  特に世界中から多くの人々が集まるこの大会での文化事業の展開は、東京の多彩な文化の魅力を世界に発信する絶好の機会となります。  東京大会の大きなテーマでもある震災の復興支援という視点もその中にしっかりと位置づけ、日本の文化発信のハブ機能を担う東京が、多くの日系人が活躍するブラジルの地で、世界の人々に向け、東日本大震災の復興支援に対する感謝の気持ちをリオでの文化事業を通じて示していくことも重要であります。  リオ大会における文化発信に向けた、また知事の見解をお伺いいたします。 ◯舛添知事 リオ大会におきましては、東京の持つ芸術文化の魅力を、リオ市民だけではなく世界中から集まる人々にも感じていただけるような、東京を代表するような文化事業を展開したいと思っております。  また、ご指摘いただいたとおり、世界各国からの大震災への支援に感謝の気持ちをあらわして、世界に向けて被災地の方々とともに、その復興が力強く進む姿を発信することも重要であります。復興という意味を持った東京大会であると思っております。  そこで、リオにおきまして、TOHOKU&TOKYO in RIOという、江戸文化とともに東北の郷土の文化を紹介するイベントを開催しまして、和太鼓や踊りを披露したいと思っております。現地では、日本の伝統を受け継ぐ日本人会とも連携して実施をしてまいります。  リオ大会後、国内各地で展開する東京キャラバンにつきましては、まず被災地からスタートさせたいと思います。  二〇二〇年大会に向けまして、東京と地方、とりわけ被災地と連携して、東京を初め日本が有する芸術文化の魅力の発信に全力を挙げて取り組んでまいります。 ◯田中(た)委員 これまで代表質問等々で知事の都市外交について意見を述べてまいりましたけれども、このときこそ、ぜひ知事の語学力、そしてまた世界的な人脈をぜひ生かしていただいて、大きな成果を上げていただくようにご尽力賜りますようお願いをいたします。  世界中に東京の文化と復興へ進む東北の姿をこの場でぜひ発信していただきたいと思います。  また、東京大会への期待感を膨らませ、リオ大会後に展開していく文化プログラムに弾みをつけるためにも、リオを訪れる各国の人々に東京の文化を体感してもらい、強く印象を残す取り組みが求められます。  オリンピック会場周辺や市街地で、東京ならではの文化発信をどのように展開していくのか、都の見解をお伺いいたします。 ◯多羅尾生活文化局長 東京の持つポテンシャルを生かした文化事業をリオ市の中心部にある文化施設で展開し、選手村等に近いジャパンハウスとも連携しながら、東京の文化の魅力を世界中の人々に効果的に発信してまいります。  具体的には、ただいま知事のお答えしたTOHOKU&TOKYO in RIOとともに、東京キャラバンや、障害者を初めとした多様な人々とアーティストの交流プログラムであるTURNをリオにふさわしい形で実施してまいります。  日本を代表するアーティストの参加のもと、さまざまなパフォーマンスやアート展示なども展開し、東京、日本の魅力をアピールしてまいります。 ◯田中(た)委員 東京のすばらしい文化を世界に発信し、その勢いを文化プログラムへつなげていくことで、東京大会が文化の面でも最高の祭典となるよう期待しております。  リオ大会では、テレビ中継などを通じて、日本選手団の活躍や世界のトップアスリートのパフォーマンスを目の当たりにし、日本国中が大いに沸き上がると思われます。次の開催都市として、その感動をより多くの方々に知ってもらうとともに、その盛り上がりを一過性のもので終わらせず、二〇二〇年に継続させなければなりません。  オリンピックイヤーである本年、都としてどのように都内、国内を盛り上げ、さらに二〇二〇年の成功につなげていくのか、具体的取り組みについてお伺いいたします。 ◯中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 多くの方々に、リオ大会を通じてオリンピック・パラリンピックのすばらしさを実感してもらい、その感動や盛り上がりを二〇二〇年につなげていくため、都としてさまざまな取り組みを進めてまいります。  まず、リオ大会前には、まち中での体験イベントや二〇二〇年大会四年前イベントなどを開催するとともに、特にパラリンピック直前には、多くの都民が利用する都営線の駅構内を活用しまして、競技の迫力ある展示を行い、その魅力をPRいたします。  次に、開催期間中は、大会の興奮と感動を楽しむことができるライブサイトを都内二カ所及び被災三県で開催いたします。  大会終了後は、大会旗を活用したフラッグツアーを都内はもとより全国でも展開しますとともに、全国の自治体関係者を対象にしたシンポジウムを継続的に実施いたします。  さらに、文化、教育プログラムやボランティアなどさまざまな取り組みを展開しますとともに、祝祭感を演出するためのシティー装飾の検討も進め、二〇二〇年大会に向けたオールジャパンでの盛り上げを加速してまいります。 ◯田中(た)委員 ぜひともリオでの取り組みを東京へとつなげていただくようによろしくお願いいたします。  都は、東京大会に向けて六つの新たな恒久施設を整備することとしており、その施設名称は立候補ファイルに掲載された名称をそのまま用いてきました。  この新規恒久施設は、大会後も活用していくものであり、その施設名称を親しみやすいものとすることで、長期にわたり人々の記憶に残るレガシーとすることが重要です。  そこで、新規恒久施設の名称は、立候補ファイル時の名称にこだわらず、都民に親しみやすい施設名称としていくべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。 ◯中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 新規恒久施設の正式名称につきましては、施設を都民の利用に供するときまでに条例等で決定いたします。
     また、多くの都民、国民に末永く親しまれる施設とするために、正式名称のほか、愛称を用いる方法もございます。例えば一九九八年の長野大会では、フィギュアスケートなどの会場は、条例上の正式名称を長野市真島総合スポーツアリーナ、愛称をホワイトリングとし、アイスホッケーの会場は、正式名称を長野市若里多目的スポーツアリーナ、愛称をビッグハットとしております。  新規恒久施設の名称につきましては、こうした実例も参考にして、関係者のご意見を伺い、広く都民、国民に認知され、親しまれるための工夫を今後検討してまいります。 ◯田中(た)委員 東京大会を直接経験できる世代の方々だけではなく、次世代の方々にもレガシーとなる施設名称は大変重要だと思っております。新規恒久施設だけにとどまらず、既存施設や会場となる公園名称の変更も含め、レガシーとなることを期待しております。  次に、ラグビーに関してお伺いいたします。  ラグビーの発祥の地であるイギリスでは、紳士教育のためにラグビーが行われています。これは、ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワン、一人は皆のため、皆は一人のためという自己犠牲の精神や、試合終了後の合図であるノーサイドの後に、どちらのサイドもなく全員が互いにフェアプレーをたたえ合う精神から来るものであり、試合後に両チームの選手や審判、協会関係者などが互いの健闘をたたえ合うアフターマッチファンクションが行われるなどの習慣が紳士教育に生かされているものと考えます。  また、一方、解体された国立競技場の入場観客数のベストテンを見ると、東京オリンピックの開会式や閉会式と並んで、関東大学ラグビー対抗戦の早明戦や、早慶戦ともいう慶早戦など、ラグビーが四試合も入っております。この実績からも国立競技場はラグビーの聖地といえ、秩父宮ラグビー場とともに、東京はまさにラグビーの聖地といえます。  一八九九年に日本ラグビー発祥の地である慶應義塾で初めて日本人によるラグビーの試合が行われ、百二十年目の節目となる二〇一九年にラグビーワールドカップが行われます。  このようにすばらしい価値を持ち、長く愛されてきたラグビーを、ラグビーの聖地である東京都はどのようにして普及させていくのかお伺いをいたします。 ◯中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 秩父宮ラグビー場や国立競技場では、長年、大学ラグビーの熱戦が繰り広げられまして、東京には多くのラグビーファンがいらっしゃいます。  こうしたトップレベルのラグビーに間近で接することができる強みを生かしながら、ラグビーの魅力を都民に伝えてまいります。  具体的には、大学ラグビーやトップリーグの試合会場におけるラグビー体験の実施、観戦のポイントやルールを紹介しましたパンフレットの配布などに取り組みます。  また、都のイベントや地域スポーツクラブなどにおきまして、ラガーから都民に直接語ってもらう機会を設け、ファンの裾野拡大を進めます。  さらに、デジタルサイネージなどを活用し、二〇一五年大会での日本代表の活躍を収録したPR映像を発信してまいります。  こうした取り組みにより、スポーツマンシップにあふれたラグビーの魅力と価値を広く都民に普及してまいります。 ◯田中(た)委員 ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。  次に、ホール、劇場の視点からお伺いをいたします。  ことしはアリーナや競技場等の改修時期が集中し、大型コンサート会場が不足する二〇一六年問題が起こると報道されています。  また、日本芸能実演家団体協議会によると、首都圏では青山劇場や、ゆうぽうとホールなどが老朽化や赤字を理由に次々と幕を閉じ、この十年で約二万五千席分が減少し、芸術文化の創造と鑑賞の場が急減する危機的な状況を迎えているとのことであります。  芸術文化の面でも世界で一番の都市となるためには、質、量ともに十分なホールや劇場が整備されることが必要であります。  この問題は、例えばバレエやクラシック、能や歌舞伎といった公演分野によって状況が異なり、ホールや劇場の改修状況によっても課題が異なるため、まずは現状を把握した上で将来像の検討を進めるなど、都として必要な対策に取り組むべきと考えますが、知事の見解をお伺いします。 ◯舛添知事 東京は、伝統文化から最先端の舞台芸術まで多彩な芸術文化に満ちた都市でありまして、こうした魅力を発信する場が失われることは、東京の文化の発展に支障を来しかねない極めて重要な課題だと認識しております。  そのため、初めて今回、国公立、民間を含めまして、都内に約千五百程度あります全施設の状況を把握する調査を現在実施しております。あわせて、クラシックやバレエを初め十三分野の文化団体やホール設置者等から、直接事情をヒアリングしております。  また、芸術文化やホールに関係する専門家や実務家による協議の場を今月中に設置いたしまして、既存施設の有効活用など、具体的な方策を検討いたします。  これらの調査や議論等を踏まえまして、二〇一六年問題に向けた東京都の緊急の取り組みを来年度開始早々には公表したいと思っております。  引き続き、将来の状況を展望して対策を検討し、必要な施策を民間と協力しながら積極的に進めていくとともに、国に対しても必要な要望を行ってまいりたいと思っております。 ◯田中(た)委員 文化に造詣の厚い知事の、またこの分野でのリーダーシップ発揮をお願いしたいと思います。  次に、延遼館の復元事業について伺います。  昨年の第一回定例会での我が党の主張を受け、浜離宮恩賜庭園に東京都独自の迎賓施設を整備し、海外からのお客様を和のおもてなしでお迎えすることとなり、現在、延遼館の復元事業が進められております。  この延遼館は、近代日本最初の迎賓施設として近代化の歩みを象徴する建物であったと伺っております。復元後は、東京大会を控え有効に活用されることが期待されております。  特別名勝、特別史跡の浜離宮恩賜庭園において、東京大会に向けて進めている延遼館の復元事業について、改めてその目的と取り組みについてお伺いいたします。 ◯佐野建設局長 延遼館の復元事業は、浜離宮恩賜庭園に近代日本最初の迎賓施設を復元することにより、歴史的、文化的価値を高め、次世代へと継承することを目的としております。  復元に当たりましては、二〇二〇年東京大会時の迎賓利用のほか、大会後には浜離宮の歴史と和のおもてなしを体験する場やMICEのレセプション会場として利用することなどを関係局と検討しております。  引き続き文化庁と協議を重ね、平成二十八年度は利活用の検討を深め、実施設計に着手し、遠方の客人をおもてなしするという延遼館の名前にふさわしい施設として、平成三十一年度末の完成を目指してまいります。 ◯田中(た)委員 ぜひとも期待をしております。  次に、港湾の視点からお伺いいたします。  臨海エリアには、選手村や競技施設、関連施設が多く設置され、東京大会の中心となる地域である一方で、東日本の日常生活を支える港湾物流機能が集積している地域でもあり、我が党は、東京大会の確実な成功と港湾機能の調和を図っていくべきとこれまでも主張してまいりました。  両者の調和のためにも、ピーク時にふ頭周辺で発生している交通混雑対策が不可欠であります。  現在、都では交通混雑解消に向けて、車両待機場の整備など即効性のある取り組みとともに、中央防波堤外側新コンテナターミナルの整備など、東京港の抜本的な機能強化に取り組んでいます。  円滑な物流の確保のためには、さらなる施策を展開していく必要があります。東京港では、陸送事業者が貨物を夕方に引き取り、翌朝荷主に配送する物流サイクルがあり、夕方付近の混雑の原因になっていると伺っております。  そこで、こうした実情を踏まえた新たな取り組みも必要であると考えますが、所見を伺います。 ◯武市港湾局長 理事ご指摘のとおり、東京港では夕方にターミナル周辺が混雑する傾向が見られるため、比較的余裕がある午前中に貨物をターミナルから搬出し、半日程度一時保管する場所をターミナル外に設置することが混雑緩和に効果的であると考えられます。  そこで、来年度、ターミナルの外に二十四時間利用可能な搬出貨物の一時保管場所、いわゆるストックヤードを設け、交通混雑の平準化や物流の円滑化を図る実証実験を実施いたします。  物流全体も見据えたこうした施策を積み重ねていくことで、二〇二〇年東京大会と物流港湾の調和を図ってまいります。 ◯田中(た)委員 東京大会の成功と物流機能との調和を図り、東京大会にとどまらず、物流全体の機能強化につなげる一歩としていただきたいと思います。  次に、防災対策についてお伺いをいたします。  この三月十一日で東日本大震災から五年という節目を迎えます。あの震災が起きた日の十四時四十六分、本会議が終わった直後であり、私も議会棟におりましたが、今まで経験したことのない揺れが襲ってきたことを、ついきのうのように思い出されます。  我が党は、震災直後、東日本大震災復旧・復興対策推進本部を設置し、平成二十三年五月から七月にかけて被災地である東北三県に視察団を送るとともに、各種団体からも震災の影響を伺うなどして、都に対して防災対策の強化に向けた提言を行いました。  現在、マグニチュード七クラスの首都直下地震が三十年以内に発生する確率が七〇%程度と推定されております。これは、きょう、あす起きる確率も同じであるため、絶えず防災意識を持ち、そのときに備えなくてはならないと思っております。そして、東日本大震災から五年目という節目のときにも、互いに防災意識を確認し合うべきであると認識をしております。  そこで、都はこれまでどのように防災対策に取り組み、今後はどう取り組むのか、知事の見解をお伺いいたします。 ◯舛添知事 多くのとうとい命が失われるなど、この国にさまざまな形で爪跡を残しました東日本大震災から五年が経過をいたします。  震災から得ましたさまざまな教訓をしっかりと受けとめ、首都直下地震を初めとする大規模災害から都民の生命と財産を守ることが、知事としての私の重要な責務でございます。そのためには、自助、共助、公助に根差した取り組みを機能させていかなければなりません。  こうした認識のもとに、知事就任以降、いつ起こるかわからない災害に備えまして、防災上重要な幹線道路の整備や木造住宅密集地域の改善など、防災力を備えた都市づくりを強力に進めてまいりました。  また、住民参加型訓練を季節ごとに年四回実施することや、都内全世帯へ「東京防災」を配布し、学校においても活用を図るなど、自助、共助の意識を喚起する取り組みを積極的に展開しております。  今後もこうした取り組みを進めますとともに、旧立川政府倉庫を購入、活用して、広域的な防災力を高めてまいります。  また、今回積み増ししました防災街づくり基金等を活用して、景気の動向にかかわらず対策を着実に推進してまいります。  あらゆる取り組みを実施して、世界一安全・安心な都市東京を築いてまいります。 ◯田中(た)委員 都民の生命、財産をしっかり守る、その知事の力強いリーダーシップ、また期待をしていきたいと思っております。  さて、知事の施政方針において、木造住宅密集地域の不燃化を進めるため、生活道路の整備を計画的に進めていくとの考えが示されました。  また、先日公表された防災都市づくり推進計画改定案では、防災生活道路の整備を契機に、延焼遮断帯の内側の市街地の改善を進めるとあります。  防災生活道路の整備をしっかり進めていくには、これまで以上に区の積極的な取り組みが行われるよう、都として後押しすることが重要であると考えますが、所見をお伺いいたします。 ◯安井東京都技監 例えば品川区大井地区では、広域避難場所である大井競馬場につながる道路を安全に避難できる道路とするため、地元区が幅員を七メートルから十メートルに拡幅し、あわせて沿道建築物の不燃化を住民に働きかけてございます。  こうした取り組みが他の地区にも広がるよう、都は今回改定の防災都市づくり推進計画におきまして、整備地域を抱える全ての区とともに、緊急車両の通行等に有効な生活道路の拡幅計画を策定し、地区計画に位置づけることにより、住民の理解と協力を得ながら整備を進めることといたしました。  特に幹線道路とつながるなど重要な区間につきましては、都市計画事業の活用も視野に、区の積極的な取り組みを引き出してまいります。  来年度からは、このような整備地域におけます道路の拡幅や沿道の建てかえに対しまして財政的に支援を行い、延焼遮断帯に囲まれた市街地の不燃化、耐震化を加速してまいります。 ◯田中(た)委員 ぜひとも引き続き積極的に取り組んでいただきたいと思います。  木密地域の早期改善のためには、市街地の不燃化とともに、特定整備路線の整備を急ぎ、延焼遮断帯の形成も加速するべきと考えます。  木密地域内で、震災時に大きな被害が想定される整備地域の中で一番広い地域にある品川区では、特定整備路線の補助第二九号線が事業化されており、その戸越公園駅周辺区間において、商店街や町会が中心となり、商店街の活性化と災害に強い安全なまちの実現が両立できるよう、地元発意によるまちづくりに取り組んでいるところであります。  こうした状況にあるにもかかわらず、一部の政党では特定整備路線が商店街を破壊すると吹聴し、地元がこぞって道路整備に反対しているかのように宣伝しております。  そこでまず、特定整備路線である補助二九号線の戸越公園駅周辺における道路整備及び沿道のまちづくりの状況についてお伺いをいたします。 ◯安井東京都技監 補助第二九号線の戸越公園駅周辺区間につきましては、昨年度末に事業認可を取得し、用地取得を進めてございます。このうち約三分の二の区間で商店街の片側のみが道路の計画区域にあるため、店舗などの営業の継続やにぎわいの維持向上を図りながら整備を進めていく必要がございます。  平成二十年には、地元の発意によりまして、全ての町会と商店会とで構成されるまちづくり協議会が設立されてございます。都は区とともにこれに参画し、まちの将来像や駅前広場の整備などの検討に協力してまいりました。  これまで沿道の一部で再開発準備組合が立ち上がり、今年度にはさらに他の地区でも再開発に向けた勉強会が発足するなど、まちづくりが具体的に動き出してございます。  引き続き、地元のまちづくりと連携しながら、平成三十二年度の完成を目指し、道路整備を全力で推進してまいります。 ◯田中(た)委員 ぜひ一部政党の宣伝に惑わされることなく、信念を持って取り組んでいただきたいと思います。  地元では補助二九号線の整備を前向きに捉える一方で、東急大井町線戸越公園駅付近には補助二九号線などの踏切があり、ピーク時には一時間当たり四十分程度閉まっているため、不便な生活を強いられています。  地元まちづくり協議会では、補助二九号線の整備とあわせ、鉄道立体化を前提に、鉄道の南北が一体となった防災性の高いまちづくりに十年ほど前から積極的に取り組んでおり、この間、石原知事にも要望を伝えるなど、道路整備とあわせた鉄道の立体化を強く望んでおります。こうした状況を踏まえると、鉄道の立体化は不可欠であると考えます。  そこで、東急大井町線戸越公園駅付近の鉄道立体化に向けた取り組みについてお伺いいたします。 ◯佐野建設局長 東急大井町線戸越公園駅付近には、昨年より事業が進められている補助第二九号線を含む六カ所の踏切があり、鉄道による地域分断の解消等が課題となっております。  品川区は、昨年一月に将来の鉄道立体化を見据えた戸越公園駅周辺まちづくりビジョンを策定しており、地元では道路や駅前広場の空間を創出するためのまちづくりが動き出しております。  こうした鉄道と交差する道路の事業化やまちづくりの進捗状況を踏まえ、都は、東急大井町線戸越公園駅付近を連続立体交差事業の事業候補区間に位置づけることといたしました。  今後、地元区や鉄道事業者と連携し、鉄道立体化の可能性について調査検討を進めてまいります。 ◯田中(た)委員 ぜひその実現に向けた取り組みをお願いしたいと思っております。  次に、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてお伺いをいたします。  東京の防災対応力を高めていくためには、震災時においても緊急輸送道路としての機能が着実に発揮されるよう耐震化を進めていく必要があります。  都は、先月公表した耐震改修促進計画の改定案で、東京大会までに震災時における道路機能を確保していくための新たな目標を示しました。  今後、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を進めるに当たって、課題をどのように捉えているのかお伺いをいたします。 ◯安井東京都技監 耐震化推進条例に基づく診断の結果、耐震性不足が判明した建築物につきましては、その後、補強設計を行ったものの約八割が耐震改修などに結びついてございます。一方で、補強設計までに至らない、当然のことながらその先の改修まで進んでいない耐震性不足の建築物がいまだ半数以上残ってございます。  診断後、改修をしていない建物所有者にその理由を尋ねた意向調査では、費用負担の大きさと回答した者が最も多くなってございますが、しかしながら、その回答者の約三分の一は、助成を受けた場合の自己負担額そのものを把握していないとも答えてございます。  耐震化を進めていくためには、こうした建物所有者に対しまして、改修等による自己負担額を具体的に示し、補強設計につながるよう促していくことが課題であると受けとめてございます。 ◯田中(た)委員 ただいまご答弁いただきましたように、耐震診断を終えた建物所有者を対象に、いかにして補強設計に取り組んでもらうかが課題とのことでありました。  こうした課題も踏まえ、平成三十一年度までに震災時における道路機能の確保に必要な耐震化率九〇%かつ、特に耐震性が低い建築物の解消という目標を着実に達成していくため、都はどのような取り組みを行っていくのかお伺いをいたします。 ◯安井東京都技監 先ほどお答えいたしました意向調査の結果を踏まえまして、来年度からは、診断実施後の所有者に対して建築士を派遣し、補強方法や工事による影響などの比較検討を行う改修計画の策定を支援することといたします。  あわせて、設計費に係る建物所有者の負担を軽減するため、設計費の助成上限額を約二倍に引き上げることといたします。  また、特に耐震性が低い建築物は、補強箇所が多くなり改修費用が多くなることがございます。Is値〇・三未満の建築物、これは震災時に倒壊の危険性が非常に高い建築物でございますけれども、こうした建築物の改修に対する助成額をさらに引き上げ、その早期解消を図ってまいります。  引き続き、所有者への意識啓発やアドバイザーの派遣などの取り組みも強化し、区市町村と一体となって、二〇二〇年東京大会までに震災時におけます緊急輸送道路の機能を確保してまいります。 ◯田中(た)委員 ぜひともその実現方、お願いしたいと思います。  次に、震災復興の取り組みについて伺います。  切迫する首都直下地震に備えるためには、地域に身近な区市町村が防災都市づくりによる対策に加え、被災直後から速やかな復興が可能となるよう平常時から準備をしていく、いわゆる事前復興の取り組みが重要と考えます。  被災後の復興を円滑に進めるためには、行政職員の能力向上を図るとともに、住民も地域のまちづくりを事前に考えておくことが必要と考えます。東日本大震災でも、ふだんからまちづくり活動に熱心な地域では、復興が迅速に進んでいると伺っております。  都は、事前復興の取り組みについて、これまで区市町村をどのように支援してきたのか、また、今後どのように強化していくのかお伺いいたします。
    ◯安井東京都技監 大地震により被災した際には、市街地の再生計画をどれだけ迅速にまとめられるかが、その後の復興のスピードを左右いたします。  都は平成十年度から、復興の最前線となる区市町村職員を対象に、復興手順を習熟するための訓練を実施しており、これまで都内全ての区市から約千三百人が参加してまいりました。  来年度からは、これまでの取り組みをより実効性のあるものとするため、地域住民も参加して反復継続して事前復興の訓練を行えるようにいたします。  具体的には、区市町村職員を対象に、地域レベルの復興まちづくり訓練の企画立案や、その運営方法を習得できるように支援いたします。  これによりまして、再生計画の策定過程におけます住民との円滑な合意形成や、復興を先導できる区市町村の職員を育成いたしまして、日ごろからの反復訓練を通じて東京全体が速やかに復興できる体制を構築してまいります。 ◯田中(た)委員 災害に対する備えも必要でありますが、災害後の対応についての備えもぜひともお願いしたいと思います。  次に、都立公園の防災機能強化についてお伺いをいたします。  都立公園は、都民の憩いの場として親しまれている一方で、震災時の避難場所や救援活動の拠点としての位置づけを持ち、防災計画上も重要な役割を担っております。  このため、都ではこれまでの約十年間で、全ての防災公園において、入り口、主要園路の拡幅や、臨時ヘリポート、防災トイレ等を整備して防災機能を高めてきましたが、長期ビジョンで示す安全・安心な都市の実現に向けて、施設のさらなる充実を図り、防災対応力を高めることが必要と考えます。  そこで、今後の都立公園の防災機能についてどう取り組んでいくのかお伺いをいたします。 ◯佐野建設局長 避難場所や救出救助活動の拠点となる防災公園では、発災時の停電や情報不足等の混乱下にも、その機能を確実に発揮することが重要でございます。  このため、避難園路及び臨時ヘリポートとなる広場周辺の公園灯や管理所等の施設が地域防災計画上の電力復旧目標の七日間機能するよう、非常用発電、ソーラーパネル等により多重に電源を確保いたします。また、避難者等に情報を提供するデジタルサイネージも整備いたします。  平成二十八年度は、葛西臨海公園を初め十四公園で設計を進め、城北中央公園と秋留台公園で工事に着手いたします。二〇二〇年大会開催までに二十六公園で、平成三十六年度までに六十一全ての防災公園で整備を完了いたします。  引き続き、安全・安心な都市東京の実現に向け、都立公園の防災機能強化に全力で取り組んでまいります。 ◯田中(た)委員 ぜひともお願いをしたいと思います。  次に、都営地下鉄に関してお伺いをいたします。  都営地下鉄では、国の通達に基づく耐震対策は既に完了させ、引き続きトンネルや駅などの安全性をより一層高める耐震対策を行っていることは承知しております。  また、東日本大震災の際、地震で都営地下鉄は一旦停止したものの、安全を確保した上で最寄り駅まで走行し、乗客を安全な場所に誘導することができたとも伺っております。  しかし、想定される首都直下地震の際、施設などの安全が確保されたとしても、停電により、多くの列車がトンネル内に立ち往生し、混乱が生じる可能性もあります。  そこで、こうした場合に備え、都営地下鉄ではどのような対策を講じているのか、お伺いをいたします。 ◯塩見交通局長 停電の際には、非常用発電機などにより非常用照明や放送装置などの重要設備に電気を供給いたします。  万が一、列車がトンネル内で停車した場合は、あらかじめ定めた対応手順に基づき、車内放送により、まずお客様の動揺を抑制し、負傷者がいた場合はその救護を行い、その後、トンネル内の安全を確認した上で、非常はしごによりお客様に列車から降車していただき、最寄りの駅へ誘導いたします。  こうした手順を確認するため、職場単位で随時行う避難訓練や、年一回局を挙げて行う異常時総合訓練において、都営交通モニターの方にお客様役になっていただき、実際に避難していただく訓練や、営業終了後に当局職員が実際にトンネル内を歩いて避難する訓練、さらに東京メトロとも夜間合同訓練を実施するなど、非常時における対応力の維持向上に万全を期しているところでございます。 ◯田中(た)委員 マニュアルがしっかり整備され、さまざまな訓練が行われているということでありますが、最寄り駅まで歩いて避難することは、高齢者や子供連れの方も含め、乗客全員が避難するにはかなりの時間を要すると思われます。震災時には、乗客をいかに安全かつ迅速に避難させるかが重要であります。  交通局として、これまでの対策にとどまることなく、さらなる対策を講じるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。 ◯塩見交通局長 ご指摘のように、お客様が安全かつ一刻も早く迅速に避難できることは、今後取り組むべき重要な課題でありまして、停電時にも列車を次の駅まで走行させる新たな対策が必要であると考えております。  そのため、現在、最新の大容量蓄電池を用いた電力を貯蔵する設備を変電所内に設置し、列車を走行させるための実証試験を行っているところでございます。  この試験結果を分析し、今後、計画的に電力貯蔵設備の整備を進めることで、さらなるお客様の安全確保を図ってまいります。 ◯田中(た)委員 ぜひともその取り組みを進めていただき、さらなる安全・安心の実現を果たしていただきたいと思います。  次に、水道事業の視点からお伺いをいたします。  水道は、都民生活や都市活動を支えるインフラであります。昨年九月の関東・東北豪雨やことし一月の九州地方を襲った寒波で多くの断水が発生し、市民生活に大きな影響を及ぼしました。  東京では、特に断水による都民生活や都市活動への影響は甚大であり、首都直下地震の被害想定でも、断水率は三五%で約二百五十万戸が断水するとされています。そのため、抜け出し防止機能を持つ耐震継ぎ手管への切りかえにより、断水被害を軽減させる必要があると考えます。  そこで、国内外の多くの方々が訪れる東京大会を見据えた水道管路の耐震継ぎ手化の取り組みについてお伺いをいたします。 ◯醍醐水道局長 水道局におきましては、震災時の断水被害を軽減するため、従来から抜け出し防止機能を持つ耐震継ぎ手管への取りかえに積極的に取り組んでおります。  しかし、二万七千キロメートルにも及ぶ水道管路のその全てを耐震継ぎ手化するには、やはり長期間を要しますことから、東日本大震災の教訓等を踏まえまして、首都機能を支える施設や多くの方が集まる施設など、重要施設への供給ルートを優先した耐震継ぎ手化を進めているところでございます。  今後でございますが、二〇二〇年東京大会を見据えまして、国会や省庁などの首都中枢機関、そして重症、重篤患者の救命医療等を行う救急医療機関、避難所となる中学校、一日の乗客数が二十万人を超える主要な駅、そしてさらには、二〇二〇年東京大会会場となる施設などの重要施設におきまして、大会前年であります平成三十一年度までに耐震継ぎ手化を完了させてまいります。 ◯田中(た)委員 首都直下地震の被害想定では、水道の復旧に最大三十日を要するとされていることから、東京大会やその先を見据え、耐震継ぎ手化を効率的、効果的に進めていくため、都民などの理解と協力のもと、工事関係者とより連携を図り、事業を推進することが重要と考えます。  そこで、今後、水道管路の耐震継ぎ手化を中長期的観点からどのように進めていくのか、具体的にお伺いをいたします。 ◯醍醐水道局長 ただいまご指摘のございましたとおり、耐震継ぎ手化を効率的、効果的に進めていくためには、都民などの理解や工事関係者との連携などが重要であるというふうに認識をしております。  このため、今後十年間で約五千キロに及びます管路を耐震継ぎ手管に取りかえます、新たな水道管路の耐震継ぎ手化推進事業を来年度に策定いたしまして、都民を初め多様な関係機関に対し、事業の必要性や施策内容を幅広く発信していくとともに、工事関係者との協力連携のもと、効率的な事業推進を図ってまいります。  こうした取り組みによりまして、現在の耐震継ぎ手率三七%でございますが、これを十年後には六一%に引き上げるとともに、復旧日数につきましては、東京都地域防災計画に基づく被害想定の三十日から十六日に半減をさせてまいります。 ◯田中(た)委員 ぜひとも関係事業者とのしっかりとした連携のもと、それぞれの目標数値の実現に向けて取り組んでいただくよう改めてお願いしておきます。  次に、下水道事業の視点からお伺いをいたします。  近年、地球温暖化などの影響で局地的集中豪雨などの発生率は年々増加傾向にあり、区部でも過去三年間で千三百件以上もの浸水被害が発生しており、浸水からまちを守る取り組みはますます重要となってきております。  下水道局では、時間五十ミリを超える降雨についても浸水被害を軽減するため、これまでの大規模地下街周辺に加え、市街地でも七十五ミリ対策に踏み出すこととしました。  下水道局ではこれまで、七十五ミリ対策地区四地区について整備効果が早期に発揮できるよう工夫すると答弁していますが、この七十五ミリ対策地区について、具体的にどのように事業を進めていくのかお伺いをいたします。 ◯石原下水道局長 市街地の七十五ミリ対策地区では、平成三十一年度末までに整備効果を発揮することといたします。その工夫として、世田谷区弦巻地区では一カ所の作業基地から上下流両方向に下水道管を施工する際、先行して整備が完了する上流側で暫定的に雨水を貯留いたします。  また、大田区上池台地区では増強幹線の整備に先行して、地盤が低く特に浸水被害が大きかった箇所につきまして、周辺の下水道施設の配置や能力を再評価し、ポンプ所につながる既設管に雨水を切りかえる工事を行うことで、ポンプによる排水方法に変更いたします。  四地区のうち弦巻地区において既に工事を契約しており、残りの三地区でも平成二十八年度中の工事着手を目指します。  なお、七十五ミリ対策地区以外でも、被害の状況などに応じ、下水道管の増強や雨水ますの増設など適切に対応し、浸水に強いまちづくりに貢献してまいります。 ◯田中(た)委員 毎年のようにゲリラ豪雨による被害が発生しております。ぜひ四地区以外の地域での対策も早期なる取り組みをお願いしたいと思います。  次に、防災教育の視点からお伺いをいたします。  我が党は、首都直下地震等の被害を最小限に抑えるためには、自助、共助の力を高め、地域の防災力の向上を図り、各家庭で具体的な防災行動を促進する取り組みが重要であると一貫して主張してまいりました。そのためにも、都が作成した防災ブック「東京防災」を活用した普及啓発が重要であります。  こうした中で、都教育委員会が、学校と家庭が一体となって取り組めるよう防災ノートを作成し、都内の学校に配布したことは大変意義のあるものと認識をしております。  今後も学校において、この防災ノートをより一層活用すべきであると考えますが、都教育委員会の取り組みについてお伺いをいたします。 ◯中井教育長 都教育委員会が行った調査では、防災ノートの学習に取り組んだ結果、子供が家族と家の中の危険な場所を確認した割合が二一ポイント、避難方法等を確認した割合が三二ポイントそれぞれふえるなど、具体的な防災行動につながったことが明らかになっております。  こうした結果を踏まえ、今後、家庭での防災行動をより促進するため、本年七月から九月までを防災ノート活用促進月間に設定し、子供と保護者がともに防災施設を訪問する親子防災体験や、家族と一緒に防災にかかわる標語を考え、防災への意識を高めるための防災標語コンクールを実施いたします。  今後とも、これらの取り組みを通して、防災ブックと防災ノートを一層活用し、学校と家庭が一体となった防災教育を推進してまいります。 ◯田中(た)委員 この防災ブック、防災ノートの取り組みは、子供に対する防災教育を通じて、それぞれの家庭の親御さんにも波及効果があるという視点からも、ぜひ防災ブック、防災ノートを積極的に今後も活用していただきたいと思います。  これまで都教育委員会は、全ての都立高校で一泊二日の宿泊防災訓練を実施するなど、学校における防災教育の充実を図ってきました。今後はその成果を生かし、地域の防災活動に率先して貢献できる高校生を育成する必要があります。  私の地元にある都立大崎高校では、町会などが実施する防災訓練に積極的に参加し、生徒がAEDの操作を説明するなど、地域の防災活動に貢献しており、地域からも高い評価を受けるとともに、大変感謝をされております。  今後は、地域の防災活動のリーダーとなり得る人材を育成していくことが必要だと考えますが、都教育委員会の見解をお伺いいたします。 ◯中井教育長 生徒を発災時に主体的に行動できる人材として育成するためには、被災地が直面する課題を身近な問題として捉え、高い防災意識を身につけることができるよう指導することが重要でございます。  そのため、都教育委員会は、都立高校生が東日本大震災の被災地を訪問して、現地の方々との交流活動や、漁業、農業等の産業支援、仮設住宅での生活支援など、復興にかかわるさまざまなボランティア活動に取り組む合同防災キャンプを本年八月に実施いたします。  また、参加した生徒全員が防災士の資格を取得できるよう、過去の自然災害やその後の対策など、より専門的な内容を学ぶことができる講座を実施いたします。  こうした新たな取り組みを通して、地域防災の担い手となり、社会貢献できる高校生の育成を図ってまいります。 ◯田中(た)委員 災害はいつ起きるかわかりません。平日の昼間に発災すると、多くの大人たちは都心へ働きに出てしまっており、地元を守る上ではこのような都立高校の力も大いに期待されますので、ぜひとも引き続いての取り組みをお願いしたいと思います。  次に、環境エネルギーについて伺います。  これまで、資源の少ない我が国は、原材料を海外から輸入し、先進技術を用いて開発した製品を海外へ輸出し高度経済成長をなし遂げましたが、その後の安定成長期以降、特に先進国は、環境エネルギー問題に積極的に取り組むべきと認識をしております。  都は昨年、COP21に先立ち、新たな温室効果ガス削減目標を策定しましたが、今後は、これを着実に達成していくことが重要であります。  都内には六十三万の中小規模事業所が存在し、これらの省エネ対策が重要であります。中でも、中小テナントビルは多くのエネルギーを使用していますが、資金やノウハウが十分ではなく、設備の更新が余り進んでいないため、いわゆるオーナー、テナント問題を解決し、ビルオーナーの省エネ改修意欲を引き出すことが求められております。  このオーナー、テナント問題というのは、省エネ改修による電気料金の低減効果をテナントが享受するため、ビルオーナーにはメリットがなく、投資意欲が湧きにくい構造のことをいいます。  この問題の解決策として、知事からは新たにグリーンリースの普及を図る旨の答弁がありました。オーナーとテナントが省エネに関して双方の責任と役割をルール化して実践し、ウイン・ウインの関係を構築する取り組みで、海外では効果を上げていると伺っております。  そこで、都は、都内の中小テナントビルにおけるグリーンリースの普及に向け、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。 ◯遠藤環境局長 テナントビルの省エネの推進には、ビルオーナーとテナントとが事前に話し合い、電気料金等の削減メリットは両者で享受し合うこと等を約束し、協力して省エネに取り組むグリーンリースが有効でございます。  しかしながら、グリーンリースは国内ではまだなじみが薄いため、都が積極的に取り組み内容やノウハウ等をビルオーナーとテナントに示していくことが必要でございます。  そこで、グリーンリースの導入を条件に、中小ビルオーナーに対して、省エネ改修費用の一部を補助するモデル事業を来年度新たに実施いたします。  さらに、関係団体等と連携協力しながら、事業の成果についてビルオーナー等に広く発信し、グリーンリースの普及定着を図ることにより、中小テナントビルの省エネ対策を推進してまいります。 ◯田中(た)委員 中小テナントビルのオーナーがグリーンリースを活用してオーナー、テナント問題を解決し、改修への投資につなげていく取り組みに大いに期待をしております。また、都によるグリーンリースの取り組みは、全国への波及も期待され、きめ細かく丁寧に取り組んでいただくことを要望いたします。  次に、水素社会の実現について伺います。  水素エネルギーは、利用の段階でCO2を排出せず、今後、製造段階でも排出しないCO2フリー水素が実用化されれば、低炭素社会の切り札となります。また、将来的には、交通手段や家庭だけではなく、まちづくりのあらゆる場面での利用が期待されております。  一方で、多くの都民にとって水素の持つ意義や可能性は十分浸透しているとはいえません。水素社会の実現に向け、とりわけエネルギーの利用者である都民の理解を深めていくことが重要であります。  先日、都が日本科学未来館で開催したイベントがニュースで取り上げられていましたが、水素を利活用する意義や安全性に関する正確な情報をさまざまな手段で都民に提供していく必要があります。  今後、都は、都民への普及啓発にどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。 ◯遠藤環境局長 水素社会の実現には、都民が水素について正しく理解する機会を積極的に提供していくことが重要でございます。  間もなく開所する潮見水素ステーションの敷地内に、水素の特徴や安全性、エネルギーとしての将来性などをわかりやすく紹介する展示施設として、水素情報館東京スイソミルをこの夏にオープンいたします。  この施設では、水素エネルギーに実際に接する機会を創出するため、燃料電池自動車の試乗や、水素をつくったり使ったりする実験等を通じまして、子供から高齢者まで水素について楽しく学ぶことができるようにしてまいります。  また、水素社会の未来像などを伝える映像コンテンツを制作し、積極的な広報活動を展開することで、都民が水素社会を具体的にイメージし、身近に感じることができるようにしてまいります。 ◯田中(た)委員 ぜひとも都民の理解を深める取り組みを行っていただきたいと思います。  水素社会の未来を握っているのは子供たちであります。訪れた子供たちが興味を持って学べるような場の整備は大変評価していきたいと思います。多くの都民に水素をしっかりとPRし、理解促進に努めることを改めて要望いたします。  一方、交通局では燃料電池バスの普及促進に向け、メーカーの車両開発のために行う実証実験に協力するなど、先導的な取り組みを進めております。  今後、燃料電池バスの導入拡大を図るためには、一般の水素ステーションよりも充填能力が高い水素ステーションの整備が不可欠であります。  また、燃料電池バスは大容量の電力供給能力を備えていることから、災害発生時に非常用電源として活用することも検討すべきと考えます。  そこで、交通局の今後の取り組みについてお伺いをいたします。 ◯塩見交通局長 交通局では、燃料電池バスを平成二十八年度に二両、平成三十三年度までに八十両を全国に先駆けて導入し、臨海部のバス路線を中心に運行してまいります。  さらに、燃料電池バスの安定的な運行を確保するため、臨海部周辺の営業所内に、バスに充填するための水素ステーションの設置を検討し、平成三十一年度を目途に整備してまいります。  また、震災時、災害時には、燃料電池バスを移動式の非常用外部電源として積極的に提供してまいります。  こうした取り組みを通じて燃料電池バスの普及を牽引してまいります。 ◯田中(た)委員 交通局の積極的取り組みには大いに期待をしているところであります。  また、先ほど都立公園の防災機能強化についてお伺いをいたしましたが、都立公園の駐車場にこの燃料電池バスを停車させ、公園内の防災施設に電力を供給する仕組みも有効だと考えますので、ぜひともご検討いただきたいと思います。
     さまざまな可能性が期待されている水素エネルギーですが、現時点では、何といっても燃料電池自動車と水素ステーションが水素社会の未来を切り開く先導役であります。  先般、知事は、二〇三〇年までに燃料電池自動車を二十万台普及させるとともに、水素ステーションを百五十カ所整備する新たな目標を掲げました。長期ビジョンで示した二〇二五年の目標から五年間でほぼ倍増させる意欲的な目標であり、都民や事業者に都の決意を示すメッセージとなります。  今後、水素社会の実現に向けてどのように取り組んでいくのか、知事のご見解をお伺いいたします。 ◯舛添知事 昨年開催されましたCOP21におきましてパリ協定が採択され、世界の気候変動対策がいよいよ実行段階に入りました。環境と調和した持続的な成長に向けて大きな可能性を秘めたエネルギー、それが水素であります。  都は今般、環境基本計画の策定の中で、これまで取り組んできました水素社会への動きをさらに前に進めていくために、新たに燃料電池自動車と水素ステーションについて、二〇三〇年までの意欲的な目標を掲げました。  目標達成に向けまして四百億円の基金を有効活用し、初期需要の創出やインフラ整備を加速化させ、将来の自律的な普及拡大につなげてまいります。  先般、林幹雄経済産業大臣と会談し、規制緩和について直接要望をいたしました。  水素ステーションの整備促進に当たりまして、公道との保安距離に関する規制が大きな課題であります。  都としても、みずから汗をかき、来年度、新たな緩和措置の提案に向けた調査検討を実施いたします。この成果も活用しながら、国に対してさらなる規制緩和を求めていきたいと思っております。  こうした取り組みを総合的、一体的に進めまして、二〇二〇年大会を起爆剤にして水素社会への動きを加速化させていきたいと考えております。 ◯田中(た)委員 国に対する規制緩和に関しましては、前高島議長にもご尽力をいただきまして、議長会において呼びかけをし、また国に対する働きかけも行っていただきましたが、ぜひこの分野については、知事ともしっかりとした連携のもと取り組んでいきたいと思います。  数値目標を達成するには、またさらにガソリンスタンドの経営者などとの連携も必要と考えます。それらの事業者の対応にもしっかり配慮した取り組みを行っていただきたいと思います。  また、水素エネルギーは産業の裾野も広く、都内の中小企業が未来に向けて力を発揮する場面をつくることができるとも考えております。都の積極的な取り組みにより、国や事業者を力強く牽引していくことも期待をしております。  次に、都市計画道路の整備についてお伺いをいたします。  我が党の代表質問で、都は来年度より、新たな整備方針に基づき、骨格幹線道路や補助幹線道路など都市計画道路網の早期形成に努めていくとの答弁がありました。  道路ネットワークという観点からは、近隣県との連携強化も重要な課題の一つであります。  災害時における救援物資の輸送や救援、救護活動、また広域的な避難活動などに資する都県境の道路網の拡充も重要と考えますが、都の見解を伺います。 ◯安井東京都技監 都はこれまで、都内の都市計画道路の整備状況を踏まえまして、例えば埼玉県とつながる調布保谷線など都県境の道路整備を図ってまいりました。  今回の整備方針案におきましても、隣接県市と調整の上、江戸川を横断して千葉県と連絡する路線を初め、埼玉県や神奈川県とつながる十五の都市計画道路を優先整備路線としてお示ししてございます。  また、隣接する関係自治体と協議し、相模原、橋本方面に向かう南多摩尾根幹線の延伸など、新たに四つの都市計画道路につきましても提案してございます。  こうした道路の整備により、広域的な交流、連携を図る都県境のネットワークを充実させてまいります。 ◯田中(た)委員 隣接する関係県市と連携し、都県境の道路網の拡充に向けて積極的な取り組みをお願いいたします。  今回の整備方針により、都内の都市計画道路の約八割が完成します。長期的な都市づくりを考えている今だからこそ、残り二割のあり方について腰を据えて考える時期であると思います。  今回の整備方針案では、残る都市計画道路について、社会経済情勢の変化などを見据えて、そのあり方を検討していくという方針が示されましたが、具体的にどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。 ◯安井東京都技監 今回の整備方針案では、都市計画で定められた幅員での整備は完了していないものの、既に一定の交通機能が確保されている、いわゆる概成道路などについて計画を見直していくこととしてございます。  具体的には、都市計画道路が広域的に見てネットワークとして機能する、こういうことを前提といたしまして、交通の処理や歩行者空間の確保などの観点から、概成道路の計画幅員に基づく整備について検証いたします。  また、道路と公園とが重複している箇所につきましては、例えば、歩行者空間を双方の都市施設で共有できるかなどについても検討いたしまして、必要に応じて都市計画の変更を行うことといたします。  見直すべきものは見直し、整備するものは着実に整備する、こうした方針のもと、将来にわたる東京の持続的発展を支える都市計画道路ネットワークの早期形成を図ってまいります。 ◯田中(た)委員 整備すべき都市計画道路について着実に事業を推進していく一方、見直すべきものはきちんと見直していく方向性は、我が党の考え方と軌を一にするものと考えます。  また、都市計画道路を着実に整備していくために、事業着手前でも機動的に用地を取得できる仕組みを導入するとありましたが、事業のスピードアップにもつながる制度であり、ぜひ進めてほしいと思います。  いずれにしても、新たな整備方針に基づき、積極的に取り組んでいくことを要望いたします。  次に、豊洲市場についてお伺いいたします。  これまで多くの議論や取り組みを重ねてきた中、いよいよ本年十一月七日に築地から豊洲へ市場が移転します。開場まで残り三百日を切っており、都としても、限られた時間の中で市場業界と連携し、開場に向け万全を尽くしてほしいと思います。  豊洲市場の十一月開場に対し、年末の繁忙期を控え、現在の築地においても市場機能の一部が残るとの話もささやかれています。築地市場は、全国の産地から荷を集め、都民の豊かな食生活を支えてきた市場であります。  東京を初め全国の取引相手の方々が移転に当たり混乱することのないよう、都としても丁寧な周知を図るべきと考えますが、見解をお伺いいたします。 ◯岸本中央卸売市場長 十一月二日に築地市場が業務を終了した後、四日間で引っ越しを完了し、市場機能は十一月七日に開場いたします豊洲市場へ全て引き継がれることとなります。移転後は速やかに築地市場跡地での解体工事に着手をいたします。  都といたしましては、市場業界と協力いたしまして、全国の産地や買い出し人などが豊洲市場をスムーズにご利用いただけるよう、豊洲市場への交通アクセスや市場内の動線等について市場関係者へ丁寧に周知を図ってまいります。 ◯田中(た)委員 長年築地市場を利用してきた方々が混乱することのないよう周知徹底に努めていただきたいと思います。  築地から豊洲への移転は、まさに百年に一度の大事業であります。円滑に移転するためには、さまざまな創意工夫を凝らす必要があります。例えば、引っ越しについては開通前の環状二号線を活用するなど、前例にとらわれない対応も必要だと考えます。  都と市場業界との協議はまさに佳境を迎えていると伺っております。豊洲市場の施設の完成を待つばかりとなった今、都はみずからの責任の重さを十分認識し、十一月七日の開場に向けた課題の解決に全力を尽くすべきと考えますが、決意をお伺いいたします。 ◯岸本中央卸売市場長 豊洲市場を確実に開場するためには、業界の行う造作工事の工程管理や、先ほど申し上げました市場関係者への周知徹底など、さまざまな課題を解決していかなければなりません。  とりわけ、ご指摘の引っ越しにつきましては、短期間で極めて大規模の引っ越しとなりますことから、円滑な運搬や交通安全等の観点から、供用前の環状第二号線を活用するなどの取り組みを行い、万全を期してまいります。  八十年の歴史と伝統に支えられた築地市場を時代の要請にふさわしい市場へと発展させることは都の責務であります。都と業界が一丸となって取り組み、本年十一月七日に確実に豊洲市場を開場いたします。 ◯田中(た)委員 築地から豊洲へスムーズに引っ越しが行われ、予定どおり十一月七日に混乱なく取引がスタートし、さらには都民の皆様から愛される市場になることを大いに期待しております。  次に、小笠原の航空路開設についてお伺いをいたします。  この航空路の開設は、本土から遠く離れた小笠原で村民の方々が安心して暮らすためにも極めて重要な課題であり、昨年第四回定例会でも我が党は代表質問で取り上げたところであります。  世界自然遺産であり、国境離島でもある小笠原特有の課題があることは我が党も十分承知をしておりますが、こうした課題の解決のためには、都による調査に加え、村や国の関係省庁も含めた関係機関が一体となって検討していくことが重要であると考えます。  そこで、二十八年度予算案ではどのような調査を行い、関係機関との検討をどのように進めていくのかお伺いをいたします。 ◯中西総務局長 平成二十八年度の小笠原航空路に関する調査費につきましては、今年度予算の約一・六倍に当たります一億一千万円に増額し、動植物の生態に与える影響や最新機材の開発動向、運航採算性等について鋭意調査を行ってまいります。  検討体制については、これまでも小笠原村と実務的な検討や情報共有を行ってまいりましたが、今後さらに検討を進めるに当たっては、航空法や自然公園法等が定める規制を初め、解決すべき多くの課題があり、こうした課題の解決のためには、関係法令を所管いたします国の指導助言が不可欠であります。  このため、村はもとより、国を交えた検討会議を早期に立ち上げ、一層緊密に関係機関との調整を行い、課題を深く掘り下げながら検討を進めてまいります。 ◯田中(た)委員 ぜひ、鋭意調査を進めるとともに、国を交えてしっかりと検討を進めていただきたいと思います。  現在、村民の方々は、重篤な傷病の場合、自衛隊機で本土へ移送され、出産の際などは本土での長期滞在を余儀なくされており、精神的、経済的な負担も大きいのが現状であります。また、領土、領海の保全など、国益上重要な国境離島として国政でも高い関心が示されており、我が党の国会議員有志が結成した小笠原を応援する会においても、航空路の開設など、小笠原のさらなる振興について支援する動きが出てきております。  こうした機運の高まりに鑑み、これまでの案に必ずしもとらわれることなく、幅広い観点から、ぜひ実現可能な航空路案をしっかりと検討していただきたいと思います。  そこで、小笠原の航空路開設に関し、改めて知事のご決意をお伺いいたします。 ◯舛添知事 小笠原の航空路開設は、今、田中理事おっしゃったように、島民生活の安定と国境離島である小笠原諸島の自立的発展を図る上で極めて重要でありまして、長年にわたる小笠原村民の切なる願いであることは私も強く認識をしております。  航空路開設に当たりましては、さまざまな課題がありますことから、小笠原村や国など関係機関との調整を一層緊密に、かつ丁寧に行うとともに、環境への影響や運航採算性、最新の技術開発動向などに係る調査を幅広い視点に立って実施してまいります。  こうした調査の結果や国との調整等を踏まえ、自然環境と調和した実現可能な航空路案が取りまとめられるよう精力的に検討を進めてまいります。 ◯田中(た)委員 これまでの経緯を踏まえますと、小笠原の村民の方々の期待にぜひ応える取り組みを行っていただきたいと思います。  小笠原村は二年後の平成三十年に本土復帰五十周年を迎えますが、村や小笠原を応援する会からこの時期までにぜひ航空路開設の方向性を見出してほしいとの声を伺っております。  都は、こうした声を真摯に受けとめ、村や国と十分に協議を行い、一定の方向性が示されることを改めて要望いたします。  次に、産業振興について伺います。  日本の産業の発展は東京の行動にかかっているといっても過言ではなく、東京と各地がしっかりスクラムを組んでいくべきであります。  さきの本会議では、都は四十六全ての道府県への訪問を済ませ、そこでの意見も踏まえ、新たな連携策に着手したことを明らかにいたしました。プロジェクトで描いた施策をただ進めるのではなく、各道府県から聞いた生の声を生かし、協力して事を進めていく姿勢が必要であります。  そこで、都は来年度、各道府県から得た意見を踏まえ、具体的にどのように産業振興策を進めていくのか伺います。 ◯山本産業労働局長 ALL JAPAN&TOKYOプロジェクトには、全国の中小企業の活性化、各地と連携した観光振興や農林業振興など、幅広い施策を盛り込んでおります。  全国の道府県庁や商工団体を訪問いたしまして、連携の具体化に向けて協議を行いましたところ、東京の大きなマーケットやビジネスチャンス、多様な人材、企業との連携、強い情報発信力などへの期待が高く、こちらから各地に出向いて交流機会を設ける取り組みなども求められたところでございます。  来年度は、こうした意見も踏まえまして、ポータルサイトでさまざまなビジネス情報を全国の中小企業に提供するほか、東京のデザイナーとテキスタイル産地の交流機会の創出、産業交流展での全国ゾーンの拡大、東京と各地が連携した外国人旅行者誘致、各県に出向いて行う商談会など、東京と日本全体の発展に資する産業振興策を本格的に実施してまいります。 ◯田中(た)委員 二〇一九年、二〇年と、日本全体が団結すべきビッグイベントが続きます。産業分野での取り組みをさまざまな連携につなげ、オール日本の協力体制を築いていくことを期待しております。  先日の代表質問で、我が党はGDP六百兆円の達成に向けた支援を議論しました。TPP協定が発効すれば、域内人口八億人、世界のGDPの四割を占める巨大な経済圏が誕生し、新たな国の加入や他のFTAなどへの波及も期待されております。TPPの効果や影響は産業により異なりますが、製品やサービスの高付加価値、ブランド化を進め、打って出る、あるいは迎え撃つ体制を整える視点が大切と考えます。  まず、海外市場へ活躍の場を広げようとする中小企業が資金を円滑に調達できるよう支援することが必要であります。  先日の代表質問で、都は金融機関とジェトロなどが連携した新たな支援に取り組むと答弁いたしました。積極的な融資に結びつく実効性の高い支援とすべきでありますが、具体的な支援の仕組みについてお伺いをいたします。 ◯山本産業労働局長 来年度開始する事業では、金融機関と連携するジェトロなどの機関の多様な支援を原則無償で提供いたします。  ジェトロにおいては、専門家を中小企業に派遣し、企業のニーズを踏まえた支援方針を策定するとともに、現地情報の提供や販路開拓の支援などを行います。ジェトロはこうした支援内容や実現可能性に関する情報をレポートにし、金融機関と共有することで積極的な融資につなげてまいります。  そのため、都としては制度融資に海外展開支援メニューを新設し、最優遇金利を適用するとともに、信用保証料の二分の一を補助するなど、中小企業の負担にも配慮しつつ、海外展開を金融面から強力に後押ししてまいります。 ◯田中(た)委員 TPPを見据えた海外展開の新たな支援として積極的な取り組みを求めておきます。  中小企業支援に関連して、この四月に新銀行東京は、東京TYフィナンシャルグループと経営統合し、新たな一歩を踏み出します。追加出資の四百億円については、優先株式という形でしっかりと確保されております。  都は、東京TYフィナンシャルグループの株主として経営を見守ることになりますが、我が党が主張してきたように、中小企業支援の強化という新銀行東京の設立理念の継承こそが重要であります。  昨年九月に締結した包括連携協定を生かし、金融支援はもちろん、都内百二十四店舗のネットワークにより都の施策を中小企業にしっかりと行き渡らせ、そして、現場の声をフィードバックし、施策に生かしていただきたいと思います。  都と東京TYフィナンシャルグループとの連携の具体的な取り組みについてお伺いをいたします。 ◯山本産業労働局長 東京TYフィナンシャルグループは、中小企業に対する金融支援として、この四月から中小企業振興公社の知財活用支援を受けた企業に対する融資を開始するほか、都独自の制度でございます地域の金融機関と連携した新保証つき融資の取り扱いを新たに始める予定でございます。  また、来年度、都の各種支援策や展示会などを検索できるアプリを東京都が開発いたしまして、タブレット端末等を用いて行員が営業現場で活用するほか、都内全店舗に案内コーナーを設置し、東京都のさまざまな産業振興施策を広く紹介いたします。  なお、このコーナーでパンフレットなどを置くラックは、多摩産材製にしたいと考えております。  都としては、営業現場で得られた意見や要望を施策に反映させるなど、双方向の取り組みにより、中小企業への支援を一層強化してまいります。 ◯田中(た)委員 ぜひとも新銀行東京、あるいは東京TYフィナンシャルグループとの連携を図っていただきたいと思います。そしてまた同時に、ぜひ多摩産材の普及も重ねてお願いをしたいと思います。  グループ内には連携の専門部署も設けられたとのことであります。緊密な関係を築き、中小企業支援のさらなる強化につなげることを期待いたします。  次に、農畜産物に関してでありますが、TPPを見据え、都内産農畜産物は、これまで以上に商品価値を高めていく、ブランド化の推進が必要となります。  例えば、有名な京野菜は、絶滅の危機に瀕していたものをブランド化の取り組みにより見事に復活させたとのことであります。東京でも、温暖な八丈島でのフルーツレモンや西多摩の伝統的なノラボウナなどは、その魅力を最大限引き出すPRや販売により知名度も上がり、消費拡大につながります。  都内産農畜産物の競争力を高めるため、販売促進などの観点からブランド化支援を強化すべきですが、所見をお伺いいたします。 ◯山本産業労働局長 農畜産物のブランド化に向けた取り組みといたしまして、東京都はこれまで、新品種の開発や高品質で安定生産ができる栽培技術の指導、ブランド化に積極的な農業者グループの育成などに取り組んできております。  来年度は、新たに中小企業診断士が農畜産物の生産量や生産コストなどを踏まえたブランド戦略づくりへのアドバイスを開始いたします。  また、市場調査や販路開拓、ロゴやパッケージのデザイン等についても、各分野の専門家を派遣し、商品価値の向上に向けた取り組みを支援いたします。  加えて、消費者へのアピールのためののぼり旗などのPRグッズの製作費やマルシェの出店経費の助成など、多面的な支援によりまして、都内産農畜産物のブランド化を強力に推進してまいります。 ◯田中(た)委員 ブランド化に成功し、海外への輸出が伸びている地方の農畜産物もあると伺っております。ぜひ、引き続き積極的な支援をお願いいたします。  次に、林業に関してでありますが、TPPによる製材品への関税撤廃などを見据え、森林整備への支援はもちろんのこと、多摩産材の利用拡大を進めることが重要と考えます。  私の地元にある東急池上線の戸越銀座駅では、現在、都の支援により多摩産材による駅舎の建築が進められています。完成予想図を見ると、ホームの壁や天井などに木材がふんだんに使われ、多摩産材の認知度向上が期待できます。  さらには、民間の商業施設や都内で年間五万戸建設される木造住宅などでの利用を進めることも重要と考えますが、多摩産材の民間利用拡大に向けた取り組みについてお伺いいたします。 ◯山本産業労働局長 都では、多摩産材の民間利用の一層の拡大を図るため、来年度、新たに基金を造成し、多くの人に利用される、認知度向上も期待できる民間商業施設の案内カウンターや通路等の木質化を計画的に支援してまいります。  また、住宅を建設しようと検討されている都民の方々に多摩産材の利用を直接働きかけるため、住宅展示場でのモデルハウスの整備を進めるとともに、住宅を設計する建築士を対象に、木造設計等に関する講習会の開催や、製材事業者等の情報発信を行ってまいります。  こうした取り組みを進めることにより、東京の木、多摩産材の民間利用のさらなる拡大に努めてまいります。
    ◯田中(た)委員 さまざまな形で都民の皆さんの目に触れ、木のよさを実感してもらえるよう、引き続き積極的にPRしていただきたいと思います。  次に、雇用に関しお伺いをいたします。  一億総活躍社会の実現には、誰もが安心して働ける雇用環境整備が重要であります。我が党は、昨年第四回定例会で非正規雇用対策を取り上げ、中小企業における人材確保の面からもパート社員等の正規雇用転換が有効であること、そして、退職金制度の整備に伴う負担軽減への支援など、きめ細かな対応が必要であると指摘いたしました。  非正規対策を加速させ、中小企業の人材確保も図るため、トータルで目配りのきいた支援が必要でありますが、都の見解をお伺いいたします。 ◯山本産業労働局長 企業現場で高まりつつある正社員転換による人材確保の動きを加速させるため、国の助成金に最高五十万円を上乗せする都独自の助成金の事業規模を、来年度、大幅に拡充いたします。  加えて、安定した労働条件を確保する制度の導入を後押しするため、退職までを見据えた支援を新たに実施いたします。具体的には、企業が正社員転換した従業員を中小企業退職金共済制度へ加入させた場合、助成金を、さらに一人当たり十万円加算をいたします。  今後とも、中小企業における人材確保と安定した雇用環境の実現に着実に取り組んでまいります。 ◯田中(た)委員 正社員として人を雇うことに、経営者の方は重い責任を感じております。制度の利用に向けた十分な周知をお願いしておきます。  次に、安全・安心の視点からお伺いをいたします。  世界に誇る東京の治安は、警察や行政の取り組みに加え、町会、自治会等の地道な防犯活動により支えられております。しかし、これらの団体も高齢化等の課題を抱えており、地域の安全を全て任せることはできません。  都は、昨年六月に、安全安心まちづくり条例を改正し、地域における安全・安心の体制強化の規定を盛り込むとともに、七月には事業者が業務をしながら子供らの弱者を見守る、ながら見守り連携事業を開始いたしました。今後、さらに地域で活動する事業者の協力を得るなど、総力を結集した体制をつくることが重要であります。  今回は、条例改正後初の予算編成であり、これを契機として、地域における安全・安心の体制強化に向けた取り組みを加速させる必要があると考えますが、ながら見守り連携事業を今後どのように展開していくのか、お伺いをいたします。 ◯廣田青少年・治安対策本部長 地域の力を強化するためには、町会、自治会等の団体のみならず、地域に密着した民間事業者に着目し、安全・安心に関する活動への参加を進めることは重要でございます。  都は、昨年七月に日本郵便東京支社及び東京都信用金庫協会と、十二月にはセブンイレブン・ジャパンと包括協定を締結し、事業者が犯罪などから弱者を見守る取り組みを開始いたしました。また、地域の見守り要望箇所の走行など、より地域の実情を踏まえた取り組みとなるよう、年度末までに十区市町村が個別協定を締結いたします。  来年度は、さまざまな事業者へと取り組み拡大を図るとともに、新たに、ながら見守りへの協力をあらわすステッカーの配布等を行うほか、ポータルサイトによる情報提供等により、区市町村に個別協定の締結を働きかけるなど、都内全域に事業を展開し、地域の安全・安心の体制を強化してまいります。 ◯田中(た)委員 今後も地域の見守りの目が充実し、安全・安心の都市の実現を期待いたします。  次に、福祉施策についてお伺いをいたします。  高齢化が進む中、都は、高齢者が地域で安心して暮らし続けられるよう、地域包括ケアシステムの構築に取り組んでいますが、中重度の要介護高齢者を支えるためには、特別養護老人ホームの整備も重要であります。  都はこれまで、土地賃借料や整備費に対する独自の補助制度により制度を促進してきましたが、平成三十七年度末までに六万人分確保するという長期ビジョンの目標を確実に達成するためには、さらなる支援策を講じ、整備を一層加速する必要があります。  我が党の代表質問に対し、来年度から、整備率が低い地域での整備費補助の加算を拡充するという答弁がありましたが、その具体的な内容についてお伺いをいたします。 ◯梶原福祉保健局長 都はこれまで、特別養護老人ホームの整備を促進するため、区市町村ごとの高齢者人口に対する整備率の中間値である一・二五%を基準として、これを下回る地域を対象に、ユニット型一床当たり五百万円である施設整備費の補助単価を、一・一倍から一・五倍の五段階で加算してまいりました。  来年度からは、長期ビジョンで掲げた定員六万人分の目標達成に向けまして、加算を行う整備率の基準を二%に引き上げますとともに、各区市町村が属する老人福祉圏域の整備率も勘案することといたしました。  その結果、加算対象となる地域は、現在の二十五の区市から四十五の区市に増加し、また、一・五倍の補助単価が適用される地域も、三つの区市から二十五の区市へと大幅に拡大する見込みでございます。 ◯田中(た)委員 加算対象地域が大幅にふえ、多くの地域で加算割合が拡大すること、これを評価したいと思います。  国においても、一億総活躍社会の実現に向け、介護離職ゼロを目指し、特別養護老人ホーム等の介護サービスの基盤確保を進めるとしており、昨年十一月に打ち出した緊急対策の中には、都が提案要求し、我が党も強力に後押ししてきた特別養護老人ホームの建物所有要件の規制緩和や国有地の減額貸付等が盛り込まれました。  こうした国の動きに、都もしっかりと応えていくべきと考えますが、規制緩和を踏まえた今後の取り組みについてお伺いをいたします。 ◯梶原福祉保健局長 特別養護老人ホームは、これまで運営事業者が建物を自己所有することが要件とされておりましたが、今般、国は、介護離職ゼロに向けた緊急対策の中で、都の提案を受けまして、特別養護老人ホームの建物所有要件に係る規制緩和を行う方針を打ち出しました。  これを受け、都は来年度から、土地所有者等が賃貸目的で特別養護老人ホームを整備する場合についても、新たに施設整備費を補助することといたしました。  現在、都市型軽費老人ホームや認知症高齢者グループホームでは、土地所有者等による整備が補助実績の約半数を占めていることから、特別養護老人ホームでも、より一層の整備促進につながるものと考えておりまして、今後、土地所有者等に対する説明会を開催するなど、新たな補助制度を広く周知してまいります。 ◯田中(た)委員 これを契機に、運営事業者はイニシャルコストを低減でき、土地所有者も資産を活用した社会貢献が可能になります。都もしっかりと整備を進めていただきたいと思います。  次に、国有地の減額貸付についても伺います。  これは、都有地の利用促進の実績を踏まえた都の提案も受けて実現したものでありますが、今後の都の取り組みについてお伺いいたします。 ◯梶原福祉保健局長 都は現在、福祉インフラの整備を促進するため、未利用都有地を減額貸付する事業を実施しており、特別養護老人ホームにつきましては、これまでに十件、運営事業者を決定しております。こうした実績も踏まえ、都はこれまで、国に対し、国有地の貸付料の減額や利用可能な国有地の情報提供を繰り返し提案要求してまいりました。  都の提案を受け、国の緊急対策には国有地の減額貸付が盛り込まれ、既に一月には、都内で第一号案件の貸付契約が締結されました。また現在、国から四十五件の活用可能な国有地のリストも情報提供されております。  今後、国有地の活用も含め、さまざまな支援策を講じ、特別養護老人ホームの整備を加速させてまいります。 ◯田中(た)委員 今回の規制緩和は、現場の実態に根差した都の問題意識に国が応えることで実現した大きな成果であります。今後も都と国が連携し、実効性の高い施策を強力に推し進めていただくことを期待いたします。  次に、障害者の就労支援についてお伺いいたします。  都内民間企業の障害者実雇用率は上昇しているものの、法定雇用率を下回っております。障害者が企業に就職し、働き続けるためには、就職前に実践的な就労経験を積むなど、円滑に一般就労へ移行するための支援が重要と考えます。  障害者雇用の機運を醸成するためにも、都は、みずから率先して就労経験の機会を提供すべきと考えますが、都の取り組みをお伺いいたします。 ◯梶原福祉保健局長 都はこれまで、知的障害者や精神障害者の就労を支援するため、チャレンジ雇用として、障害者を都庁内の各職場に配置し、就労経験を積む機会を提供してまいりました。しかし、配属された職場によって経験可能な業務が限られることや、雇用期間についても、一年もしくは六カ月のみで、障害者の多様なニーズに十分対応していないという課題がございました。  そのため、来年度からは、庁内各局からさまざまな業務を受注し、幅広い経験を積むことができるよう、新たに東京チャレンジオフィスを設置して、受け入れを一カ所に集約することといたしました。  また、雇用期間についても、最長三年間まで更新可能とするほか、一カ月程度の短期実習制度も導入し、障害者のニーズにきめ細かく対応した就労経験の場を提供してまいります。 ◯田中(た)委員 ぜひとも各局が協力し、障害者がさまざまな経験のできる機会を提供していただきたいと思います。  一方で、一般企業での就労が難しい障害者も多くいらっしゃいます。こうした方々は福祉施設で働いていらっしゃいますが、その工賃は月額約一万五千円と低い水準にとどまっております。  都は、昨年の予算特別委員会で我が党の質問に対し、福祉施設の製品の販路拡大や工賃向上につなげるため、福祉・トライアルショップの開設準備を進めると答弁しましたが、現在の取り組み状況についてお伺いをいたします。 ◯梶原福祉保健局長 福祉・トライアルショップを、福祉施設の製品の販路拡大や工賃向上につなげていくためには、さまざまな製品を取りそろえ、その魅力を広く発信していくことが重要でございます。  そのため、昨年六月から七月にかけて、都内約七百カ所の施設を対象に、自主製品の内容やショップへの参加意向等について調査を実施いたしました。  また、本年一月に、製品の魅力を広く都民にPRするための特設サイトを開設するとともに、二月からは、製品を直接手にしてもらうための販売イベント、ユニークプラスマーケット二〇一六を実施しており、明日からは都庁でも開催をいたします。  今後、イベント等の結果も生かし、店舗の設置場所やデザイン、取り扱う製品の選定等を進め、来年度、都庁のほか、区部、多摩各一カ所で店舗を開設いたします。 ◯田中(た)委員 都のこれまでの取り組みに対しては評価をしていきたいと思いますし、さらなる店舗拡充に向けた、引き続いての取り組みをよろしくお願いをしていきたいと思います。  次に、家庭的養護の推進に向けた取り組みについてお伺いをいたします。  都内には、虐待等の理由により、親元で暮らすことのできない子供が約四千人います。これらの子供たちが、家庭的な環境のもとで健やかに生活できるようにするためには、養育家庭や少人数の生活単位で養育を行うファミリーホーム、グループホームの家庭的養護の推進が不可欠であります。  都は、昨年四月に社会的養護施策推進計画を策定し、平成四十一年度までに社会的養護に占める家庭的養護の割合を、現在の三割から六割に引き上げる目標を定めました。  また、昨年の第四回定例会で、我が党の質問に対し、家庭的養護の推進に向け、具体的施策を検討するとの答弁を得ました。  そこでまず、家庭的養護のうち、養育家庭に対する新たな取り組みをお伺いいたします。 ◯梶原福祉保健局長 都は現在、養育家庭への委託を推進するため、定期的な家庭訪問や心理カウンセリング等を行う里親支援機関事業を、三つの民間団体に委託をして実施しております。  来年度は、養育家庭の登録数をふやすため、児童福祉分野に関心のある層にターゲットを絞った広報活動等を行う里親開拓コーディネーターを各団体に配置いたします。さらに、養育家庭への支援の充実を図るため、経験の浅い養育家庭への実践的な研修を行う里親トレーナーや、健康管理に配慮が必要な乳幼児等を委託した家庭を訪問し、助言等を行う保健師等も配置することとしております。  また、養育家庭に対しましては、負担軽減を図るため、委託前に児童と交流する際にかかる交通費等を新たに補助するほか、共働き家庭が認証保育所等を利用する際の保育料の補助も実施いたします。 ◯田中(た)委員 ぜひ養育家庭をしっかりと支援していただきたいと思います。  子供が抱える課題に合わせて適切な養育環境を提供するためには、グループホームやファミリーホームも重要な役割を担っております。グループホーム等の設置は進んでいるものの、職員の確保、育成や、適切な広さの物件を探すことが難しいとも伺っております。  都として、どのようにグループホームやファミリーホームの設置を進めていくのか、来年度の新たな取り組みについてお伺いをいたします。 ◯梶原福祉保健局長 都は現在、グループホームやファミリーホームに対し、開設準備経費や家賃の助成、補助職員の増配置経費など、独自の支援を行っております。  来年度は、賃貸物件も活用してその設置をさらに促進するため、土地や建物の所有者が新設または改修する場合の施設整備費補助を創設いたしますとともに、自己所有物件のみが対象でありました法人型ファミリーホーム開設時の備品購入等への補助を賃貸物件にも拡大いたします。  また、グループホーム等を増設する児童養護施設での職員の確保、育成を支援するため、グループホーム等を三カ所以上設置する場合、後方支援等を行う常勤職員を増配置できるよう運営費への補助を増額するとともに、箇所数に応じた加算を行うこととしております。 ◯田中(た)委員 家庭的養護の割合を六割にするという目標の達成に向け、これらの取り組みを推進するとともに、今後も子供たちの状況やニーズを踏まえた施策を展開することを強く要望いたします。  次に、都立高校改革に関してお伺いをいたします。  先月、都教育委員会は、都立高校改革の計画を策定し、夜間定時制では勤労青少年が減少し、在籍生徒数も年々低下しているため、一部を閉課程し、一方、多様化する生徒のニーズに応えるため、昼夜間定時制やチャレンジスクールの規模を拡大するとしています。現在は、雇用形態や勤務時間も多様化しており、働いている生徒にとって、本当に夜間定時制だけが学びの場なのでしょうか。  夜間定時制は四十四校、昼夜間定時制とチャレンジスクールは合わせて十一校あり、定時制在籍生徒の実に過半数が昼夜間定時制またはチャレンジスクールで学び、そのうち、三五%程度はアルバイト等で働いているとのことであります。  そこで、昼夜間定時制やチャレンジスクールが、働いている生徒も含め、多くの生徒に選ばれる理由は何かお伺いをいたします。 ◯中井教育長 昼夜間定時制高校もチャレンジスクールも、生徒が自分のライフスタイルや学習ペースに合わせて、午前部、午後部、夜間部の時間帯を選べる定時制単独校であります。単位制であるため、生徒は自分の所属する時間帯以外の授業も履修することができ、柔軟な単位取得が可能でございます。  また、全日制、定時制併置校の夜間定時制課程と異なり、施設等が一日を通じて定時制課程専用となっていることから、生徒は自分の事情に応じて、個別指導や自習、相談等のために登校することができます。  こうしたことから、多様化する生徒や保護者のニーズに応える昼夜間定時制高校やチャレンジスクールを順次拡大してまいりましたが、入学者選抜の応募倍率は依然として高い状況でありますことから、チャレンジスクールの新設を含め、さらなる規模の拡大を行うこととしたものでございます。 ◯田中(た)委員 今回の改革は、まさに今日の生徒によりよく合った定時制に整備するためのものであるということを改めて確認をさせていただきました。  ところで、定時制課程の生徒の中には、働いていると始業時刻に間に合わない場合もあるかと思います。また、定時制に通う生徒は、仲間や先生との人間関係をつくるのが苦手で、そのことで学校から足が遠のいてしまうこともあるとも伺っております。  都教育委員会は、これらの生徒にどのように対応していくのか、お伺いをいたします。 ◯中井教育長 学ぶ意欲のある生徒の学習を支援していくことは重要なことでございます。このため、定時制課程の高校に在籍する生徒が、さらに安心して仕事と学業を両立できるよう放課後の補習等を行うほか、就業などの継続的に行われている校外活動を単位認定するなどの支援を充実してまいります。  また、今年度、ほぼ全ての定時制課程の高校において、生徒同士や教員との人間関係や信頼関係を築く力を身につけられるプログラムを一回程度実施したところ、生徒同士等のつながりが生まれ、第一学年の一月までの中途退学者は、昨年度より三割以上減少しております。  このため、来年度は、このプログラムについて、入学当初や夏季休業日終了直後等にも実施できるよう年三回にふやし、定時制課程で学ぶ生徒の学校生活を支え、社会的に自立できる力を育成できるよう、さらに支援を強化してまいります。 ◯田中(た)委員 都教育委員会は、定時制で学ぶ全ての生徒の学校生活を、ハード、ソフト両面からしっかりと支えているものと改めて理解をいたしました。今回策定した都立高校改革推進計画新実施計画を着実に実施し、都民の要請に合った高校改革をしっかりと引き続き進めていただきたいと思っております。  さて、平成二十八年度の予算を審議するに当たり、ここまでさまざまな観点から、知事並びに執行機関の考えを伺ってまいりました。  知事は、本会議の我が党の質問に対して、この予算を原動力に東京の未来を創造すべく、私みずから先頭に立って全力を尽くすとその決意を述べられました。予算執行に限らず、知事が先頭に立って汗をかいていくこと、議会とともに都政を担う二元代表制のトップとしてリーダーシップを発揮していくことが都政の前進に不可欠であります。  二〇一九年、二〇二〇年が迫ってまいります。少子高齢化や災害対策など、待ったなしの課題も山積しております。我々は、平成二十八年度は都政にとって極めて重要な年度になると覚悟を固めております。  そこで、最後に、知事の来年度の都政運営にかける決意をお伺いいたします。 ◯舛添知事 東京と日本にとって重要なこの時期に、都政運営を担う者として一年一年が勝負の年だと覚悟をいたしております。  私みずからが都政の先頭に立ちまして、今後の東京を大きく飛躍させる基礎を築いてまいります。来年度は、これからの東京を形づくるための重要な年だと考えております。  二〇一九年のラグビーワールドカップ、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック、この二つの世界的な大会を何としても成功に導いてまいります。そして、その貴重なレガシーを持続的な経済成長とゆとりある暮らしが両立した成熟都市の実現へとつなげなければなりません。  先般の国勢調査の速報値では、改めて日本の人口減少があらわになりました。私のように団塊の世代、いわゆるベビーブーマーの世代には、まさに隔世の感がいたします。こういう社会構造の大きな転換点に当たって、明るい未来をどういうふうにして築いていくのかと。これは非常に大切な課題でございます。一人一人の個性、多様性を大切にした政策、そして、人生に多様な選択肢が用意されるような政策の必要性はますます高まってくると思っております。抜本的な発想の転換や大胆な施策展開が一層求められております。  東京を取り巻く環境の変化に的確に対処し、効果的に政策を打ち出していくためには、ともに都民を代表する都議会の皆様と、こうして真摯な議論を交わしていくことが不可欠であります。建設的な議論の積み重ねこそが政策を磨かれたものにしていくと考えております。  私は、皆様とまさに車の両輪として山積する課題に取り組み、夢と希望にあふれる世界一の都市東京を実現していく決意でございます。 ◯田中(た)委員 ただいま大変力強い知事の決意をお伺いすることができました。私も冒頭申し上げましたとおり、二元代表制としてのこの立場を得るに当たっては、それぞれ知事も、我々議会も選挙を通じて、都民の負託を受けて、ここにそれぞれ立っているということでありまして、都民に対する責任をしっかりと、この議会を通じて果たしていく、そのような間柄であっていきたいと思っております。  まだ若干、ちょっと時間がありますので、先ほど私は、知事、大変文化に造詣が深いというようなお話もさせていただきました。  東京大会に関連して、先ほども文化についての質問をいたしましたけれども、過去の歴史を見ておりましても、まずは平和な時期に、そしてまた財政的にも安定している時期に、文化に対する造詣の深い、理解の深い為政者によって、その時々、これまで文化は栄えてきました。  私は、知事のこれまでの発言、あるいは知事のさまざまな行動、活動を見ておりますと、大変文化に対する思いが強いものと受けとめております。  今回のオリンピックの開催を通じて、そしてまた、さらにその先の文化ビジョンを推進していきながら、文化の推進といったものを図っていくべきと思っておりますが、特にその文化の視点での知事の、また改めて思いをお伺いしていきたいと思います。 ◯舛添知事 先般、パリのイダルゴ市長がお見えになりました。議会でもすばらしい演説をしていただきましたけれども、世界のランキングで、パリは三位、我々は四位であります。文化という点で、まだまだパリに学ぶところがたくさんあると思っております。特に美術館などにおいて、例えばルーブル美術館に入館する方と、上野もたくさんございますけど、この美術館の差が歴然としている。こういうところでどういうふうにして埋めるかなと。  先般、私がパリに参りましたときに、プティ・パレという美術館で歌川国芳の展覧会をやっておりました。これは物すごい人気でありまして、同時期にフランスの版画も展示されてましたけれども、最高の紙は日本の和紙、ヨーロッパの人たちもそれを使った。  そういう観点から見ると、先般、パリの市長にも申し上げましたけど、パリには海はありませんねと。向こうはセーヌ川があります。我々は川だけじゃなくて海もありますねと。そういうことで、やはり江戸の文化というのを我々は再生するという観点が必要で、ぜひそれをリオのパフォーマンスでも取り入れたいと思っております。  そして、私たちは、水を交通、生活に使うとともに、やっぱり文化をそこで育てた。隅田川が一番いい例ですけれども、徳川吉宗というのは、これは防災対策とともに、あそこに桜を植えることによって人がたくさん来る。そうすると、これはみんなが踏み固めますから堤防ができる。この桜が今も続いておりまして、隅田川を川下りしながら、もうすぐ時期ですけれども、花見をする。そして、屋形船を浮かべて、夏はこの両国橋のところで花火を上げると。  こういうことは、世界の誰が見てもすばらしいことでありますので、ぜひこれを我々もしっかりと受け継いでいきたいし、例えばライトアップということをやります。ライトアップ、これも文化の一つであって、これが東京が一番おくれている。パリ、ロンドンの美しさに比べてライトアップが足りません。これを、例えば隅田川の全部の橋を、色を変えてライトアップしようと。豊洲が開場しますけど、豊洲は特別な色で展示をしようと。それで夜、東京を見たときに、すばらしく光輝く。そして今、LEDを使いますから、そんなにエネルギー代もかかりません。  そしてまた、私たちが水を誇りに思っているのは──江戸の時代のイギリスは、ロンドンは汚くてしようがないまちであった。それは水の管理がちゃんとできていなかった。そして我々は、リサイクル社会を江戸時代につくっていったと。
     汚い話ですけど、ふん尿の処理は世界最高であって、それが肥料になってリサイクルする。それから、隅田川上流から下流に下ってくるときに、船でいっぱいごみを運んでくるんですけど、下流まで行くときに全てなくなっている、みんながリサイクルする。そして、江戸のまちで一番大きかった店は古着屋であって、皆がリサイクルする。こういうリサイクル文化が、今、CO2の削減を含めて世界をリードする最先端の環境問題に対応できるというふうに思っておりますので、そういう広い意味での文化を、我々は東京から発信していく。これが人類を救う道にもなるというふうに思っております。  それから、障害者についても、残念ながら、障害者を中心とするアール・ブリュット、こういう美術館がありません。これはぜひ皆さんのお力をおかりして──滋賀にはあるんです、しかし、東京にないとだめだと思っておりますので、こういう点においても充実をしてまいりたいと思っております。  全力を挙げて、スポーツの大会でありますけれども、同時に、オリンピック憲章にも文化の大会であるといわれている。ロンドンも文化で成功した。ぜひロンドン、パリを抜いて世界一になるように頑張っていきたいと思っております。 ◯田中(た)委員 ありがとうございました。昭和三十九年のときの東京オリンピックは、まさに高度経済成長期の大会でありましたけれども、その経験を経て成熟した今日の国家のもとで行われるオリンピックは、私はまさに知事のお話のように、文化、あるいは環境といったものが大きなテーマになってくると思っておりますので、ぜひそういった視点からも、しっかり東京から魅力発信できる、そしてまた、その上での将来につながるオリンピック・パラリンピックの開催に向けて、ともに努力をしていきたいと思っております。  ありがとうございました。(拍手) ◯早坂委員長 田中たけし理事の発言は終わりました。  この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。    午後三時三十一分休憩      ━━━━━━━━━━    午後三時五十分開議 ◯上野副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  質疑を続行いたします。  橘正剛理事の発言を許します。 ◯橘委員 都議会公明党を代表いたしまして総括質疑を行います。  最初に、財政運営について質問いたします。  東京都の平成二十八年度予算案では、堅調な企業収益を背景に、都税収入が五年連続の増となるなど、一見、都の財政は盤石といえます。しかしながら、都の歳入というのは、景気の変動に左右されやすい不安定な構造を持っていることから、現状では、税収が好調だといっても安心できるものではありません。  こうした懸念材料がある中で、二十七年度最終補正予算や二十八年度予算で計上されている基金の積み立てを、都民のために使わずため込んでいるなどという意見があります。こうした見方は、都の財政の構造や、これまでの基金運用の工夫等を見れば、いささか無責任であるといわざるを得ません。  都の基金のうち、いわゆる財源として活用可能な基金に焦点を当てまして、都の財政における基金の重要性について整理しておきたいと思います。  そこでまず、二十七年度最終補正予算と二十八年度予算の全体で、財源として活用可能な基金の積み立ての工夫、また、活用する際の判断基準について伺います。 ◯長谷川財務局長 平成二十七年度最終補正予算と二十八年度予算を一体として捉えますと、まず、二十七年度最終補正予算では、年度途中の都税収入の増や歳出予算の執行状況の総点検により生み出しました財源を活用することで、社会資本等整備基金などに一千六百三十六億円を積み立てております。そして、二十八年度予算では、社会資本等整備基金を初め、財源として活用可能な基金を六百五十四億円取り崩すこととしておりまして、これをインフラ整備や福祉施設整備のほか、子育て支援、福祉人材の育成などの事業に充当して安定的な施策展開に活用をしております。  この結果、財源として活用可能な基金は、二十八年度末で一兆一千五百八十七億円の残高を確保しております。 ◯橘委員 税収の増、それから予算執行の節減等で出た財源をすぐに使うというのではなくて、いざというときの基金という備えに回す、ただし、政策展開等で必要な分は基金から支出するという、入れたり出したり、この機動的で弾力的な手法をとっているわけであります。  こうした手法によって、安定した強固な財政運営を可能にして、政策展開を通して都民への還元にも計画的な対応を可能にしていると理解しております。  さて、このフリップを見ていただきたいのですが、これは基金の重要性について、いかに効果があるか、活用できるか、基金という財源として活用可能な基金を重点的にわかるように簡略化した図でございます。  平成三年からバブル経済が崩壊過程に入っていきます。そうしますと、三年ぐらいあるんですけれども、バブル崩壊が始まって、この局面で税収はどんどんどんどん落ちていきます。  これを補うために、この政策活動支出が必要になってきます、景気が低迷しますから。それで、政府の経済対策も大量に投入されていきます。そうしますと、これに基づきまして、東京都も出資をしていく、予算をつけていく、景気を維持するためにはそうせざるを得ません。  そのことによって何が起きたかといいますと、この税収の減、それから行政活動支出、これのギャップが大きく、格差が大きくなったわけであります。それを補ったのが、この格差を補ったのが何かといいますと、これが都債の大量発行でありました。  けれども、都債の大量発行というのは、いずれツケとして後世に回っていきますので、いずれ払わなきゃならない。これがやっぱり借金となっていくわけです。それを補ったのが、この下の方でだんだん下降曲線をたどっていきます、この財源として可能な基金なわけです。これがなかったらどうなるか、借金だけが残ったという、そういう事態になったと思います。この基金がこの時点でも効果を発揮した、使われたということが、この図で、簡略でありますけれども、いえるかと思います。  それからもう一つ、リーマンショック、このときは、このなだらかな税収減ではなくて急激な税収減が起きたときであります。このときにどうしたかといいますと、このときは、都債の大量発行ではなくて、どんどんどんどん積み立てていった。そしてまた、いざというときに使えるように、その積み立てた財源として活用可能な基金、これがここまで復活しているわけですね。これはここの段階で、行政改革であるとか、税の節減であるとか、さまざまな血のにじむような努力をしまして、そしてこれが、この基金というのができ上がったわけです。この基金によって、リーマンショックで急激に落ち込んだ都税収入が、この基金によって救われたといっても過言ではありません。  結果として、この行政活動支出、政策的経費でありますけれども、これがずっと維持されたということになるわけであります。  そうしますと、これで、本当の概略で申しわけありませんが、バブル崩壊の時点、リーマンショックの時点、この時点で、東京都の財政にとって基金がいかに重要な役割を果たしているか、こういう見方をすることができると思います。  そこで、このように見ていきますと、都税収入の減収局面において、基金をどう活用してきたか、今後の都の財政運営を論ずる上では大事なポイントであると思います。  そこで、都の財政運営における基金運用の位置づけ、どのように位置づけをしているのか、また、今私が申し上げたように、過去の推移、そして具体的な対応も含めて局長の所見を伺います。 ◯長谷川財務局長 ただいまお話がございましたが、バブル経済の崩壊によりまして、都税収入が急激に落ち込む中で、都は財源対策として基金を徐々に取り崩して対応してまいりました。その結果、平成元年度には一兆円を超えておりました活用可能な基金の残高は、十一年度には八百六十九億円とほぼ底をつくことになりました。  その後、財政再建の取り組みが実を結び、また、二十年度にかけては都税収入が堅調であったこともございまして、基金の積み立てを着実に行い、二十年度には一・五兆円台の残高を確保しておりました。  一方、二十年のリーマンショック後、東京都は、一年間で約一兆円の減収に直面したわけでございますが、こうした中にありまして、自己改革の取り組みを徹底して、無駄を排除いたしますとともに、必要な行政サービスを安定的に展開するというために、二十一年度から二十三年度にかけて、基金を合計約六千億円取り崩すことで、厳しい財政環境を乗り切ってまいることができたというふうに考えております。 ◯橘委員 それでは、知事にお伺いいたします。  このように税収が乱高下する中で、積み立てた基金があったからこそ、リーマンショック後の大幅な税収の減少局面でも乗り切ることができたわけであります。まさに努力して培ってきた財政対応力を効果的に活用して、都民に対する行政サービスを低下させなかったという実例であるわけであります。これが、この視点が大事かと思います。  また、原則として、ハード事業にしか充当できない都債と比べて、基金は幅広い分野へ充当が可能でありまして、ソフト事業が中心となる福祉施策を安定的に展開していく上でも、大いに寄与するものと私は考えております。  今後、社会保障関係費の増加が見込まれる中で、景気が大きく変動する状況にあっても、基金を有効に活用して、将来にわたって安定した福祉サービスを支え得る財政運営を行っていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。 ◯舛添知事 都政を預かる者の使命は、いかなる状況にありましても、都民の暮らしを守り、都民福祉の向上をなし遂げていくことでありまして、そのためには、これを支える強固な財政基盤の構築は極めて重要であります。  橘理事が今、図表でお示しいただきましたように、とりわけこの都財政は元来不安定な構造にありますことから、子育て支援や超高齢化社会への対応など、今後増大が見込まれます社会保障の分野においても、安定した施策展開を支え得る将来への備えもしっかりと講じておく必要があると思っております。  こうした考えのもと、私は、福祉先進都市実現基金を初め、施策の着実な推進に必要な基金を創設するなど、おっしゃいましたような財政対応力の強化、これに努めてまいりました。  今後とも、自己改革の取り組みを一層徹底することはもとよりでありますけれども、基金の計画的かつ戦略的な活用を図るなど、中長期的な視点に立った財政運営を行うことで都政に課されました使命を確実に果たしてまいります。 ◯橘委員 東京都は、基金をため込みというような、ためにする意見に紛動されることなく、揺るぎない信念で財政運営に当たっていただきたいということを求めまして、次の質問に移ります。  次に、福祉予算について一点確認しておきたいと思います。  平成二十八年度予算案の目的別内訳で、福祉と保健、この分野は一兆一千六百六十八億円で過去最高となっております。また、福祉保健局予算の一般会計予算の政策的経費であります一般歳出は、平成二十七年度予算と比較して五百八十五億円増の一兆一千百二十四億円となっております。  この結果、三年連続で福祉保健局の予算は一兆円を上回ることになりました。これは、舛添知事が就任以来、福祉施策に重点的に配分してきたことによるものでもあると思いますが、同時に、福祉と保健の分野の予算は、都民の健康や生活に密接する分野だけに、我が党も一貫して、特段に注視しまして力を入れてまいりました。  しかし、こういうふうにして努力したにもかかわらず、日本共産党東京都議会議員団は、来年度の都の予算原案発表に当たっての談話の中で、この福祉予算について、このようにいっています。保育園整備のための区市町村への支援が増額され、特別養護老人ホーム整備も補助制度が一部改善され、予算も増額されていることは重要と一定の評価をしているものの、その前振りとしまして、前段階で、福祉予算はふえていますが、そのほとんどは国の社会保障制度による義務的経費が高齢者人口の増加などに伴ってふえるものにすぎませんと、あたかも福祉予算の増加は義務的経費の押し上げによるものだといった、いいがかり的なコメントをしております。  確認のため伺いますけれども、福祉保健局長、このコメントで指摘している、ほとんどが国の社会保障制度による義務的経費がふえているにすぎないというのは、事実でしょうか。見解を伺います。 ◯梶原福祉保健局長 平成二十八年度予算案のうち、福祉保健局の一般歳出は、対前年度比で五百八十五億円の増となっております。  その内訳を見ますと、新規、拡充事業で約三百五十一億円の増となっており、新規事業では、地域医療構想推進事業や子供の居場所創設事業など、総額で約七十三億円を計上し、拡充は、保育士等キャリアアップ補助、介護職員キャリアパス導入促進事業などで、約二百七十八億円となっております。  介護保険や国民健康保険、後期高齢者医療など、国の制度に基づいて負担する法定負担金などは、高齢者人口の増加等により、約四百二十七億円の増となっておりますが、一方、国庫補助が間接補助から直接補助へ変わることなどの国の制度改正や、施設整備の終了による減などのいわゆる当然減も約二百二十四億円であり、私どもとしては、福祉先進都市東京の実現に向け、さまざまな新たな施策を盛り込み、充実を図っていると認識しております。 ◯橘委員 ただいま答弁にありましたけれども、前年度の予算と比較すると、福祉予算は五百八十五億円ふえております。  これに対し、国制度に基づく法定負担金等の増が、約四百二十七億円ということでありました。  共産党は、この金額を殊さら強調して、ほとんどは国の社会保障制度による義務的経費が増加したものにすぎないといっているのだと思います。  五百八十五億円、それから四百二十七億円と並べれば、対前年度の増のうち、大半を占めているように見えますけれども、今答弁にもありましたように、国の制度改正や事業終了などによるいわゆる当然減が二百二十四億円もあります。法定負担金等の増は、対象者の増加などに伴う増であり、実質的に当然増ともいえます。そうであれば、当然増だけをあげつらうのではなくて、当然減もしんしゃくすべきであると思います。  実際、平成二十八年度の福祉保健局の予算案には、創意工夫によるさまざまな拡充施策が盛り込まれ、新規、あるいは拡充策で三百五十一億円もふえております。そうした予算の内容を二の次に、予算額の多寡や高齢化などに伴う義務的経費の増加額を引き合いにして、都の福祉保健行政をこれ見よがしに批判することは、ためにするものだと指摘しておきたいと思います。  次に、介護対策について質問いたします。  本定例会の代表質問において我が党は、都民が抱える介護不安の大きな要因の一つとして、介護人材の不足を指摘し、対策を求めたところであります。予算審議に当たり、この点をもう少し詰めておきたいと思います。  介護ニーズは、今後ますます増大し、それに対応できるサービスを、質、量ともに充実していくためには、そのサービスを支える人材の確保が重要であることはいうまでもありません。介護不安の最大の要因は、介護人材の不足であります。そうした状況下で、国は昨年六月に、平成三十七年度における介護職員数が約三十八万人不足するという推計を発表しております。  そこで、都内における介護職員の現在の就労人数と平成三十七年度の不足数について、都の見込みを伺います。 ◯梶原福祉保健局長 都が昨年三月に行った推計では、都内における介護職員数は、平成二十四年十月現在、約十四万八千人であり、今後の高齢化の進展に伴う介護需要の増加により、平成三十七年度には約二十四万八千人が必要となります。  そのため、平成三十七年度までに、さらに約十万人必要となりますが、現状の離職率や入職者数等の推移などから推計すると、平成三十七年度には約三万六千人不足することが見込まれております。 ◯橘委員 平成三十七年度には約三万六千人も不足するという課題への対応には、あらゆる対策の積み重ねが大事であると考えます。  まず、何といっても、介護人材の賃金水準の改善、これが一番大事なものであると思います。  昨年四月に行われた介護報酬改定では、介護職員の安定的な確保を図るため、介護職員処遇改善加算が拡充されました。この拡充によって、改定前の介護職員処遇改善加算の一人当たり月額一万五千円相当に加えまして、新たに創設された加算区分では月額一万二千円相当が上乗せされました。  そこで、拡充された介護職員処遇改善加算の取得状況について、まず伺っておきたいと思います。 ◯梶原福祉保健局長 処遇改善加算は、四段階に分かれておりまして、今年度から創設された最上位の加算Iでは、職位、職責等に応じた任用要件と賃金体系を整備すること及び職員の資質向上のための計画を策定して、研修の機会を設けることなどが要件とされております。  本年二月一日時点で、都内対象事業所の八七・一%に当たります九千四百十七カ所から処遇改善加算の届け出があり、そのうち八〇・七%の七千六百四事業所が、最上位の加算区分Iを取得しております。 ◯橘委員 ただいまの答弁によりますと、九割近くの事業所等が処遇改善加算を取得しまして、そのうち八割は、最も高い加算を取得しているとのことであります。  しかし、こうした加算が、本当に賃金上昇に結びついていくためには、国も都も、さらに全力を挙げて取り組みを進めていく必要があります。  昨年の第一回定例会の代表質問で、我が党は、報酬改定がマイナス査定となった際の国の経営実態調査がサンプル調査であり、現状を必ずしも十分に反映したものとはいえない点を指摘いたしました。その上で、都として、国とは別に精度の高い調査を行い、介護報酬改定の影響を正確に把握すべきと主張いたしました。  これに対し都は、二十八年度にその調査を行うとのことでありますが、その調査結果をできる限り早期にまとめて公表しまして、国に改善を求めるべきと申し上げておきたいと思います。  その上で、このような状況下で介護サービスに従事している職員の定着を促進するためには、具体的で即効性のある取り組みも必要であります。  都では来年度から、介護職員用の宿舎を借り上げる事業者を支援する都独自の補助制度を創設するとしております。この事業については、今定例会の本会議代表質問で、我が党の長橋幹事長が、事業の効果を一層高めるため、幅広い補助の適用を求めたのに対し、補助要件の詳細について、制度の趣旨を踏まえ、今後検討していくとの答弁がありました。  ここで大切な点は、新規の宿舎だけが対象となるのか、既存の宿舎も対象となるのかということであります。この事業は、災害時の福祉避難所と人材の確保が目的でありますが、同時に、家賃負担の緩和を通し、介護人材の可処分所得額の改善を図ることにもあります。  事業者が既に宿舎を借り上げている場合であっても、補助の対象とすべきと私は思いますが、改めて局長の見解を伺います。 ◯梶原福祉保健局長 本事業は、住宅費負担の軽減等による働きやすい職場環境の確保と、福祉避難所の災害時の運営体制強化を目的としております。  事業実施に当たりましては、今後、補助要件等の詳細を検討することとしておりますが、お話のありました事業者が既に借り上げている職員宿舎につきましても、入居者を災害対応要員と位置づけ、かつ、その職員の家賃負担を一層軽減するなど、今回の事業の目的や趣旨に沿う場合には補助の対象とする方向で検討してまいります。 ◯橘委員 ただいまの答弁は、我が党の主張の趣旨を十分理解していただきまして、既に宿舎を借り上げている場合も補助対象となると受けとめました。どうか、これを強力に推進していただきたいと思います。  次に、公社住宅を活用した子育て支援策について質問いたします。  我が党は、子育て支援などを進めるため、公共住宅の活用を要望し、都営住宅につきましては、子育て世代の入居機会の拡大に関してさまざまな提案を行ってまいりました。  しかし、保育所の不足による待機児童問題や子育て世帯向けの住宅がいまだ十分な量が確保できていない現状におきましては、都のみならず、都の住宅政策を支える重要なパートナーである住宅供給公社も、積極的に子育て支援に取り組んでいくことが必要であります。  建設年代が古く、更新時期を迎えている公社住宅の建てかえにおいて、公社は、地元自治体等の地域の要望を踏まえながら、建てかえにより創出した用地の活用や住宅への併設により、保育施設など子育て支援施設の整備を進めていくと聞いておりますけれども、現在の状況と今後の取り組みについて伺います。 ◯安井東京都技監 東京都住宅供給公社は、都の政策の一翼を担う重要なパートナーでございまして、少子高齢化が進行する中、公社住宅におきましても、子育て支援に向けた取り組みを充実させていくことが重要でございます。  現在、公社では、住宅の再編整備計画に基づきまして、老朽化した住宅の建てかえなどを実施しており、その際、住宅の高層化などにより創出した用地の活用や住棟内にスペースを確保して子育て支援施設等を整備しております。  平成二十六年度には、世田谷区の烏山住宅、板橋区の向原住宅で、創出した用地に保育所が開設され、また建てかえに着手してございます中野住宅では、住棟内における子育て支援施設の併設が検討されております。  今後とも、公社は、住宅の建てかえにおきまして、区市町村を通じ、地域のニーズを把握しながら、子育て支援施設の整備を推進することとしてございます。 ◯橘委員 公社は、住宅の建てかえを通じた子育て支援施設の整備に加えまして、都内に抱える約七万戸の既存住宅においても、子育て世帯のニーズに対応した取り組みを進めることが重要であります。  UR都市機構では、既存住宅において、集会所での子育てサークルといったコミュニティ活動等の支援や空きスペースでの保育ママ事業への活用など、子育てしやすい環境づくりに取り組んでおります。  公社は、既存住宅において子育て世帯を積極的に受け入れるとともに、子育て支援の充実を進めるべきと考えますが、見解を求めます。 ◯安井東京都技監 公社では、既存住宅の入居者募集時に、子育て世帯が他に先行して申し込める制度や、エレベーターがない上層階で幼児を育てる世帯を対象にいたしまして、低層階住戸へのあっせんを行っており、引き続き同様に取り組むこととしてございます。  また、子育てなどの福祉目的で活動するNPO法人等が利用しやすいよう、空き店舗の賃料を減額し、貸し出すなどの制度も設けてございます。  今後、これらの制度がさらに利用され、空きスペースを活用した保育事業など、子育て支援の取り組みが一層充実するよう、地元自治体や事業者に対して積極的に働きかけることとしてございます。 ◯橘委員 この子育て支援、それから今の保育所の不足、待機児童がなかなか解消できないといった事態を考えますと、これで全ての解決策ではありませんけれども、ぜひ、これは意欲的に推進していただいて、少しでも貢献できるような、そんな体制を組んでいただきたいと思います。  次いで、保育士不足に対する対応として、ことしから行われている保育士試験の年二回実施について質問いたします。  保育士不足の要因については、さまざまなことが指摘をされておりますけれども、保育士の資格取得の機会そのものをふやす取り組みである保育士試験の年二回実施は、有効な対策であるかと思います。  昨年、第一回定例会において、我が党の代表質問に対して、東京都は、年二回の試験実施に向けて検討を行っていくとの答弁をされました。  そこで、まず、保育士試験の二回実施に至るこれまでの経緯と今後のスケジュールについて伺います。
    ◯梶原福祉保健局長 保育士試験は、全ての都道府県が同一の試験機関を指定し、年一回、全国統一で実施しておりましたが、資格取得の機会を拡大するため、都は国に対し、試験回数をふやすよう繰り返し提案要求してまいりました。  国は昨年一月、年二回化の方針を示し、本年から、都に加え四十四の道府県が年二回の全国統一試験を実施する予定でございます。  試験日程につきましては、一回目は、筆記試験が四月二十三日と二十四日、実技試験が七月三日、最終合格通知の発送が八月六日から十四日まで、また二回目は、筆記試験が十月二十二日と二十三日、実技試験が十二月十一日、最終合格通知を一月下旬ごろに発送する予定でございます。  なお、一回目の筆記試験の申し込みは既に締め切っておりまして、四月上旬に受験票を送付する予定となっております。 ◯橘委員 詳細なスケジュールまでありがとうございます。  今後、都は、潜在保育士の掘り起こしだけでなく、保育補助者向けの保育士資格の取得や、ひとり親世帯の親の就労資格取得支援などを通じて、保育士試験の年二回実施を有効に活用できるよう、準備と周知に努めていただきたいと思います。  それを踏まえて質問いたしますけれども、四月の第一回目のこの試験で惜しくも不合格となった人が、この方は、最終的に合否がわかるのは八月になるわけですね。その八月の時点で、これは不合格とわかった、そうしますと、二カ月後の十月に第二回目の試験があるわけですが、この試験に再チャレンジしたいという人も出てくることが考えられると思います。これは受験が可能なのかどうか伺います。 ◯梶原福祉保健局長 保育士試験は、筆記試験を受験し合格した上で、その後の実技試験を受験できる仕組みとなっております。  今回、一回目の筆記試験を不合格だった方に対しては、試験結果とあわせて、二回目実施分の受験申請書を送付することとなっております。  また、実技試験で不合格だった方に対しても、同様に二回目の実技試験の受験申請書を送付いたします。  このように一回目の試験で不合格となった方に対しては、二回目の受験機会を逃すことのないよう対応することとしております。 ◯橘委員 こういう微に入り細にわたりの配慮というもの、こういう支援策というのは大事だと思います。一人の保育士を確保するため、どれだけ大変かという、そういったことも踏まえますと、こういった細かい配慮が必要だと思います。今の答弁で、同一年度内に再チャレンジも可能ということであり、この点を合格発表の際に知らせていただきたいと、これもまた徹底していただきたいと思います。  もう一点伺います。  二回目の試験の合格発表が、年明けの二月近くになるということについて確認をしたいのですけれども、このスケジュールでいきますと、二月に発表になって、そして、四月の働き始めの直前、この二カ月で、非常に短い期間で就職活動をしなきゃならない。二月にはわかって、四月にはもう就職なんですね。  そうしますと、保育人材の定着を図るためには、就職時のミスマッチを防ぐことが大事だとよくいわれております。というのは、このミスマッチが原因で潜在保育士がふえる要因ともなっていると、こういう指摘もあるわけですから、ここにもまた配慮が必要だと思います。  そこで、新たに資格を取得した保育士さんたちが、短期間で、それぞれ自分に合った職場を見つけられるように支援することが必要と考えますが、この点について、どういう対策を講じていくのか見解を伺います。 ◯梶原福祉保健局長 都は、保育人材・保育所支援センターに、保育士資格を持ち、保育所等での勤務経験があるコーディネーターを配置しておりまして、就労希望者には、資格の有無にかかわらず、保育所等への就職に関する相談に応じますとともに、求人情報を提供しております。  また、保育士の資格取得見込み者も対象に、就職活動のポイントをまとめた講義などを行う就職支援研修と、都内保育所等に直接保育の方針や勤務条件等について質問、相談ができる就職相談会を一体的に行っております。  これらの取り組みによりまして、保育士試験受験者が、それぞれ自分に合った職場を見つけられるよう、資格取得前から就職活動を支援しているところでございます。 ◯橘委員 ぜひ、よろしくお願いします。  次に、都の障害者雇用について質問いたします。  知的障害者、精神障害者については、公務分野での雇用が課題となっていた平成十九年度に、国が、成績主義適用外である非常勤の制度としてチャレンジ雇用を打ち出しました。  これを受けまして、我が党がいち早く議会質問で取り上げ、都においても実施するよう要望いたしました。そして、都は平成二十年度にチャレンジ雇用を開始したという、そういう経緯がございます。  就労が困難とされる知的障害者、精神障害者の雇用において、チャレンジ雇用は、障害者の福祉、雇用就業施策の観点から極めて重要でありますが、公務の職場における雇用という意味でも、まさに先駆けとなった取り組みであります。  そこで、まず、これまでのチャレンジ雇用の実績と今後の取り組みについて見解を伺います。 ◯梶原福祉保健局長 都は、平成二十年度から雇用にチャレンジ事業を開始し、平成二十六年度までの七年間で、百八十八人の障害者を受け入れてまいりました。  このうち、福祉保健局では百六十人の方を受け入れ、平成二十七年七月末時点で、七九・四%に当たる百二十七名の方が企業等へ就職をしております。  来年度からは、庁内各局からさまざまな業務を受注し、障害者がより幅広い業務経験を積むことができるよう、新たに東京チャレンジオフィスを開設いたします。  また、雇用期間を最長三年間まで更新可能とするほか、一カ月程度の短期実習制度も導入し、障害者の就労に向けた支援を充実してまいります。 ◯橘委員 今答弁で、このチャレンジ雇用を経験して、それを踏まえまして約八割の方が就職をしていると。その就職という目標を達成していること、これは大変評価したいと思います。  しかしながら、知的障害者、精神障害者及びその家族、保護者にとっては、就職することがゴールではなくて、本人が安心して働き続けることができ、いわゆる親亡き後も安定的に就労を継続できるようにしたいというのが強い強い願いなんであります。  そうした思いに応えていくことができるよう支援していくべきと考えますが、具体的な対策があればと思います。見解を求めます。 ◯梶原福祉保健局長 都は、障害者の就労や職場定着を支援するため、身近な地域で生活と就労の支援を一体的に行う区市町村障害者就労支援センターの設置を促進してまいりました。  センターでは、就職した障害者が安心して働き続けられるよう、職場を定期的に訪問し、本人からの相談に対応いたしますとともに、企業に対しましては、働きやすい職場の環境づくりやトラブルが生じたときの対処方法等について必要な助言を行っております。  今後とも、区市町村等と連携し、チャレンジ雇用終了者を初め、障害者の就労継続を支援してまいります。 ◯橘委員 社会全体で障害者雇用の確保を進めていく上で、就労支援として行われるチャレンジ雇用は大きな役割を果たしているように思います。  しかし、都庁などの職員としての採用は行われていないのが現状であります。  国では成績主義などを理由に、いまだ知的障害者、精神障害者の常勤の雇用は進んでおりませんが、今回の障害者雇用促進法改正の趣旨から考えれば、都としても、常勤雇用への先鞭をつけていくことも重要であるかと思います。  そこで、都庁において、知的障害者、精神障害者の長期的かつ安定的な雇用の確保に向けて、一歩前に進めるための環境整備を行っていく必要があると思いますけれども、見解を伺います。 ◯中西総務局長 いわゆる成績主義は、国、地方を問わず、公務員の任用における根本原則であり、知的、精神障害者の方の雇用においても、現行の公務員法のもとでは、この原則に基づき運用されなければなりません。  そのため、雇用に当たりましては、障害者の特性にかなった職務の見きわめ、その職務に求められる能力水準の設定、さらには将来を見据えた段階的な任用など、制度全体の体系的な整理が必要となります。また一方で、支援員の配置や勤務形態の工夫など、個々の状況を踏まえたきめ細かな職場環境の整備も欠かせません。  都では、来年度から開設いたします東京チャレンジオフィスにおける業務の集約化や、都立学校のチャレンジ雇用でのさらなる業務の開拓など、まずは障害者の適性を生かせる職域の確立に向けて、人事委員会事務局等とも連携して、引き続き必要な検証と改善を積み重ねてまいります。 ◯橘委員 今答弁に人事委員会事務局とありましたけれども、その事務局にちょっとお尋ねします。  先駆的な取り組みを行ってきた都におきまして、知的障害者、精神障害者の採用についても、モデルケースをつくって発信する役割を東京都に担っていただきたいと私は思っております。  ぜひ、人事制度や運用面における検証を重ねて、知的障害者、精神障害者が安心して継続的に働くことができる雇用を実現してほしいと強く要望しておきます。  ところで、この人事委員会事務局、これは試験に関係するわけでありますけれども、職員の採用におきましては、地方公務員法によりまして、受験による成績など能力実証に基づいて、平等の条件で行わなければならないこととなっております。したがって、職員となるためには、人事委員会の行う競争試験または選考に合格する必要があるわけであります。  その中で、身体障害者については、各採用試験を受験する際、車椅子受験生への配慮や、拡大文字、点字による筆記試験の実施等、いわゆる合理的配慮というさまざまな支援が制度化されておりまして、身体障害者を対象とした高等学校卒業程度の採用選考を別枠で実施しております。  一方で、都の採用試験の受験資格を改めて確認いたしましたところ、法に定める欠格条項以外、全ての人に平等に受験機会が与えられているわけであります。したがって、知的障害者や精神障害者の方々も、受験することは可能なわけであります。  しかし、筆記試験におきまして、一般の受験生と同程度の能力の実証を求められることになれば、合格するには困難な面があるということもまた事実であります。こうしたこともございまして、公務員の常勤雇用に至っていないわけであります。  今回の障害者雇用促進法改正の趣旨を踏まえれば、障害のある方も障害のない方も、不公平がないようにする合理的、客観的要件のもとで、これらの方々の障害の特性に応じた採用試験の実施を考えていく必要があるのではないかと思います。  そこで、別枠での採用試験の実施など、障害の特性に応じた能力実証のあり方について、検討すべき段階に来ていると私は考えますが、東京都人事委員会の見解を求めます。 ◯藤田人事委員会事務局長 職員を採用するに当たりましては、地方公務員法に定める成績主義に基づき、採用後に従事する職務内容等に応じた適切な能力実証を実施しているところでございます。  具体的には、事務や技術などといった従事する職務分野のほか、その職務に求められる能力水準等に応じまして、出題の範囲やレベルを設定いたしまして、採用区分ごとに試験を実施しております。  このため、知的障害者や精神障害者の方々を常勤職員として採用する場合には、任命権者における職の設定等を踏まえまして、その職に必要とされる能力や適性等を客観的に実証する手法を検討する必要がございます。  今後、任命権者と連携をし、障害の特性に応じた適正な能力実証のあり方や手法等について、調査検討を行ってまいります。 ◯橘委員 ただいまの答弁は、採用に向けた可能性を大きく開くものでありまして、知的障害者、また、精神障害者並びに保護者にとって大きな希望になると思います。ぜひとも、詰めて詰めて、なるべく早くこれが実現できるようにお願いしたいと思います。  次に、盲ろう者支援センターの整備について質問いたします。  台東区内にある東京都盲ろう者支援センターは、全国に誇る都の障害者福祉の象徴的施設であります。都議会公明党は、この設置を提唱いたしまして、二〇〇九年五月の開所以来、一貫してその充実を推進してまいりました。  盲ろう者は、家の中に閉じこもっているケースが多く、人数など、その実態は最近まで余り判明しておりませんでした。視覚と聴覚の両方の身体障害者手帳ベースで見ますと、都内には八百四十名いらっしゃいます。このうち、盲ろう者支援センターで提供されるサービスを利用するための登録を行っている方は百三十一名いらっしゃいます。  この方たちが通っている支援センターでは、さまざまな手法によるコミュニケーション訓練、生活訓練、パソコン等の電子機器の活用訓練など幅広い分野にわたり丁寧なサービスが行われております。  専門的で多岐の分野にわたる訓練は、支援センターに通わなければ、ほとんど縁をしない体験でございまして、利用者にとっては、介助者と一緒にいたり、支援センター内でサービスを利用している時間帯が、社会との交流を体験できる貴重な時間になっているとのことであります。より多くの盲ろう者が支援センターのサービスを利用できるようになれば、どれほどの喜びになるか、はかり知れないと思います。  このため公明党は、多摩地域にも都の盲ろう者支援センターが必要であることを繰り返し訴えてまいりました。これを受けて、来年度、支援センター事業の多摩展開を行うことになりましたが、これは実に大きな前進であると思います。  そこでまず、具体的な事業内容について伺います。 ◯梶原福祉保健局長 東京都盲ろう者支援センターでは、盲ろう者の自立と社会参加を促進するため、来所、電話による相談やコミュニケーション手段などの訓練、指点字やお菓子づくりなどの学習会や交流会を実施しております。これらのサービスは、多摩地域の盲ろう者の方も利用しており、交流会については多摩地域でも開催をしております。  来年度からは、多摩地域の盲ろう者の方が、より身近な地域でセンターのサービスを利用することができるよう、新たに多摩地域に会場を確保し、毎月一回程度、定期的に日常生活などに関する相談や各種訓練を実施してまいります。 ◯橘委員 月に一回でも、多摩地域で盲ろう者支援センターのサービスが展開されるようになる意義は非常に大きいものがあります。ぜひ、区市町村を通じて、関係者によく周知し成功をおさめてもらいたいと思います。  拠点会場で実施するというのは、これは大きな前進ではありますけれども、地域が広い多摩地域では、何カ所かを順繰りに巡回するなど、できる限り盲ろう者の生活の現場に近い場所で実施することも必要ではないかと思いますけれども、これについて見解を求めます。 ◯梶原福祉保健局長 平成二十四年度に全国盲ろう者協会が実施した調査では、多摩地域在住の盲ろう者の方は二十四市に二百三十人いらっしゃいます。  都といたしましては、今後、多摩地域の盲ろう者の方が、できるだけ身近な場所でセンターのサービスを利用できるよう巡回実施に向け、センターと協力して会場の確保に努めてまります。 ◯橘委員 次々と、この盲ろう者に対する支援というのは充実されておりまして、感謝しています。これはやはりきめ細かでないとできないことでありまして、まず巡回、それから拠点、それから、この先には施設、これをしっかりと多摩地域にも設置していただきたい、このことを改めて要望しておきたいと思います。  今、さまざまに盲ろう者支援を初め障害者への支援、この課題について質問してまいりましたけれども、質疑を踏まえまして、舛添知事に伺います。  東京が名実ともに福祉先進都市であるためには、施策の先進性、充実度、そして何よりも都民や利用者から喜んでいただけるものでなければなりません。舛添知事が目指す都政の姿においても、福祉先進都市は、都民に具体的なイメージと実感を持って受けとめられるべきと期待するものであります。  二度目のパラリンピックを開催する都市として、障害者福祉施策の充実について、舛添知事の決意を伺います。 ◯舛添知事 障害のある人もない人も、社会の一員として、お互いに尊重し支え合いながら、地域の中でともに生活する社会が私の目指す共生社会であります。  その実現のため、都はこれまで、障害福祉計画を策定し、さまざまな障害者施策を展開してまいりました。その一つが、橘理事、先ほどお話しの東京都盲ろう者支援センターであります。このセンターは、公明党の皆さんの要望を受けまして、平成二十一年に全国で唯一、盲ろう者のための専門的な訓練や相談等を行う拠点として開設したものであります。  センターの事業につきましては、これまでも拡大を図っておりまして、平成二十八年度予算でも、今局長が申しましたように多摩地域への展開など、新たな取り組みを盛り込んでおります。  東京は、世界で初めて二回目のパラリンピックを開催する都市であります。そのレガシーとして、女性や高齢者、障害のある方など、誰もが持てる能力を十二分に発揮して活躍できる環境を整えることが必要でございます。  今後、世界一の福祉先進都市東京の実現に向けまして、心のバリアフリーの推進やユニバーサルデザインのまちづくりなど、ソフト、ハードの両面から障害者施策の充実に全力で取り組んでまいります。 ◯橘委員 次に、医療サービスの充実について質問いたします。  病院経営本部では、全ての都立病院、公社病院に患者支援センターを設置いたしまして、患者に対する相談支援機能を強化しております。  患者支援センターは、医療連携や医療相談を通じて、患者が適切な医療を受けられるよう支援したり、患者が安心して受診できるよう支援したり、また、円滑に地域社会に戻ることができるように支援する部門であります。患者を支え、病院と患者、地域を結びつける窓口の役割を持つ部門として非常に重要な役割を担っております。  我が党でも、早くからこの重要性に着目いたしまして、充実を一層進めるべきと主張してまいりました。  昨年六月までに、全都立病院に患者支援センターを設置いたしまして、相談機能を強化してきているわけでありますが、患者支援センターの現状、また、これまでの取り組みについて伺います。 ◯真田病院経営本部長 患者支援センターでは、医療ソーシャルワーカーや退院調整看護師、医療連携担当職員等、患者を支える複数の部門を一体的に組織し、情報共有を図りつつ、ワンストップの相談窓口対応を行っております。  また、患者が安心して入院できるよう、入院前に手術の説明等を行う入院サポートを新たな事業として開始いたしました。  さらに、院内の多職種チームにより行っている在宅療養移行支援の取り組みを充実するため、地域の訪問看護ステーションや包括支援センター等との意見交換を行うなど、連携関係の強化を図っております。  これらの機能を基本とし、各病院の医療機能や地域の特性に応じた取り組みを進め、患者に対する支援の強化に努めてまいります。 ◯橘委員 相談機能の強化、それからスムーズな在宅医療への移行は、患者や家族にとって重要なことでありまして、引き続きしっかりと対応していっていただきたいと思います。  一方、社会的に見れば、超高齢社会に伴う高齢者の一人世帯や老老介護の問題、経済的弱者の増加、虐待問題など、患者を取り巻く環境は常に変化しております。患者支援もこうした多様化、複雑化するニーズを踏まえながら適切に対応していかなければならないと思います。  そこで、患者支援センターを運営する中で、これまで見えてきた課題と、今後の取り組みについて伺います。 ◯真田病院経営本部長 患者を取り巻く環境の変化に伴いまして、患者支援センターには、患者だけでなく、家族や地域も対象とした事業展開の必要性や、治療だけでなく医療周辺分野へも対応することの重要性などが課題として見えてまいりました。そのため、駒込病院では、がん患者が治療を行う際に、仕事との両立ができるよう、ハローワークの職員が病院に来て、ソーシャルワーカーとともに、就労の具体的なアドバイスを提供する就労支援事業を、来年度から新たに実施していきます。  また、各都立病院において、がん教育への支援や都民向け講演会などの疾病予防のための普及啓発活動を充実させるとともに、患者や家族が相互に支え合う交流の場の提供など、患者以外にも対象を拡大した多様な活動に取り組んでまいります。  今後とも、患者支援センターの充実を図り、こうした課題に適切に対応してまいります。 ◯橘委員 すばらしい取り組みであります。すごい充実度と思います。  これは、私は、メディカルソーシャルワーカー、MSWさんに、たまに取材したりして聞くことがあるんですけれども、最近、相談というのは、かなり、入院、退院、転院、また入所とか、そういったことだけではなくて、さまざまな家庭環境から経済的なものまで、すごく広い分野の相談がふえていると聞いております。そうしたことに対応するために、やっぱりこういった体制でなければ、患者さんに、また家族に対応できないんですね。これはすばらしい取り組みだと思います。ぜひまた強化していっていただきたいと思います。  患者は、病院からの支援を非常に頼りにしているわけです。ぜひ、今の答弁にあったように、家族や地域、また医療周辺分野も視野に入れた支援が必要であるという問題意識を大切にしながら、さらに事業展開に向けて、引き続き力を注いでいっていただきたいと思います。  次に、多摩メディカルキャンパスの整備について質問いたします。  難病は、患者数が少なく、原因不明で効果的な治療法が未確立である上、確率は低いものの、誰にでも発症の可能性がある病気であります。難病患者は、どこに行っても診断がつかない、治療経験のある医師が見つからないなど、医療を受ける上で多くの困難に直面しております。  このため、難病の診断、治療に対応できる高い専門性と経験を有する医療機関が中心となり、難病医療を充実していくことが重要であります。  そこで、多摩メディカルキャンパスの一角にある神経病院の改築に当たっては、都の難病医療の拠点として整備するとのことでありますが、具体的な機能強化について伺います。
    ◯真田病院経営本部長 現在、神経病院では、神経系難病に対する入院医療を提供しており、外来やリウマチ膠原病系、消化器系などの難病医療は、多摩総合医療センターで対応しております。  今回の整備では、多摩総合医療センターが実施する難病機能を神経病院に集約し、診療範囲を拡大いたします。  また、専門性の高い外来診療体制を新たに整備することにより、神経病院を多くの難病に対し、外来、入院から在宅移行後の支援に至るまで、一貫して高度な医療を提供する難病総合医療センターとして再構築いたします。  こうした機能を生かし、難病患者が自宅での療養中、急に容体が悪化した場合でも、確実に受け入れ、専門性の高い治療を行う病床を整備するなど、難病患者を支える地域医療機関を支援し、都の難病医療の拠点としての機能強化を図ってまいります。 ◯橘委員 難病は、根本的な治療法が困難な病気でありますが、昨今の医療の進歩により、少しずつではありますが、治療法の選択肢が広がってきております。これから整備する難病総合医療センターでは、新たな治療法にも積極的に取り組んで、難病医療の発展に貢献することを期待しております。  医療の進歩は、がん診療においても目覚ましく、これまで発見の困難な超早期の段階のものでも発見可能になってきたことに加えまして、より体に負担の少ない治療方法も開発されていると聞いております。  また、医療機器の技術革新も目覚ましいものがございまして、がんの検査、診断から、治療に至るがん診療体制の高度化を図るためには、最新の機器の活用は非常に有効であるかと思います。  そこで、多摩メディカルキャンパスの整備に当たりましては、最新の機器の活用による、がん医療の機能強化の具体的な取り組みを行うべきと考えますけれども、見解を伺います。 ◯真田病院経営本部長 キャンパスにおけますがん医療を一層強化するためには、先端的な医療機器の導入が必要であると認識しております。このため、まず、診断機器といたしましては、これまでの検査では発見できなかった小さながんにも対応できる最新のPETCTや、従来の乳がん検査と比べ超早期の段階で発見できることに加え、苦痛も大幅に緩和される、関東では二施設しか導入されていない乳がん専用のPET、いわゆるPEMなど高精度な診断機器の導入を検討いたします。  また、治療機器といたしましては、複雑な形状の腫瘍への照射が可能で、正常な組織への影響を極力抑えた強度変調放射線治療、いわゆるIMRTの専用装置や腫瘍を立体的な画像で捉え、二センチ程度の小さな傷口で、より正確な手術が実施できる内視鏡手術支援ロボットなどの導入を検討し、体への負担が小さい高度な治療を推進してまいります。 ◯橘委員 ぜひ、日本でも、もう随一といわれるような、そういった体制を組んでいただきたいと思っております。  次に、中小企業支援について二問質問いたします。  初めに、中小企業の海外展開における支援について伺います。  舛添知事は、今定例会の施政方針表明の中で、販路開拓先としてのニーズが高い海外都市において、経済団体と連携してすぐれた技術をPRすると述べられました。こうした取り組みは、東京の中小企業が多く出展する海外の展示会でこそ有効でありまして、実際に海外取引の拡大といった具体的なメリットにつなげていくことが重要であります。  しかしながら、経営資源の限られている中小企業が、数多くのライバル企業がいる展示会の中で、企業名や製品を確認してもらうのはとても難しく、企業の方々は大変な努力をしてPRを行っていると聞いております。まさに、こうした場で、行政と経済団体等が一体となり、チームとしての東京をPRすることで、発信力も高まり、他の出展者との差別化を図ることもできるかと思います。  そこで、その発信力をさらに高めるためにも、知事みずからがトップセールスを行い、都内中小企業の海外での販路開拓を強力にサポートし、新たな商談や取引につなげていくことが必要と考えますが、知事の所見を伺います。 ◯舛添知事 中小企業のさらなる成長発展のためには、海外市場を積極的に切り開いていくことが重要であります。  これまで都は、中小企業が販路拡大を図るために、自社製品の需要が見込まれる国におきまして、一度に多くの商談やPRができるような展示会の出展を支援してまいりました。  来年度からは、こうした支援を強化するため、経済団体とともに私みずから海外展示会に出向きまして、これまで諸外国にたくさんのネットワークを築いてまいりましたので、そのネットワークを活用して、新たな取り組みを開始したいと思っております。  具体的には、展示会の開催に合わせまして、東京の製品や技術を売り込むためのPRを行うビジネスセミナーを実施するほか、現地の政府機関、経済団体、企業などとの交流会を開催いたしまして、さらなる人的ネットワークをつくって新たなビジネスにつなげていきたいというふうに思っております。  私自身もそうした場で先頭に立ちまして、東京の産業力を力強く発信し、中小企業の販路拡大を後押ししていく決意でございますので、どうか都議会の皆さん方のご支援を賜りたいと思います。 ◯橘委員 知事が現地に直接行って、都内の中小企業や東京の産業力を強く発信するということは、展示会に出展する中小企業にとって、とても心強いと思います。ぜひとも、効果の高いPRに取り組んでいただき、中小企業のビジネスチャンスの拡大につなげていただきたいし、また、その成果というものは、都民に還元していただく、目に見える形で還元していただく。そうすればまた、知事の海外での活躍というものも評価されるかと思いますので、どうかそういった観点で頑張っていただきたいと思います。  さて、次に、ビジネスチャンスナビ二〇二〇、この活用について伺います。  昭和三十九年の東京オリンピック・パラリンピックでは、まちの洋品店の方が、選手団や役員のユニホームの仕立てや寸法直しを行ったりして大会を手伝ったというお話を先日伺いました。もう昼夜突貫工事というそんな感じの作業だったらしいんですけれども、納期に追われながら大変だったけれども、今も大会に、三十九年の東京オリンピック・パラリンピックに貢献したという誇りや、また、自分たちの思い出になっているというお話を伺いました。  東京都は、現在、中小企業への受注機会の拡大のために、二〇二〇年大会に向けてさまざまな発注情報を一元的に集約したポータルサイト、ビジネスチャンスナビ二〇二〇の構築を進め、四月には開設する予定と聞いております。  このサイトは、中小企業だけでなく、協同組合の利用登録も可能とのことでございますので、組合員である小規模事業者や個人の事業者のサイトに対する期待や関心が今後ますます高まっていくものと思います。  私は、このサイトの活用により、次の東京大会でも、ぜひとも、小規模事業者、また、まちの洋品店もあります、また個店もあります。そういった、この方たちの技術や技能、こういったものにもう一度光が当たって、活躍の場が得られるようにしてもらいたいと思っております。  そのためにはまず、このサイトの活用の仕方を、小規模事業者や個人事業者の団体である協同組合を含めまして、広く中小企業に徹底的に周知していただきたいと思います。  また、協同組合や中小企業からすると、登録手続やサイトの記載など、なれない作業が伴うと思いますので、さまざまな相談などを行う窓口があれば安心できるかと思います。  東京都は、サイトの周知や利用者相談等についてきめ細かに対応すべきと考えますが、見解を伺います。 ◯山本産業労働局長 都は、ビジネスチャンスナビ二〇二〇の利用促進を図るため、中小企業支援機関と連携し、サイトの機能や登録、活用方法等を解説したPR用リーフレットを作成し、協同組合を含む中小企業に広く配布するとともに、各種セミナーなど、あらゆる機会を捉えて説明を行い、積極的に周知を図ってまいります。  また、中小企業振興公社を初めとするさまざまな支援機関が行う中小企業への巡回相談等におきましても、サイトの活用を働きかけていくとともに、利用方法等についての相談窓口を設け、きめ細かく対応いたします。  こうしたさまざまな手法によりサイトの利用を促進し、中小企業の受注拡大につなげてまいります。 ◯橘委員 ぜひ、このサイトを使って、まちの個店である個人事業者が、また元気になるように、そんな支援もよろしくお願いしたいと思います。  次に、再生可能エネルギーの普及拡大について質問いたします。  東京都は先月、太陽光発電の導入量を二〇三〇年までに百三十万キロワットまで高めるという目標を明らかにいたしました。  近年、国の固定価格買い取り制度により太陽光の導入量は大幅に拡大しておりますが、全国的には急激な拡大に伴う系統連系の問題など、幾つかの課題が顕在化してきております。  この先も、太陽光を初めとする再生可能エネルギーを安定的にふやしていくためには、固定価格買い取り制度だけに依存しない導入促進策を講じていく必要があると思います。  今後の具体的な対策について見解を求めます。 ◯遠藤環境局長 電力系統への接続や賦課金による国民負担の抑制など、固定価格買い取り制度が直面している課題に対処しながら、再生可能エネルギーの導入拡大を図っていくためには、都民、事業者がつくり出した電力をみずから消費するよう促す方策が有効でございます。  このため、来年度から、家庭向けには、日中使い切れない太陽光発電による余剰電力を電力会社に売電するのではなく、夜間に有効利用できるよう、蓄電池等の導入費用の一部を補助するエネルギー利用高度化促進事業を新たに実施いたします。  また、事業所向けには、太陽光や風力、小水力などで発電した電力を自家消費する場合、五千万円を上限に設備導入費用の一部を補助する地産地消型再生可能エネルギー導入拡大事業を開始いたします。 ◯橘委員 再生可能エネルギーといいますと、とかく電力ばかりが注目されますけれども、熱エネルギーは、熱源の確保でというふうにいわれることもございます。給湯や暖房などに必要なエネルギーを太陽熱や地中熱で賄うことができれば、CO2排出量の削減にもつながります。  また、地域で生み出した熱エネルギーを地域で消費する地産地消が進めば、地域経済の活性化や災害時におけるエネルギーの自立性向上にもつながります。  そこで、再生可能な熱エネルギーの利用拡大を進めることが重要と考えますが、都の見解を求めます。 ◯遠藤環境局長 再生可能な熱エネルギーの利用拡大に向けて、来年度に東京の特性を踏まえた取り組みを実施してまいります。  まず、太陽熱につきましては、都内の新築分譲数の約三分の二を占める集合住宅への施工技術等をガイドブックにまとめ、住宅供給事業者に対する普及啓発を行ってまいります。  また、地中熱につきましては、地中からとれる熱量の目安を示すポテンシャルマップを年度内に公開し、都民、事業者の認知度及び導入意欲の向上を図ってまいります。  このほか、事業所向けの補助事業では、これまでの太陽熱や地中熱に加え、廃棄物等の都市型バイオマスや未利用木材を活用した熱利用設備などにも補助対象を広げ、その導入を支援してまいります。  こうした取り組みを通じ、多様な再生可能熱エネルギーの利用を促進してまいります。 ◯橘委員 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会の競技施設につきましては、我が党はかねてより、地中熱利用のヒートポンプ、複数の施設のネットワーク化によるエネルギーの有効利用、再生可能なエネルギーなど、さまざまな環境対策を行うよう提案してまいりました。  都は、二〇二〇年東京大会に向けて、大規模な競技施設を整備しておりますが、それらの施設について積極的な環境対策を行うべきであります。また、施設ごとに、環境対策を世界からの観戦者にPRできるように提示すべきでありますが、都の見解を求めます。 ◯中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 都が整備する大規模施設でありますアクアティクスセンター及び有明アリーナにつきましては、省エネ・再エネ東京仕様を適用しますとともに、日本のグリーンビルディング認証制度、CASBEEの最高ランクSを目指すなど、環境負荷の少ない施設整備を進めることとしております。  具体的には、地中熱利用のヒートポンプ、コジェネレーションシステムなど、再生可能エネルギー、省エネルギー技術を積極的に導入し、エネルギー消費量及びCO2の排出量を従前からの標準的な設備を使用した場合に比べて約三割削減する設計となっております。  こうした環境対策について、競技施設を訪れる観戦者へPRしていきますことにつきましては、今後検討する大会時の会場レイアウトや運営方法などを踏まえながら、会場やその周辺での掲示や展示など効果的な方法を検討してまいります。 ◯橘委員 二〇一六年大会の誘致の際の目玉は、先進的な環境対策でありましたが、この思想は決して忘れてはならないと思います。  昨年、パリで開催された国連気候変動枠組条約の第二十一回の締約国会議、いわゆるCOP21が地球温暖化防止の目標を定めたことを受けまして、東京が掲げた目標達成へ、具体的に取り組む必要があります。  また、大きなイベントでも、着実に温室効果ガスを削減していることをアピールするためにも、二〇二〇東京大会のエネルギー消費量、CO2排出量の目標を定めるべきと考えますが、見解を伺います。 ◯中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 二〇二〇年大会は、世界一の環境先進都市に向けて、持続可能な低炭素型都市のモデルを示す好機となります。二〇二〇年大会における持続可能性への対応につきましては、現在、組織委員会において、大会の準備、運営を行う上での原則となります持続可能性に配慮した運営計画の策定を進めております。  今後、その中で、大会に伴って発生する温室効果ガスについて、削減に係る目標、排出量の把握方法や削減策など、温室効果ガスの削減に向けた排出量の管理について検討が行われます。  引き続き、組織委員会と連携いたしまして、持続可能性に配慮した大会の準備、運営に努めますとともに、大会施設などでのエネルギー利用の効率化、最適化を図るなど、大会を契機に環境対策を一層推進してまいります。 ◯橘委員 次に、同じオリンピック・パラリンピック関係ですけれども、話題を変えまして、オリンピック・パラリンピック教育について質問いたします。  本年一月に公表されました東京都オリンピック・パラリンピック教育の実施方針では、教育の基本的な枠組みが示されております。  そこで、オリンピック・パラリンピックの基本理念と、学校教育の目指す目標との関係について、教育長に改めて確認しておきたいと思います。 ◯中井教育長 オリンピック・パラリンピックは、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の奨励や、スポーツを通した人間形成といった崇高な理念を掲げております。  これは、平和で民主的な社会の形成者として必要な資質を備え、心身ともに健康な人間を育成するという学校教育が目指す目的と相通ずるものがございます。  都教育委員会といたしましては、こうした点をしっかり踏まえながら、全ての学校でオリンピック・パラリンピック教育を展開していくこととしております。 ◯橘委員 今答弁にありましたオリンピック・パラリンピックの崇高な理念と学校教育が目指す目的が相通じるものであるとの捉え方は、これは非常に教育の分野から見ても重要な視点だと私は思っております。  二〇二〇年大会に向けた教育現場における関連事業を、単なるイベントとして捉えるのではなくて、崇高な人間形成の大切な教育機会と捉えることが重要だと私は思います。そうした信念をしっかり基本に据えて、今後の事業に取り組んでいただきたいと思います。  さて、オリンピック・パラリンピック教育それ自体、教員にとっては初めてのことであり、少なからず不安を覚えている教員もいるようでございます。まず、指導に当たる教員がオリンピック・パラリンピックの意義や果たす役割を理解することが大切であります。  そこで、都教育委員会は、学校の教員に対して十分な教育活動ができるように支援を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。 ◯中井教育長 オリンピック・パラリンピック教育を推進するには、理事ご指摘のとおり、教員一人一人がオリンピック・パラリンピックに関する教育の意義や狙いを的確に理解した上で、この教育を進めるための実践的な指導力を高める必要がございます。そのため、都教育委員会は、四月に、都内全ての教育委員会関係者や校長約二千五百人を集め、この教育の意義を深めるための連絡会を開催するとともに、各学校の担当教員を対象とした説明会を実施いたします。  また、学校の夏季休業日等には、教員みずからが効果的な授業を展開するための指導法等を学ぶ研修会を実施いたします。さらに、体験や活動を重視した教育の展開に向け、教員専用のウエブサイトでの学習指導案や指導事例の提供、学校と教育活動支援団体等とのコーディネートの実施など、本教育の充実に向けた支援を積極的に進めてまいります。 ◯橘委員 次に、アスリートとの交流事業について質問いたします。  東京都は、オリンピアンやパラリンピアンを学校に派遣する、夢・未来プロジェクトを昨年八月から十一月にかけて実施いたしました。そこでは、数多くの困難を乗り越えてきた方ならではの心に響く話が語られるなど、非常に教育効果があったと聞いております。  学校においては、一流のアスリート、特にパラリンピアンといった障害者アスリートとの交流を促進することによって、卓越した運動技術や精神などを本物から学び、よりよい人間形成を図る教育を一層推進していくべきと考えますが、見解を伺います。 ◯中井教育長 都教育委員会では、本年度、オリンピアンやパラリンピアン等を学校に派遣する夢・未来プロジェクトを、都内公立学校百十二校で実施いたしました。  参加した子供たちからは、パラリンピアンとの交流を通じ、諦めずに前向きに取り組む大切さを学んだ、夢や目標に向かって努力するたっとさに気づいたなどの声が多く聞かれ、学校からも、ニーズの高い事業との評価を得ております。  四月からの全校展開に当たり、来年度は、派遣規模を二百二十校に拡大し、このうち障害者理解のさらなる促進に向けて、障害者アスリートを今年度の約三倍となる九十校に派遣してまいります。こうした取り組みを通じて、自己実現に向けて努力する意欲や困難に立ち向かう勇気、思いやりの心の育成をより一層図ってまいります。 ◯橘委員 この夢・未来プロジェクトではありませんけれども、東京都の補助事業で広域支援型商店街事業というのがございまして、この事業を使いまして、板橋区内でユニバーサルスポーツ大会というのを企画した商店街がございました。私も伺ったんですが、これは障害者スポーツをなさっている方、しかも全国レベルの方といっておりましたけれども、そこに接した子供たちは、ルールを学んだり、そしてまた自分で実際に一緒にやってみたり、そうすることによって、目の輝きがもうがらっと変わってくるんですね。これは驚きました。  やはりこういった超一流の選手と接すること、これによって、パラリンピックに対する理解は深まると思いますし、同時に、オリンピックへの理解も深まる。また、あわせて配慮というものが、そこで自然のうちに培われると、そんなことを目の当たりにいたしました。どうぞますます力を入れて取り組んでいただきたいと思います。  さて、最後のテーマになりますけれども、小笠原空港について質問をいたします。  先ほどの質疑でもございましたけれども、小笠原諸島にとっては、内地との交通アクセスはもう生命線でありますけれども、航空路の開設は、島民の生命の安全、離島振興のために必要であると考えております。  これまで都においても、洲崎地区活用案、硫黄島活用案、水上航空機案の三案を中心に調査検討を行っていることは我が党も承知しております。  そこで、まず小笠原航空路に関する現状と平成二十八年度の取り組みについて伺います。 ◯中西総務局長 小笠原航空路につきましては、これまで、お話の三案を中心に調査を重ねるとともに、小笠原村等の関係機関と実務的な検討や情報共有を行ってまいりました。  世界自然遺産であり、本土から一千キロメートル離れた小笠原諸島における航空路の開設に当たっては、自然環境への影響を初め、費用対効果、運航採算性などさまざまな課題がございます。  こうした課題の解決に向け、平成二十八年度予算案では、航空路に関する調査費を今年度予算の約一・六倍の一億一千万円に増額し、動植物の生態に与える影響や運航採算性等について鋭意調査を行ってまいります。 ◯橘委員 地理的条件や自然環境等、厳しい条件下にある小笠原航空路の開設に当たっては、運航可能な機材も必然的に限られてくるわけであります。  国内に目を向けますと、天草エアライン株式会社が、航空機メーカーのATR社製のプロペラ機でありますATR42型機を日本で初めて導入し、先月、我が党は実際に現地に行って搭乗してまいりました。  天草エアライン株式会社によりますと、航続距離は約一千五百キロメートルと本土から小笠原の父島までの距離を満たすとともに、天草空港のように比較的短い滑走路での離着陸も可能であるとのことであります。  既に都も調査していることとは思いますが、こうした新しい機材の可能性も視野に入れて検討してはどうかと思います。どうかこの件も考慮しながら、都が真剣に検討していくといったこともお願いしたいと思いますが、見解を伺いたいと思います。 ◯中西総務局長 検討案の一つでございます洲崎地区活用案は、父島の洲崎地区に空港を整備し、東京と父島をプロペラ機で結ぶ案でございます。  これまでも運航可能な機材について調査検討を実施してまいりましたが、この案の場合におきましても、空港の整備に当たりましては、自然改変の影響や周辺景観の悪化が大きな課題となります。  今後とも、航空路に関する調査費を活用いたしまして、小笠原航空路に適切な機材の選定に係る調査を幅広い観点から実施してまいります。 ◯橘委員 小笠原航空路の開設は、昭和四十三年の返還以来、小笠原村民にとって悲願であります。また、半世紀近くたった現在においても、いまだ実現に至っていないことに、やはりこれはいら立ちもあるようでございます。  航空路開設は、島民生活の安定に大きく寄与するとともに、世界自然遺産である小笠原が改めて脚光を浴びまして、国内外からの観光客の増加につながるなど、観光振興にも貢献するものであります。  そこで、小笠原の航空路開設について、舛添知事の見解を伺います。 ◯舛添知事 小笠原の航空路開設は、島民生活の安定と産業振興を図る上で極めて重要でありまして、本土復帰以来の小笠原村民の切なる願いであることは私も強く認識しております。  航空路の開設に当たりましては、さまざまな課題がありますことから、関係機関との調整を一層緊密に、かつ丁寧に行うとともに、今、局長が話しましたような最新機材の開発動向や自然環境への影響などに係る調査を幅広い視点に立って実施してまいります。
     こうした調査の結果や関係機関との調整等を踏まえまして、世界自然遺産である小笠原で実現可能な航空路案が取りまとめられるように精力的に検討を進めてまいります。 ◯橘委員 ただいま舛添知事から、航空路開設について、幅広い視点に立った調査を行って精力的に検討を進めていくとの力強い答弁をいただきました。小笠原において残された重要な課題の一つは航空路開設であります。ぜひ、東京都として、今後の検討に全力を傾注していただきますよう要望いたしまして、質問を終わります。(拍手) ◯上野副委員長 橘正剛理事の発言は終わりました。  この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。    午後五時十五分休憩      ━━━━━━━━━━    午後五時四十五分開議 ◯植木副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  質疑を続行いたします。  大山とも子委員の発言を許します。 ◯大山委員 質疑に入る前に、先ほどの都議会公明党の橘理事の我が党に対する発言について、一言申し上げます。  予算原案の談話について発言されましたが、我が党は、福祉予算についても、当然のことながら増額、減額、両方の内容と理由を精査しています。当然減についてもしんしゃくした上で、福祉予算が全体として増額となった主要な要因は何かということを、予算原案に対する談話の中で示しているのです。  執行機関が議会に提出する予算案を都民の立場から厳しくチェックするのは、議会として、政党として当然の責務です。  ちなみに、東京都は、決算の状況という資料を毎年十二月に発行していますが、その中で、民生費の増減理由について簡潔に示しています。  直近の平成二十六年度決算の状況では、民生費は対前年比四百八億円の増額となっており、これは後期高齢者医療財政安定化基金積立金が皆減となったものの、安心こども基金積立金、介護保険給付費負担金、国民健康保険基盤安定負担金の増などによるものだと記述しています。つまり主要な増額要因は、国の社会保障制度に伴うものだとしているのです。  新年度の福祉予算についても、主要な増額要因が国の社会保障制度に伴うものだという点では、おおむね同じような構造であり、我が党の予算原案への談話が、いいがかり的なコメントなどという指摘は全く当たりません。  大体、議場の場で理事者の答弁を利用して他の党を誹謗しようというやり方は、政党としてのあり方が厳しく問われることを指摘しておきます。  日本共産党を代表して総括質問を行います。  初めに、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会を理由とした財政負担問題です。  知事、ご承知と思いますが、保育園に落ちた方の切実な訴えを記したブログが大きな話題となり、共感の声が広がっています。ブログは、一億総活躍社会といいながら、保育園に入れず、仕事につけない現実を告発し、オリンピックで何百億円無駄に使ってんだよ、保育園つくれよと訴えています。ブログの訴えは、多くの人々の思いを示すものではないでしょうか。  ところが、東京五輪をめぐって、二兆円かかる、いや三兆円、そういう話が軽々しく飛び交っています。知事も昨年十月、訪問先のパリで、オリンピックの事業費について、日本でも三兆円ぐらいかかることを念頭に置いた方がいい、こう発言し、ことし二月六日の新聞紙上でも、三兆円くらいかかると発言しています。  知事は、何を根拠に三兆円くらいかかると発言しているんですか。その中身はどのようなものなのですか。知事のいう三兆円ぐらいのうち、組織委員会が責任を持つものは幾らで、東京都の負担は幾らですか、知事。 ◯舛添知事 三兆円という数字は、ロンドン大会などの例を参考に申し上げた次第であります。  ロンドン大会を含めて過去の経験に照らせば、それぐらいかかるということを念頭に置いて、不断に大会経費を精査していかなければならないと、そういう趣旨で申し上げたわけでございまして、今後、国や組織委員会と連携して、どのような事業がどの程度必要なのか、経費の精査も含め、おのおのが責任を持ってしっかりと役割を果たしていけるように取り組んでまいります。 ◯大山委員 経費を不断に精査していく趣旨だといいながら、具体的な根拠も示さず、三兆円という金額を示すことは、知事として不適切であり、無責任です。  しかも、大会まであと四年という時点で、いまだに事業費がわからず、二兆円か、三兆円かなどと論じていることは、余りにもずさんではありませんか。  知事、立候補ファイル発表から三年が経過しながら、最新の組織委員会の運営費は示されず、報道によって推定額が出るという事態は、都民の不安を募らせるものです。節目節目で、対策も含め、運営費を公表するようにすべきではありませんか。 ◯舛添知事 今後、東京都は、国、組織委員会と連携して大会経費について不断に精査いたしますとともに、都民、国民に丁寧に説明をしてまいります。 ◯大山委員 知事ね、不断に精査するといいますけれども、いまだに立候補ファイルで示した収支計画以降、組織委員会の収支計画は全く示されていないではありませんか。  そもそも立候補ファイルでは、大会組織委員会予算の資金不足補填メカニズムの項で、大会組織委員会は、全体予算を月単位で厳しく監視すると書いてあります。この公約はどうなったんでしょうか。知事は、組織委員会に求めてこなかったんでしょうか。お答えください。 ◯舛添知事 都はこれまでも、レガシーや都民生活への影響のほか、コスト縮減という視点から会場計画の再検討などに精力的に取り組んでいることは、大山委員もご承知のとおりだと思います。  また、施設整備につきましては、さらに専門の方々からご意見をいただく諮問会議を通じて、設計内容やコストなどを管理しております。  お尋ねの経費につきましては、何度も申しますけれども、組織委員会や国と連携しながら不断に精査していきますが、大会の成功と有形無形のレガシーにとって必要な事業は、果敢に実施していきたいと思っております。 ◯大山委員 事業費全体が示されていないでしょうということなんですよね。  知事は、ロンドンを参考にといいましたけれども、そのロンドンでは、二〇〇七年、五輪開催の五年前から毎年半年ごとに、その後は四半期ごとに総事業費を公表し、かつそれが適切か否かを監査し、監査報告も国民に公表してきたではありませんか。これが、知事が見本としているロンドンですよ。直ちに組織委員会に対し、現時点での運営費を明らかにさせるべきです。  知事はにわかに、都と国、組織委員会の新たな役割分担を決めるといい始めましたが、大会の運営費の全体像が明らかにされていない中で、新たな役割分担など論ずべきではありません。  最新の組織委員会運営費、全体の事業費を明らかにし、やるべきことは、新たな役割分担ではなくて、費用が膨らむとしたら、いかに抑制するか、削減するかということこそ取り組むべきではありませんか。  既に東京都の負担は、競技施設関係の費用は当初計画に比べて一・五倍に増加し、新国立競技場の負担まで加えれば二倍近くになります。選手村の基盤整備を初めとした負担もあります。その上さらなる負担を負うことは、都民は到底納得しません。  大会経費を抑えるために、今後、知事はどう取り組むのですか。 ◯舛添知事 今定例会の本会議で役割分担について申し上げた趣旨は、テロの脅威が今増大をしております。それから、資材や人件費も高騰しております。こういうことなど、大会準備が数多くの課題に直面しているため、今後、開催都市である我々東京都が、国、組織委員会とともに役割と責任をしっかりと決めていくということでございます。 ◯大山委員 私が今聞いたのは、大会経費を抑えるために今後知事はどう取り組むのですか、こう聞いたんです。どうですか。 ◯舛添知事 先ほど申し上げたと思いますけれども、レガシーや都民生活への影響のほか、コスト縮減の視点から会場計画の再検討に取り組んできたのは、大山委員がご承知のとおりであるというふうに申し上げました。今後とも、そういう姿勢で臨んでいきたいと思っております。 ◯大山委員 先ほどもいいましたけれども、懸念されるのは、知事の新たな役割分担発言です。知事は今定例会で、二〇二〇年大会は、既に招致のときの想定をはるかに超える膨大な事業となりつつあると述べました。開催都市である都が、組織委員会、国とともに新たな役割分担と答弁しました。新たな役割分担を決めるというのは、本来、組織委員会や国が負担すべきものを、開催都市である都が新たに負担することにつながるんじゃないんですか。 ◯舛添知事 そういうご想像のもとでおっしゃるんではなくて、私は一つ一つ、根拠のあることをいっているわけで、例えばテロの脅威が非常に増してきていますけれども、例えばセキュリティーというのは、誰がどういうふうにやるのかと。東京都のセキュリティーは誰がやるんですか。国全体のセキュリティーは誰がやるんですか。じゃ、競技場内は誰がやるんですか。そういうことについてきちんと議論をして、納得のいくようにしなければならないということをいっているわけであります。 ◯大山委員 もちろん、当初予想できなかった事態への対応やセキュリティー対策の強化はあるでしょう。  しかし、セキュリティー対策でいえば、予定した警備人員の検討はあるとしても、十人予定したけど、予定よりももっと、二十人になるかもしれない、そういう警備人員の検討はあるとしても、立候補ファイルで基本的な役割分担は既に定められているではありませんか。  警備要員の大部分は、警視庁、東京消防庁、海上保安庁などの公的機関で対応しますね。それから大会組織委員会は、主として競技会場の警備において、豊富な経験を持つ民間警備業者の専門警備員を利用する。民間警備業者は大会組織委員会と契約し、その訓練、管理のもと、オリンピック競技大会を初めとする大会関係の警備業務を担う、このように明記されています。  そして、その費用についても、治安警備、警護等の費用は国、雑踏警備については都が受け持つ、競技会場の警備については大会組織委員会が受け持つと伺っています。  知事は、開催都市の責任があることをもって、東京都が本来負担する必要もない新国立競技場の整備費まで負担を受け入れました。今度は新たな役割分担だとして、これまでのルールを超えて、ほかの事業まで都負担を拡大することになりかねません。そんなことをしたら、都負担は天井知らずに膨れ上がり、都財政にも都民施策にも重大な影響をもたらすことは避けられません。そのことを厳しく指摘して、次の質問に移ります。  子供の貧困対策についてです。  知事は本会議の答弁で、未来への投資を積極果敢に行うとして、具体的にイの一番に挙げたのは、子供の貧困対策です。知事は、支援に向けて国を先導する、国に先行してやると答弁しています。  知事は、国の不十分な取り組みに対してどのような考え方で取り組んでいるんですか。 ◯舛添知事 子供の貧困対策を初め、貧困の連鎖を断ち切る取り組みを着実に推進していくためには、国としっかりと連携しながら、現場を持つ都が、国に先駆けました施策を展開し、取り組みの効果を最大限発揮させることが重要であります。  そのため、来年度予算では、子供の居場所づくりを初め、不登校、中途退学対策、非正規雇用対策などにおいて、東京の実情に応じて都独自に取り組みを強化しまして、人生の各段階における学びや仕事に意欲のある人々への支援を充実させております。  例えば、子供の居場所創設事業で八千四百万円、首都大学東京と連携した子供の貧困対策の推進に五千万円、校内の寺子屋千四百万円、正規雇用等転換促進助成事業に三十二億八千九百万円をこれは計上しておりますので、ぜひ共産党の皆さんにも全面的にご賛同願いたいと思っておりますが、引き続き国と連携を密にしながら、誰もが意欲と能力を十分発揮して、活躍できる社会の実現を目指してまいります。 ◯大山委員 それが取り組む考え方ですね。  それでは、子供の貧困対策について、予算案の概要では、予算額六百八十億円、これを子供の貧困対策について投入します、こうされていますけれども、この六百八十億円に対応する二〇一五年度の予算額は幾らですか。 ◯長谷川財務局長 東京都予算案の概要に掲載をいたしました子供の貧困対策の総額六百八十億円に対応いたします平成二十七年度予算額は、約六百七十億円でございます。 ◯大山委員 今年度が六百七十億円、そして来年度が六百八十億円、思い切って子供の貧困対策、力を入れるということなんですけれども、ふえてはいますけれども、約十億円、一・五%の増額にとどまっています。今後は、補正も含めて大幅にふやしていくことが重要です。  国に先駆けた施策を展開する東京都といいましたけれども、それなら、大学生に対する給付制奨学金に取り組むことが重要です。  国では、文部科学大臣が必要性を認めているにもかかわらず、財務大臣は難色を示しています。東京都が踏み出すなら、国を動かす大きな力になることは明らかです。  知事は、子供の貧困対策に関して、とりわけ貧困の連鎖を断ち切るためには、教育を重視して、本会議でも、親の経済状況によって子供が教育を受ける機会を失うことがあってはならないと考えております、こう答弁されています。  同時に、我が党が大学生に対する奨学金制度に踏み出す自治体がふえていることを紹介しつつ、知事の認識を伺いましたが、知事は、大学は全国から学生が集まる場だから、国全体の教育政策の中で議論されるべきこと、こう答弁しました。それでは、知事が本会議で、学びや仕事に意欲ある人々の支援に向けて国を先導する、国に先行してやる、こう答弁したこととも違うのではないでしょうか。  知事もご存じだと思いますけれども、学生支援機構の奨学金は、今や大学生の四割が借り、しかも有利子の奨学金が七割を占めています。卒業と同時に平均三百万円、多い場合は一千万円以上の借金を背負うことになります。全労働者の四割が非正規雇用という状況で、学歴に関係なく低賃金が拡大しています。  そんな中、学生支援機構の有利子の奨学金は、返済が大きな負担になっています。知事はどう認識されていますか。 ◯舛添知事 大学生の教育費の負担の軽減につきましては、奨学金も含めまして、高等教育機関の所轄である国の責任において制度設計されるべきと思っております。  大学などで学ぶ学生を対象としました奨学金事業は、国の所管する独立行政法人日本学生支援機構が実施をしております。奨学金返済の負担の軽重は、それぞれの借り受け人の置かれた経済状況により異なるものと考えております。  どういうふうに実際にこの有利子奨学金含めて奨学金制度を構築するのかと。今から一時間いただければ私の考えを開陳いたしますけれども、大山委員の質問のほかの時間がなくなりますので、本会議で私が申し上げましたように、制度設計にはそれぞれプラス、マイナスがあります。モラルハザードということもあります。それから、大学卒業した後、それぞれの社会人になった方々の経済状況によってもいろいろ違うので、一義的にこうだということはできないと思いますし、そしてまた公的機関、つまり学生支援機構だけじゃなくて、民間の有志の方々の奨学金とか、さまざまな形で貧困の連鎖を断ち切る努力が必要だというふうに思っております。 ◯大山委員 貧困の連鎖を断ち切る、そして国に先行して先導してやる、そして東京都が今何をできるのか、それを今議論しているわけですね。東京都がやることが何なのかということなんですよ。  今、知事は、奨学金返済の負担の軽重は、それぞれの借り受け人の置かれた経済状況による、そう答弁されました。余りにも冷たいいい方ではないんでしょうか。  中には、高収入の仕事について、楽々返せる人もいるでしょう。でも今は、知事の時代のように終身雇用が当たり前で、年々給与が上がるという時代ではなくなっているんです。  奨学金に関するアンケート調査の結果がつい最近、発表されています。どこが実施したかといいますと、労働者福祉中央協議会という、勤労者福祉活動のための労働団体や生協などの緩やかな中央組織です。知事も昨年の大会にメッセージを送っていらっしゃいますね。  知事、この調査によりますと、奨学金の借入総額は平均三百十二万九千円、月の返還額の平均は一万七千円です。借入額が五百万円以上である層も一割見られ、これらの層は月三万円以上の返済をしている人が四割を超えています。奨学金の返還の負担感について、少し苦しいとかなり苦しいを合わせて四割以上に上ります。雇用形態別で見ると、非正規労働者では五六%ですから、六割近い方々が苦しいと答えているんです。知事、この状況をどうごらんになりますか。 ◯舛添知事 まさにそのアンケートでおっしゃったように、個々の状況が違うわけです。ですから、総収入の何割以内までに返済額を抑えるというような緻密な工夫も、今、国の方でおやりになっていると思いますから、そういう具体的な制度設計をしないといけないというふうに申し上げたいと思います。 ◯大山委員 国会で、国で制度改善しようと、無利子のを広げよう、それは重要ですよ。  と同時に、返済額、国が今検討しているのは、収入がゼロでも二、三千円だったら毎月返せるでしょう、そういう改善でしかないんですよ。それが本当に改善になるのかということじゃないでしょうか。  パネルを用意しました。皆さんのお手元にもプリントが行っています。しかも、どうして学生が平均三百万円もの奨学金を借りるのかというと、学費を払って学生生活を維持できないからなんですね。知事、このパネルは、知事が学生だったころ、五十年前から現在までの国公立大学の初年度納付金と大卒の初任給の推移です。  知事が大学に入学された五十年前の国立大学の初年度納付金は一万六千円、現在は八十一万七千八百円です。何と五十一倍になっています。一方、大卒の初任給は五倍にしかなっていません。私立大学だったら、初年度納付金は平均でも百三十万円です。四年間の学費は四百万円ですよ。  かつてに比べても格段に厳しい状況に置かれていると思いますけれども、知事は、このグラフ、パネルを見て、どう思いますか。 ◯舛添知事 これだけ国立大学の初年度納付金が高くなっているというのは、私もずっと認識はしております。 ◯大山委員 認識していらっしゃるわけですね。私立大学が平均で百三十万円ですから、もっと高いところもあるんですよ。それだったら、本当に、教育を受ける権利を奪わない、そのために東京都が何ができるか、それを考えるべきじゃないんでしょうか。  この学費負担の軽減なしに、学生の学ぶ権利を保障する、親の経済状況にかかわらず安心して学べるようにすることはできません。  我が党は代表質問のとき、大学生に対する奨学金制度に踏み出す自治体が広がっていることを紹介し、知事の受けとめを伺いました。知事は、今も答弁されていましたけれども、大学生への奨学金は国の所管だといって、答えられませんでした。  知事、長野県も、沖縄県も、そして足立区なども踏み出しているではありませんか。都として真剣に検討するべきときではないんでしょうか。どうですか。 ◯舛添知事 まずその前に、国立大学の学費については、国立大学ですから国がやるべきであって、国権の最高機関である国会できちんと議論をしていただきたいというふうに思っております。  そういう観点から、まず、国会でしっかりと改善すべきは改善する、国が方針を出していただく。我々はそれに従いたいと思っています。 ◯大山委員 国に先駆けるといいながら、国任せとは、余りにも冷たいんじゃないんでしょうか。今いっているのは学費じゃなくて──学費が高いんですよ。その現状をどうするんだと、教育権どうするんだということですよ。  他県は、県民のために頑張っているんですよ。特に、進学率が低いことが国の子供の貧困対策に関する大綱でも改善に取り組む課題として取り上げられている生活保護世帯などの子供たちは大変です。  生活保護世帯でも、頑張って大学などに進学している子供たちの推移が、予算特別委員会でさっきいただいた資料の129号にあります。  二〇一三年度は三八%、二〇一四年度は三九・二%になっています。児童養護施設出身者も年々大学等に進学する割合がふえています。  しかし、全体の進学率は七割です。まだまだ低いといえます。やはり給付制の奨学金もないし、生活費もアルバイトしなければならない状況ですから、大きな困難を抱えているんですね。大学進学の場合、せめてですよ、せめて生活保護受給世帯出身者、養護施設出身者に給付制の奨学金を給付する検討が必要ではないんでしょうか。 ◯梶原福祉保健局長 生活保護世帯の子供や児童養護施設の退所者が大学等に進学した際には、就学に必要となる授業料や生活費について、都道府県社会福祉協議会の生活福祉資金の教育支援資金や、日本学生支援機構の奨学金などの公的な支援を受けられるほか、各大学においても、奨学金や、授業料等の減免、猶予など、さまざまな支援制度が用意されております。  また、児童養護施設の退所者につきましては、都独自に大学等の入学時に必要な資金等を貸し付けており、貸し付けを受けて入学した学校を卒業した場合には、償還を免除しております。 ◯大山委員 結局、借金をしなさいということじゃないんですか。東京都社会福祉協議会の教育支援資金は、大学だったら月額六万五千円です。四年間で三百十二万円です。学生支援機構の奨学金を借りたら、有利子の奨学金が七割を占めるんです。私立大学だったら、これでは授業料すら賄えません。  実際、生活保護世帯のある大学生は、高校生のとき成績優秀で、先生にも勧められて私立大学に進学しました。社会福祉協議会から入学金などを借りて、民間の給付制奨学金も頑張って取って、年間二十万円もらえることになり、もちろん貸与制の奨学金も借り、学費だけではなく、生活費全て自分で賄わなければなりませんから、アルバイトもして頑張っていました。二年生までは大学に通っていたこの学生は、アルバイトと学業に疲れ果て、単位を落としてしまいました。このまま通っていても借金が大きくなるだけだと、とうとう退学してしまいました。やめて気持ちは楽になったけれど、二百八十万円の奨学金の返済をしなければなりません。  こういう話は珍しくありません。貧困の連鎖を本気で断ち切る気があるんでしょうか。  東京都として実施している制度の拡充も重要なことです。東京都の制度として、受験生チャレンジ支援貸付という制度があります。二〇〇八年度から始まって、利用者もふえていると聞いています。高校と大学の受験のための塾代と受験料の貸与で、合格すれば返還を免除するというものです。  事業発足時と昨年度の実績、返還免除率を教えてください。 ◯梶原福祉保健局長 受験生チャレンジ支援貸付事業を開始した平成二十年度の貸付件数は、中学三年生の学習塾等受講料が五百三十五件、高校三年生の学習塾等受講料が二百八十四件、大学等受験料が三百九十二件、合計は千二百十一件であり、貸付金額は一億六千三百八十一万余円、償還免除率は九九・三%でございます。  平成二十六年度は、中学三年生の学習塾等受講料が三千七百四十三件、高校等受験料が二千八百五十五件、高校三年生の学習塾等受講料が千五百三十五件、大学等受験料が二千十八件、合計は一万百五十一件であり、貸付金額は十二億四百六十一万余円、償還免除率は九九・六%となっております。
    ◯大山委員 頑張って勉強して、ほとんどの子たちが合格して返還免除されたということです。東京都も受験生の皆さんを応援していますよ、だから頑張って、そういうメッセージが伝わる、本当にうれしい制度なんです。  受験生チャレンジ支援貸付を借りるためには保証人が必要です。受験料や塾代を借りなければならないときに、保証人をお願いするのが困難であることが二の足を踏むことになるケースもあります。  ある自営業者の方が、親の後を継いだものの負債が大きくて、厳しい取り立てに苦しみながら何とか返済し完済して、現在も頑張って商売を続けています。娘さんたちには、学ぶことを諦めてほしくないと、大学受験のためにチャレンジ貸付を受けようと思ったんですけれども、連帯保証人が必要といわれて、こんな金額も出せないほど困窮しているのかと思われたら、せっかく立て直した商売に支障が出ると、借りることを諦めたそうです。  ほとんどが返済免除になる制度なのですから、保証人をなくすべきではありませんか。 ◯梶原福祉保健局長 来年度からは、連帯保証人の確保が困難な場合は、子供を連帯借り受け人とすることで連帯保証人を不要とするよう、既に制度を改正することとしておりまして、現在手続を進めております。 ◯大山委員 とても重要な前進です。ほかの制度でも、保証人の確保が難しいことが利用のハードルになっているものがさまざまあります。例えば保育士の修学資金貸付は、五年間働けば返済免除ですが、連帯保証人については、都の基準は国よりも厳しくて二人つける、そういう規定になっています。ほかの制度もぜひ見直していただきたいと思います。  さらに、先ほど申し上げた生活保護世帯の子供たちには、大学受験のときの塾代も受験料も、この制度、チャレンジ貸付を受けることができません。私の知り合いで、不登校でつらい時期もあった生活保護世帯の高校生が、自分のような子供たちの役に立ちたいと、スクールカウンセラーになることを目標に大学に進学することを決意しました。  しかし、生活保護費には大学受験料は入っていません。受験生チャレンジ支援貸付は対象外です。結局、受験勉強は自力で行い、私立大の受験料は三万円以上するために、一校しか受験できなかったそうです。  受験生チャレンジ支援は、生活保護基準の一・一倍の所得以下の世帯に貸与されるものです。当然、それ以下の収入しかない生活保護世帯なのですから、対象にするべきではありませんか。 ◯梶原福祉保健局長 生活保護世帯の中学生に対しましては、全ての区市町村で学習塾の費用助成等が行われており、高校の受験料は生活保護費で支給されております。  また、生活保護世帯の高校生は、生活困窮者自立支援法に基づく学習支援事業の対象となっており、また大学進学に必要な入学料等については、保護費などの中から積み立てた預貯金を充てられるほか、高校在学中のアルバイト収入を充てることが可能となっております。  さらに、都道府県社会福祉協議会が行っている生活福祉資金の教育支援資金では、入学に必要な費用として、上限五十万円まで無利子で貸し付ける制度がございます。  福祉事務所におきましては、生活保護世帯の子供が将来自立した生活を営めるよう、進路選択に当たって、本人の置かれている状況や、希望、適性を踏まえ、こうした各種制度を案内しながら、きめ細かく助言を行っております。 ◯大山委員 いろいろとおっしゃいましたけれども、要するに生活保護世帯の高校生については、保護費からの貯金とアルバイトと借金で賄えということですね。  保護費から貯金をするといいますけれども、生活保護制度だって改悪されて、ぎりぎりの生活で、どうやって貯金せよというんでしょうか。アルバイトだって、学校に行きながら、受験勉強しながらです。大変なことですよ。どうして生活保護の子に、そこまで無理を強いるんですか。  ところで、先ほど、中学生には全ての区市町村で学習塾等の助成が行われていると答弁されました。福祉保健局の、生活保護の被保護者自立促進事業という包括補助のことですね。これは、高校生まで範囲を広げることが必要だと思いますが、どうでしょうか。区市が提案すれば認めるのですね。 ◯梶原福祉保健局長 生活保護とそれ以外の世帯ということで一・一倍のところをいったんですが、生活保護というのは、日常生活に必要な費用を賄う生活扶助を初め、世帯の状況に応じて教育扶助、住宅扶助などが給付され、医療費については医療扶助、介護保険料については生活扶助が全額を給付されております。  それに対して受験生チャレンジの一・一倍の所得のところ、いわゆる生活保護ではない低所得の世帯というのは、健康保険あるいは介護保険、年金の各種保険料、NHK受信料など、日常生活にかかわる各種の支出が多いという実態があると、そのことを踏まえる必要があるというふうに思っております。  それから、被保護者自立促進事業におきましては、生活保護世帯の小学四年生から中学三年生までを対象に、学習塾の費用助成等を行う区市を包括補助で支援しておりまして、高校生に対する学習支援につきましても、被保護者の自立に資する事業になっていると認められる場合は、補助対象とすることが可能でございます。 ◯大山委員 高校生も対象にできるということですから、そのことを区市にも知らせて、ぜひ積極的に対応してください。  次は、子供の貧困の中でも、とりわけ深刻なひとり親への支援についてです。  知事、ひとり親家庭への経済支援についての重要性をどう認識していますか。 ◯舛添知事 ひとり親家庭の親は、子育てと生計の担い手と、この二つの役割を一人で担うために、大変負担が大きゅうございます。世帯収入も、両親がいる世帯と比較しますと、低い傾向にあると思います。  こうした生活実態を踏まえまして、都は昨年三月に、東京都ひとり親家庭自立支援計画を改定いたしまして、相談体制の整備、就業支援、子育て支援や生活の場の整備、経済的支援を柱に、ひとり親家庭の支援に取り組んでいるところでございます。 ◯大山委員 経済的支援は、柱として重要であるという認識でいいですね。  しかし、我が党が代表質問で児童育成手当の額の引き上げを求めたことに関し、児童育成手当を創設した当時は、不十分だった国の所得保障を補完する役割があった、しかし、現在その位置づけは大きく変わっている、こういう趣旨の答弁でした。  知事は、児童扶養手当でひとり親への所得保障は十分だという認識なんでしょうか。 ◯梶原福祉保健局長 児童扶養手当は、児童扶養手当法に基づく国の制度であり、その金額につきましては、ひとり親家庭の現状を踏まえながら、国で議論すべきものと考えております。  国は、現在の状況を踏まえ、二人目以降について本年八月から手当を引き上げる予定としております。  ひとり親家庭に対しましては、安定的な就業と収入を確保するための就業支援を基本としながら、一人一人が抱える課題に適切に応えるための相談体制の整備、子育て支援や生活の場の整備、経済的支援が必要であり、現在、都は、昨年三月に策定したひとり親家庭自立支援計画に基づき、関係各局が連携して、福祉、医療、雇用、住宅、教育など、さまざまな分野で取り組みを進めております。 ◯大山委員 私は、知事に、ひとり親への所得保障は児童扶養手当だけで十分なんだという認識なんですか、そう伺ったんです。もちろん、今、福祉保健局長が答弁されたように、さまざまな分野での施策をより充実していくことが求められます。  しかし、経済的支援、児童扶養手当については国が考えることだとして、そういう姿勢では、ひとり親家庭への支援を的確に行っていくことができるんでしょうか。  安定的な就業収入を確保するための就労支援を基本としながらといいますけれども、日本のひとり親世帯のお父さん、お母さんは懸命に働いているんです。  パネル二枚目ですけれども、皆さんのお手元にもあります。このパネル、ごらんください。  OECDの資料をもとにつくったひとり親世帯の貧困率です。日本の子供の貧困で国際的にも特異な状況といわれているのが、ひとり親の貧困率の高さです。しかも、ほかの国では働くことが貧困から抜け出すことにつながりますが、日本ではそうならないために、就労率は非常に高いのに、貧困率が高いんです。働いても働いても貧困から抜け出せないのが、日本のひとり親の現状です。  青の棒がひとり親全体の貧困率、赤が就労しているひとり親の貧困率です。ほかの国と比べると一目瞭然です。  知事、この状況をどう思いますか。経済的支援の充実が必要なのは明白なんじゃないんでしょうか。 ◯舛添知事 何度も申し上げておりまして、局長も答弁しておりますように、ひとり親世帯について、教育支援、生活支援、保護者に対する就労支援、経済的支援、さまざまな支援策をやっております。国は国できちんと国の政策をやっていただく。我々は我々の政策をきちんとやっている。何の問題もないと思っております。 ◯大山委員 就労支援をやっているんだというんですけれども──就労支援も重要な課題ですよ。しかし、同時に、どうやって働いているかといったら、ダブルワーク、トリプルワーク、そして子育ての時間を削って目いっぱい働いても貧困から抜け出せない状況の中で、ひとり親の世帯が暮らしているんですよ。直接的な経済的支援の拡充が必要なんです。  二〇〇九年のひとり親の相対的貧困率は五〇・八%で、OECDの諸国三十三カ国中、最下位です。平成二十五年国民生活基礎調査では五四・六%に、さらにひとり親の貧困率が上がっています。働いているのに最下位、まさに異常事態といわなければなりません。だからこそ、働く条件も経済的支援もしっかりと拡充しなければならないんです。いかに不十分かということなんですけれども、具体的に事例でお話しします。  介護の仕事をしているお母さんは、社員になれないため収入は安定しません。給料は月十万円ぐらいです。半分以上が家賃でなくなってしまいます。毎月の給料で支払いが追いつかないんです。その追いつかなかった分は、児童扶養手当だとか児童育成手当が出た月に支払ったりしているんです。給料前になると、食事にカップ麺やふりかけだけというときもしばしばあります。毎月の収入をふやそうと頑張ると、年間の収入所得が数千円でもふえると手当が下がってしまうんです。  別のお母さんは、子供が大きくなって友達と出かけるときのお金が心配、小さいときとは違って洋服にもお金がかかるようになって、私の収入では我慢してねというときが本当に心苦しいです、私はただ普通の生活を送りたいだけです、お金の心配をしながらの生活は、精神的につらいです、こう話していました。  知事は本会議の答弁で、人々の生活水準を押し上げて豊かな暮らしを実現すること、そうもいっていました。国に先行してというんだったら、東京のどの子にも普通の生活ができるようにすることこそ、知事、やるべきではないんでしょうか。どうですか、知事。  知事、今の実態を、私、話しましたよ。ちょっと答えてください。    〔梶原福祉保健局長発言を求む〕 ◯植木副委員長 舛添知事、どうですか。    〔発言する者あり〕 ◯梶原福祉保健局長 個々の生活実態というのは、当然さまざまであるというふうに思います。それが今、教育支援、生活支援、それから就労支援、経済的支援ということで、四つの柱で我々はひとり親家庭への支援をやっている。  ただ、それが、この四つを、就労を基本としたといいながら、経済的支援をなぜ都が付加するのか。経済的支援というのは、基本的には所得の再配分機能であって、これはいわゆる福祉国家といわれるところは、国が責任を持ってやるべきものであります。いわゆる所得の格差を是正し、社会的な公平と活力をもたらすための経済政策、これは租税制度と社会保障制度を通じて所得の再分配を行っている。児童扶養手当にしても、しかりであります。  その配分というのは、財源が国民の負担であります。手当を配るのも、当然その元は税金でありますから、ある人からある人に財源を移転するということです。ですから、その手法や対象水準というのは、国によってさまざまです。  OECD諸国の話を常になさいますけれども、国際比較をするのであれば、財源についてもあわせて議論すべきです。例えば、いつもフランスだとか挙げておっしゃいますが、日本の国民負担率はGDP比三〇・一%です。フランスは四六・二%です。付加価値税は日本は八%です。フランスは二〇%です。  要はトータルの、例えば税というものを取るというのはみんな反対だというのは、これはいいかもしれませんが、当然、財政的にいえば、給付と負担のバランスをとりながら、いかに社会保障制度を持続可能なものにするかと、そこの視点をなくして、我々は社会保障制度を論じられないというふうに思っています。 ◯大山委員 知事ね、リアルな実態を述べて、そして聞いたわけですよ、知事の受けとめを。  しかし、福祉保健局長は、個々の生活実態はさまざまだと。それはそうですよ。しかし、私が紹介したケースだけでなくて、多くのひとり親家庭が同じような困難を抱えているんですよ。  子供の貧困率が一六・三%でしょう。それを東京の子供たちに当てはめてみたら、東京には二十九万人以上の子供たちが、貧困ライン以下の生活を余儀なくされているということじゃないですか。  あわせて、今、福祉保健局長が財源のことだとか国民負担率だとかって、おっしゃいました。もちろん、財源のことはあわせて議論すべきと思いますけれども、私たちは、財源については抜本的な提案をしていますし、都議会でも取り上げてきました。  所得税は、所得が多くなるほど税率が上がるというのが当たり前の応能負担の原則ですが、日本では、所得が一億円を超えると逆に税率が下がっていきます。また、日本では大企業の方が、中小企業よりも法人税の実際の負担は軽くなっています。財源だというのだったら、富裕層と大企業にふさわしい負担を求めることこそ必要です。  にもかかわらず、安倍政権は逆に大企業には法人税減税をしています。財源を議論すべきだというのだったら、こうしたことを国に求めることこそ必要じゃないでしょうか。  そして、国民負担率、おっしゃいました。いかにも国民負担率というと、一見、国民の負担の重さを示しているように聞こえますけれども、税と社会保険料を貧困層が払うのも、富裕層が払うのも、大企業が払うのも、全て一緒くたにしてGDPなどで割ったもので、国民負担率の数字からは、誰がどのように負担しているのか、国民の暮らしにどのような影響を与えているのかはわからないんです。  必要なのは、税と社会保険料の内容を具体的に分析することで、そうすれば日本の問題が、大企業、富裕層の負担が軽過ぎることにあることは明らかです。  今、私は何を指摘していたかというと、ひとり親の子供たちの状況です。しかし、経済的な支援は地方自治体も取り組むべきことなんですよ。知事も参議院議員として賛成した子どもの貧困対策の推進に関する法律には、その第十三条で、国及び地方公共団体は、各種の手当等の支給──各種の手当等の支給ですよ、貸付金の貸し付けその他の貧困の状況にある子供に対する経済的支援のために必要な施策を講ずるものとすると明記しています。  知事は、どう受けとめているんですか。これは知事ですよ。ほら、手を挙げています。 ◯舛添知事 いろいろおっしゃいましたけれども、東京の子供だけが貧困から脱して、ほかの地域は貧困のままでいいなんていうことは私は思いません。  そして負担の問題、どういう社会保障制度を構築するか、それは国がやる。つまり国権の最高機関で決めることであって、共産党の議員も含めて国会議員がおられますけど、そこが民主主義のルールに基づいて多数決で決定したということに我々は従うということは何のおかしいことでもないし、それが民主主義の原則であるというふうに思っております。  それから、経済的支援をやっていない、やっていないとさっきからおっしゃっていますけれども、児童育成手当の支給をやったり、児童扶養手当の支給をやったり、ひとり親家庭高等職業訓練促進等の資金の貸付事業をやったり、さまざまやっていますし、先ほどいった四つぐらいの柱でやっているわけであります。  ですから、そういう正確な姿をちゃんと見ていただいて、おっしゃるように、個々のケースはたくさんありますよ。  私は、自分のことをいうのは余り好まないけど、私も母子家庭でしたから、中学以来は。しかし、あのとき物すごく苦労した。この中にも母子家庭の方がおられると思いますけど、あのころ、親がいかに苦労したか。そして我々も、私も働いて奨学金だけで大学を出ましたから、それだけ苦労したことに比べると、今の世に生まれておきたかったな、今の東京都に生まれておきたいなと。こんな支援制度なんてなかったわけですから。  そういうことも……(発言する者あり)それでさらにやらないといっているんじゃなくて、そういうこともきちんと見て、何か今が最悪で劣悪のようなことをいうのは、ちょっとやっぱり正しくないんじゃないかなと思っています。 ◯大山委員 経済的支援は、子どもの貧困対策の推進に関する法律十三条で、はっきりと位置づいていることです。だから、経済的支援をやっているんだと今答弁されましたから、経済的支援はやるんだという立場ですね。それで……(発言する者あり)やっている。  だから私たちは、二十年間も、二十年間ですよ、児童育成手当の単価が変わらないんですよ。こういうのってありますか。だから、もっと拡充しましょうと。だから子供の貧困率、ひとり親の子供の貧困率だって高くなっているんですよ。  そして、知事のときの奨学金と、それから授業料と大卒の初任給を示しましたよ。国立大学だけでも、授業料だけでも五十一倍ですよ、初年度の。それで初任給は五倍しかなっていない。だから、今の子供たちをどう見るのか。そしてこの貧困率をどう下げていくのか。だから、ほかの県は給付制の奨学金をやっているということをいっているわけですね。  ひとり親世帯が、働いても働いても貧困から抜け出せないということは、単に経済的な困難だけではないんですよ、知事。経済的な困難が、子供から親を奪っている。そのことは、子供たちの豊かな成長を保障するという点から見ても重大なことなんです。  千葉明徳短期大学の山野良一氏は、社会生活基本調査をもとにした推計で、六歳未満の子供を持つ働いているひとり親の母親の場合、年間収入が百九十九万円以下だと労働時間は長く、育児時間が短いという報告をしています。つまり、親と子供との触れ合う時間の短さが、子供の情緒面を含めた発達や健康にとってさらなる困難を生んでいる、そのことを指摘しています。収入が低いほど働く時間が長いというのは、非正規雇用だとダブルワーク、トリプルワークをせざるを得ないということだと思います。  経済的な支援が充実すれば──やっているとおっしゃるのだから、それをさらに充実しましょうよ。そうすれば、ダブルワーク、トリプルワーク、それから、子供との接する時間を削らなくても生活をすることができるんです。子供と過ごせる時間をふやすことができるんです。  相談や就業支援、それから子育て支援や生活の場の整備ももちろん重要ですから、それはそれでさらに拡充していくことです。しかし、それを理由に経済的支援を曖昧にしてはいけないことは、国際的にも明らかです。  子供の貧困率を改善している国は、現物給付も現金給付も同時に充実しているんです。児童育成手当は、さっき述べました二十年間も同じ額であること自体、現実を見ないということじゃないんでしょうか。せめて単価を上げるべきだということを強く求めておきます。  児童育成手当とともに、さまざまな経済的な支援が求められます。ひとり親家庭にとって、家賃が非常に大きな負担になっています。空き家の活用が大切です。  都として、都営住宅の整備、増設を初め、居住支援協議会への支援強化などによって、生活の苦しいひとり親家庭が低家賃で借りることができるようにすることが重要ですが、いかがですか。 ◯安井東京都技監 都はこれまでも、都営住宅などの公共住宅ストックを有効に活用しておりまして、例えば都営住宅では、ひとり親世帯に対する優遇抽せんや、抽せんによらないポイント方式による入居者の選考、また公社住宅におきましても、子育て世帯倍率優遇制度や子育て世帯など優先申込制度などの入居支援を実施してございます。  また、民間住宅におきましても、東京都居住支援協議会による区市町村協議会の設立促進と活動支援などを行ってございまして、例えば子育て世帯など住宅確保に配慮を要する都民に賃貸する空き家のバリアフリー化改修助成の財政的支援や、民間賃貸住宅への入居支援を行う区市町村の、先ほど申しましたけれども、協議会の設立促進と活動支援を行っているところでございまして、今後とも、こういった取り組みを通じまして、ひとり親世帯の居住の安定確保に努めてまいります。 ◯大山委員 都営住宅の増設だとか家賃補助などを含め、支援を強化することを求めておきます。  子供の医療費助成です。  多くの子育て家族に大いに役立ち、なくてはならないものになっているのが子供の医療費助成です。厚労省の調査では、全ての都道府県及び市区町村が、乳幼児などに係る医療費の援助を実施していたことがわかっています。  厚労省は、子どもの医療制度の在り方検討会で、子供の医療費の自己負担のあり方、国保の国庫負担のあり方などについて検討を開始しました。国制度として、子供の医療費を無料化するよう強く求める必要があると思いますが、いかがですか、知事。 ◯梶原福祉保健局長 都は、これまで国に対し、少子化対策の観点からも、乳幼児医療費の患者一部負担金の割合を現行の二割からさらに軽減するとともに、対象年齢を義務教育終了まで拡大することを提案要求しております。  また、全国知事会などを通じて、子供の医療費助成制度の創設など、子供に対する医療費の負担軽減に取り組むよう要望しております。 ◯大山委員 引き続き強く求めていってほしいと思います。  子供の医療費の助成を高校卒業年齢まで対象にしている自治体は都内にもありますけれども、全国では二百一自治体になります。知事は、このことをどう受けとめていますか。 ◯梶原福祉保健局長 子供の医療費助成事業の実施主体は区市町村であり、それぞれの自治体が地域の実情を勘案しながら、議会においてさまざまな審議を経て、条例を定めて実施しているものと認識しております。 ◯大山委員 子供の医療費助成の制度については、直接は区市町村で決めています。  しかし、乳幼児医療費助成から始まって、都内でも区市町村によって格差があったものを、東京都が制度をつくることによって底上げすることができたではありませんか。その底をさらに引き上げる制度を東京都がつくれば、区市町村はさらに上乗せもできるんです。東京都の役割は大きいといえます。福島県は、県として高校生までやっています。  私たちが、なぜ高校生年齢まで子供医療費助成を拡大することが必要だと考えているのかっていいますと、高校生を持つ世帯が、教育費や部活などの費用を初め家計の負担が大きくなる世帯なんですね。低所得層にとっては、中学生まではあった就学援助もなくなり、家計の負担が一気にふえるときです。子育て世帯の負担軽減、子供の貧困対策からいっても、重要な施策となります。また、既に行っている自治体では、病状が重くなる前に病院に行ってもらえるので、医療費の抑制にもなっているとの報告もあります。  仮に、現在の義務教育就学児医療費助成と同様に、十八歳まで拡大した場合の所要額の推計を示してください。 ◯梶原福祉保健局長 厚生労働省が算出いたしました平成二十五年度の十五歳から十九歳の一人当たり医療費をもとに、平成二十七年一月の都内の十六歳から十八歳の人口で推計いたしますと、義務教育就学児医療費助成制度の対象を十八歳まで拡大した場合の所要額は、約六十四億円と見込まれます。 ◯大山委員 現行の助成制度で対象を十八歳まで拡大したら、所要額は六十四億円というのは初めて伺いました。切実な問題として、ぜひ十八歳まで子供医療費助成を拡大することを強く求めておきます。  そして、今、四月からの保育園入園に向けて、ことしもいわゆる保活に保護者が悪戦苦闘しています。保育園に入れなかったら仕事を続けられないのですから、深刻です。現在、多くの自治体で一次の入園判定会議が終わり、承諾、不承諾という通知が送られています。  保育園や特養ホームの増設を進めていくために大きな課題になっているのが、保育士、介護職の圧倒的な不足です。この問題の解決なしには増設は進みません。  保育士、介護職の不足、確保、定着が困難になっている大きな原因が、仕事に比べて圧倒的に低い賃金であることも、多くの都民、国民の共通認識になってきています。  保育の仕事は、乳幼児の養護と教育であり、子供たちの豊かな発達を保障する仕事です。介護職は、高齢者の尊厳を守り、その人らしく生きていくことを保障するというもので、それぞれ高い専門性が求められる仕事です。職員の確保、定着なくして、質の確保も人員不足の解消もできないことは明確です。  そのためには、賃金を初めとした待遇改善と人員増が欠かせません。きょうは質疑する時間がありませんけれども、今、ことし介護報酬が減ってどうなったのか。そして、東京都が制度を変えてキャリアアップ補助にしたことがどうなったのか。そして、実際に、知事が公約していた、保育士一人当たり月額三万円アップというのが実現できているのか。できていなかったら、どこがどうなのかということをきちんと把握して、より一層拡充していっていただきたいと思います。
     そして、特養ホームや保育園を増設するために欠かせないのが、人のことと土地の問題です。東京都の都有地の活用も進んでいるわけですが、さらに加速させることが必要です。  具体的に伺いますけれども、新宿区の都営角筈アパートの跡地は、十年間暫定利用のままです。障害者や高齢者の福祉施設をつくってほしいなど、地元の皆さんにはさまざまな要望があります。区から具体的に使いたいという要望が出れば、直ちに対応できるんですかということと、足立区の都営梅田アパートには、建てかえにより活用できる土地が生まれており、福祉施設整備に活用するよう、区とも相談しながら進めることが求められます。それぞれお答えください。 ◯安井東京都技監 都営住宅の建てかえに伴う創出用地は、都民の貴重な財産でございまして、これまでも道路、公園の整備や緑の充実、福祉施設の整備、防災性の向上など、都の政策目的の実現や地域の課題解決などに活用しております。  都営角筈アパート跡地につきましては、その立地状況等から、まちづくりへの活用が期待されてございます。  このため、地元区等の意向も確認しながら、整備の方向について検討を進めてまいりましたが、具体的な活用方策が定まるまでには、しばらく時間を要する見込みでございまして、当面、住宅展示場用地として暫定利用を続けます。  もう一つのお尋ねの都営梅田アパートの建てかえに伴う創出用地につきましては、既に居住者の移転が完了しており、今後、退去後の建物を除去することになってございます。  先ほど述べましたように、創出用地は都民の貴重な財産でございまして、これまでも地元区市とも連携しながら、まちづくりなど都の政策目的の実現や地域の課題解決に幅広く活用していく考えでございます。 ◯植木副委員長 大山とも子委員の発言は終わりました。(拍手)      ───────────── ◯植木副委員長 斉藤あつし理事の発言を許します。    〔植木副委員長退席、委員長着席〕 ◯斉藤(あ)委員 三月十一日で東日本大震災から丸五年となります。改めて、亡くなられた方に心から哀悼の意を表するとともに、今なお避難を余儀なくされている皆様にお見舞いを申し上げます。  さて、都議会民主党の方から代表質問いたします。  平成二十八年度予算案を審議するに当たって、本格的な少子高齢時代の都財政全体について伺います。  平成二十八年度予算は、バブル崩壊後初の五年連続増収となり、積極果敢な予算を組んだものと認識しております。この積極果敢は、もちろん課題の本質に切り込むものと評価をしておりますけれども、本格的な少子高齢社会を目前に、将来にわたって財政構造の弾力性を保つための布石も忘れてならないと考えております。  バブル崩壊後、国を挙げた内需拡大や経済対策が求められた平成五年度、これもやはり七兆円の予算規模でありましたが、結局、その後の財政破綻の入り口となってしまいました。経済の先行きも予断を許さない中、オリンピック・パラリンピックを四年後に控え、将来世代への負担を強いるのではないか、十分な検証が必要だと考えます。  平成二十八年度予算編成の柱の一つに、強固で堅実な財政基盤を構築することを掲げておりますけど、財政規律の保持という観点からは、どのように予算編成に臨まれたのか、過去との比較を含め、見解を伺います。 ◯長谷川財務局長 二十八年度予算は、計画的、戦略的な政策展開を支え得る強靱な財政基盤を構築することを柱の一つとして編成に臨んだところでございます。  お話の平成五年度予算と比較いたしますと、五年度の都税収入が四・三兆円であるのに対しまして、二十八年度は五・二兆円と一兆円近く上回っております。一方で歳出は、五年度の政策的経費が約六兆円であるのに対しまして、二十八年度は都税収入が堅調である中にありましても、財政規律を維持しつつ、一つ一つの事業の必要性などを精査することで、約五兆円となっております。  また、将来を見据え、都債の発行を抑制することで、起債依存度は、五年度の二分の一となります五・〇%と低い水準を維持しております。  さらに、財源として活用可能な基金の積み増しを行いまして、一兆一千五百八十七億円の残高を確保するなど、将来の財政需要に対する備えを講じたところでございます。 ◯斉藤(あ)委員 なるほど平成二十八年度予算は、過去との比較においても、健全性に配慮されているということで評価をいたします。  しかしながら、現在の少子高齢化は、バブル崩壊当時とは比較にならないほどであります。都財政を取り巻く環境は大きく変化をしております。また、介護保険制度による公費負担の制度化で義務的支出が増大をし、財政の硬直化も予想されます。  こうした中で、社会経済状況の変化にも即応し、待機児童解消や非正規雇用対策など、思い切った予算を投じていかなければならないと考えます。都財政をめぐる環境が年々厳しさを増す中で、東京が直面する諸課題を解決するためには、これまで以上にめり張りのきいた予算が求められると考えますが、平成二十八年度予算における舛添知事の所見を伺います。 ◯舛添知事 少子高齢化が急速に進展し、都政に求められる役割がますます拡大する中にあっても、都民のニーズに的確に応えていかなくてはならないと思っております。このため、時代の変化を敏感に察知して、必要な施策に先駆的に取り組むとともに、既存の施策を常に検証し、質を高める努力を不断に続けることが不可欠だと考えております。  そのため、二十八年度予算編成におきましては、予算要求の段階から、各局の自主的な改革や局間の連携による見直し、再構築を求めますとともに、昨年度に引き続きまして、見直しをやった、そういうところにはインセンティブを付与するということで、積極的な施策の新陳代謝を図りました。  この結果、事業評価の取り組みを通じまして、昨年度を四十一件上回ります三百二十五件の見直し、再構築を実現し、約三百億円の財源を捻出したわけであります。  しかし、その一方で、仕事、子育て、介護など都民福祉の向上や、それから観光を初めとします成長分野の振興など、長期ビジョンに基づきます施策に対しては重点的に予算を配分して、都民生活の喫緊の課題への対応と、それから将来への投資と、この両方をしっかりと行うことにしております。  こうして編成しました来年度予算は、財政の健全性、これは基金なんかも活用した上で堅持しつつ、必要な分野には果断に予算を配分するということで、今、理事がおっしゃったような、めり張りのきいた予算になっていると確信をしております。 ◯斉藤(あ)委員 ありがとうございました。  将来にわたる見直しをかなり気を使って行ったと、このようなことであります。この見直し姿勢、引き続きこれを東京都のために、ぜひその姿勢を貫いていただきたいと思います。  さて、きょうは共生社会について多岐にわたる角度から伺ってみたいと思います。  障害、高齢者も含めますと、かなり横断的な角度からの共生社会に関する質問をしていきたいと思いますけれども、私ども都議会民主党は、全ての人に居場所と出番がある共生社会をつくるなどの基本理念を共有して、会派を結成しております。  知事は、人権施策推進指針の改定や多文化共生推進指針を策定し、昨年六月の私の質問に対しても、ヘイトスピーチを許してはならないとも、いかなる種類の差別もオリンピックの精神に反すると述べております。また、オリンピック・パラリンピック教育についても、共生社会を東京にしっかりと根づかせていくとも表明をされており、私は、知事のこうした姿勢、大変評価をさせていただきます。  そこで、知事が目指すこの共生社会とはどのようなものなのか、ここで改めて伺います。 ◯舛添知事 共生社会についてご質問がございましたけれども、私は、年齢や障害の有無、それから国籍、文化、宗教、こういうものの違いにかかわらず、社会の一員としてお互いに尊重し合って、支え合いながら生活する社会、それが、私が目指すところの共生社会であります。  IOCのオリンピック憲章を見ますと、オリンピズムの根本原則として、人権に配慮した大会であるべきだということがうたわれております。二〇二〇年大会は、ぜひこれを具現化して、共生社会の実現に大きな弾みをつける機会だと考えております。  昨年の末に策定いたしました二〇二〇年に向けた東京都の取組でも、多様性を尊重する共生社会づくりを掲げまして、オリンピック・パラリンピック教育を通じた未来を担う人材の育成、それから外国人が参加、活躍しやすい環境の整備、障害のある人もない人も、誰もが生き生きと暮らせる社会に向けた取り組みなどについて、具体的な施策を展開していくことにしました。  やはりこの二〇二〇年大会があるというのはすばらしいことだなと思うのは、お父さん、お母さんがいろんな国から来られた方で、しかし今、日本国籍を持って日本の選手として走っている。誰も不思議に思わない。それから、テレビ見ていても、多様な外国の方が出てきても、今、何の違和感も感じなくなってきている。  こういうのは非常に私は、いい方向に日本社会が向かっているというふうに思っておりますので、さらにこれを進めるために、二〇二〇年の先の価値あるレガシー、それはやっぱり共生社会だと思っておりますので、その実現に全力を挙げたいと思っております。 ◯斉藤(あ)委員 共生社会で、さまざまな人にスポットライトを当てていくというのは、私どもも同じであります。  この共生社会、やはり実現するのには、現実的にはNPOや民間の非営利活動などを幅広く支える人材、とりわけボランティアの存在というものが恐らく必要になってくると思います。  東京都は、二〇二〇年大会の後のボランティアの行動者率四〇%というのを目指しておりますけれども、その達成というのはなかなか大変かと思います。  一方で、ボランティアコーディネーターというものが、阪神・淡路大震災のときに、ボランティア活動希望者と現地のニーズの調整が非常に難航したという反省から、この必要性が以前から指摘されてまいりました。  より多くのボランティアコーディネーターの育成に向けてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。 ◯多羅尾生活文化局長 多くの都民の方々がボランティア活動に参加し、最大限の力を発揮するためには、お話の調整役でありますボランティアコーディネーターの役割が重要でございます。  そのため、来年度から、東京におけるボランティア活動推進の中核である東京ボランティア・市民活動センターが実施するコーディネーター養成講座の受講者数を拡充し、これまでの福祉関係者に加え、企業の社員、大学やNPOの職員も対象としてまいります。  また、養成するコーディネーターが実践の場でより力を発揮できるよう、受講者のレベルに応じた役割ごとに講座の区分を細分化するなど、現行のカリキュラムを再構築し、充実を図ってまいります。 ◯斉藤(あ)委員 コーディネーターの養成を幅広くというふうなことになるということです。  もちろんコーディネーターがいるのであれば、並行してボランティアが当然必要であります。  この確保について伺うんですが、私は、ことしも東京マラソンのボランティアに参加をさせていただきました。靖国通りのところの新宿一丁目あたりにいたのですけれども、コース沿道の整理、これを行っていたんです。実際に集まった方、まさに老若男女、ちょっと高齢者の方が若干多かったんですけれども、さまざまな職業、動機を持って活動をされておりました。  こういった方たちが、限られた時間でも参加できるボランティア、あるいは在住外国人の方であれば、語学能力を生かした訪日外国人への語学ボランティアなど、個々の希望に対して、よりきめ細やかに対応できるようなボランティア情報というものが必要なんじゃないかなというふうに思います。  このボランティア情報の発信を強化して、外国人を含めて多くの都民がボランティア活動を積極的に行えるように取り組むべきと考えますが、見解を伺います。 ◯多羅尾生活文化局長 都民の生活形態はさまざまであり、多くの都民がボランティア活動に参加するには、それぞれのニーズに合った情報提供が必要でございます。  そこで、東京ボランティア・市民活動センターと区市町村ボランティアセンターとのネットワーク化を進め、お互いが保有するボランティア情報の共有化を図ってまいります。  こうした情報を東京ボランティア・市民活動センターが運営するボラ市民ウェブを通じて一元的に提供するなど、さまざまな情報の収集と発信を強化してまいります。  また、在住外国人に向けては、母国の文化紹介や母国語と日本語の通訳など、参加しやすいボランティア活動に関する情報提供の充実を、大使館、日本語学校などと連携して進めてまいります。 ◯斉藤(あ)委員 このボランティアの部分、なれている人だと情報が集まりますが、そうじゃないとなかなか難しいというところでありますので、ぜひ進めていただきたいと思います。  それでは次に、オリンピック・パラリンピック教育における共生社会の推進、これについて伺います。  四月から都内全校の児童生徒にオリンピック・パラリンピック教育が行われます。  都議会民主党は、二〇一六年大会招致当初から、都内学校において国際交流を促す一校一国運動の実施を求めてまいりました。  オリンピック・パラリンピック教育において、東京の子供たちが国際交流を通じて共助社会や多文化共生、世界平和の実現に向けて考え学ぶ機会とすることが重要と考えますけれども、見解を伺います。 ◯中井教育長 オリンピック・パラリンピックは、スポーツを通して調和のとれた人間を育成し、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって、平和でよりよい世界の実現に貢献することを目的としております。  このため、都教育委員会は、この理念を取り入れ、オリンピック・パラリンピック教育を都内全ての学校で実施することといたしました。  具体的には、各学校で社会に貢献するボランティアマインドの育成、他人を思いやる心を培う障害者理解、異文化を理解し、自他を認め合う豊かな国際感覚の醸成などに重点を置き、体験や活動を重視した教育活動を展開してまいります。  こうした取り組みにより、子供たちに多様な価値観を持つ人々と協力して課題を解決する力や、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度なども醸成してまいります。 ◯斉藤(あ)委員 多文化共生ということも先ほど出させていただきましたが、それでは次に、多文化共生の方と教育の方について伺います。  日本語の学習支援が必要な子供たちへの教育ということで多文化共生とありますが、長年の課題であった国際人権規約の留保事項が撤回されたことからも、全ての子供に学ぶ権利を保障し、教育の場を提供しなければならないというふうになりました。  そこで、日本語学習支援を充実させるとともに、多摩地域を初めとした都立高校に外国人の受け入れ枠を拡充するなど、多文化共生の実現に向けた取り組みをぜひ推進してほしいと思うんですけれども、これについて見解を伺います。 ◯中井教育長 都教育委員会は、日本語指導が必要な児童生徒が日本語を学ぶためのテキストである「たのしいがっこう」や教員が指導する上で参考となる日本語指導ハンドブックを作成、配布するとともに、日本語指導に関する教員研修を実施しております。  また、在京外国人生徒に高等学校教育の機会を提供するため、本年の都立高校の外国人生徒募集枠を新たに二校で三十六名ふやし、合計で区部の五校、百十七名といたしました。多摩地域も含めた在京外国人枠の設置については、この五校の入学選抜の応募状況等を十分に見きわめ、適正な募集枠を設定するよう検討を進めております。  今後とも、日本人と外国人の児童生徒がともに学び、活躍できるよう適切な支援を行い、教育環境の整備を図ってまいります。 ◯斉藤(あ)委員 多摩地域の外国人枠については、ちょっとお寒い状況でございましたので、これについてはぜひ力を入れていただきたいと思います。  また、私は最近、定時制高校や昼夜間三部制高校、そして中学校の夜間学級を視察する機会に恵まれました。  そこでは大変多数の外国人の子供たちが日本語の学習を受けていたんですけれども、やはり全ての子供たちに学ぶ機会を提供して、わかりやすく、懇切丁寧な学習指導を行う、それができるような体制づくりというのを、さらに今後とも強く求めてまいります。  さて、多文化という部分で、また最近注目を集めておりますLGBTなどの人権施策の推進についても伺わせていただきます。  二〇一四年に開催されたソチ・オリンピックでは、ロシアで成立した同性愛宣伝禁止法に対して、人権擁護団体などが抗議をし、アメリカやドイツ、フランス、イギリスなど、各国要人が開会式の欠席をあえて表明するなど、大変後味の悪い大会になりました。  二〇一四年十二月のIOC総会では、オリンピック憲章の根本原則に性的指向が盛り込まれたこともあり、私は二〇二〇年大会に向けて、東京都がLGBTを初めとする人権施策に前向きに取り組んでいることを世界に向けて積極的にアピールすべきと考えますが、その見解を伺います。 ◯中西総務局長 二〇二〇年東京大会の開催に当たり、人権尊重の理念が広く浸透した社会を実現していくことが重要であります。このため、都は、昨年八月に東京都人権施策推進指針を改定し、新たな人権課題として、インターネットによる人権侵害、北朝鮮による拉致問題、性同一性障害者、性的指向など、七つの課題を加えたところでございます。  さらに、昨年の十月には、若い世代から高齢者まで幅広い層の都民に人権の大切さについて考えていただく大型啓発キャンペーンとして、ヒューマンライツ・フェスタ東京を開催いたしました。  今後、性的マイノリティーの方々の人権等、新たな課題も含め、都民の人権意識の醸成を図る取り組みを積極的に実施し、東京が全ての人々の人権が尊重された都市であることを国内外に広く発信してまいります。 ◯斉藤(あ)委員 多文化共生という部分で、これも十分ぜひ取り組みを進めていただきたいと思います。特に開催都市として、積極的に進めていただきたいと思います。  それでは次に、パラリンピックに絡めた障害者の施策についても伺っていきたいと思います。  二〇二〇年、東京で二回目のパラリンピック開催ということですが、ことし四月からは障害者差別解消法と改正障害者雇用促進法が施行されます。昨今は超福祉の概念ということを打ち出して、福祉の持つ負のイメージを格好いいとか、かわいいなど、憧れのイメージに変えようとするNPO団体の取り組みや、バリアバリューの概念で障害を価値に変える企業の取り組みなど、民間から大変新しい、うねりというものが出てきております。  新しい共生社会の実現のために、こういった新しい取り組みを私どももしっかり見ていきたいと思うんですが、そのようなことから、パラリンピックへの取り組みと大会の成功こそが障害の有無を超えた共生社会の実現へとつながっていくと考えるんですけれども、知事の見解を伺います。 ◯舛添知事 今おっしゃいましたように、パラリンピック成功の鍵というのは、やっぱり他者への思いやり、それから多様性を尊重する心を人々に浸透させる。ノルウェーではノーマライゼーションというのは一九七〇年代からいわれていたんですけれども、今、我が日本で完全に定着したかというと、まだまだそこまでいっていない。やっぱり健常者も障害者も自分がやりたいことがやれるような社会にしないといけないというふうに思っておりますので、先ほども申し上げました昨年十二月に策定しました二〇二〇年に向けた東京都の取り組みの中でさまざまなハード、ソフトの施策を掲げておりますので、これを着実に実行していきたいと思っております。  それから、新たに二百億円の基金を設けまして、障害者スポーツの理解促進、基盤づくりなどに集中的に使いたいというふうに思っております。  それから、一九七〇年代に比べて、今のいいのは、いろんな意味で技術が進んできたと。ですから、道路や交通機関、例えば自動運転なんていうことが実現すれば、非常にバリアフリー化にもつながるわけであります。教育やボランティア活動を通じた障害者への理解の促進、それから何といっても心のバリアフリー、それから多言語というのは、これはまさに情報面のバリアフリー、こういう面でスポーツも都市づくりも文化も教育も福祉も各分野を全庁挙げて取り組んでまいりたいというふうに思っております。  そして、やっぱりパラリンピックというのは最高の機会であって、これを契機にすばらしいレガシーとして共生社会を残していく。それがなければ、私はパラリンピックをやるかいはないというぐらいに思っておりますので、全力を挙げて取り組みたいと思っております。 ◯斉藤(あ)委員 今、知事の方からパラリンピックの最高のレガシーとして最高の機会でもあるということですが、確かに障害者スポーツの振興というのは、共生社会の実現に欠かせない重要な取り組みの一つになろうと私も思います。  昨年、都議会民主党が作成を求めました障害者スポーツの施設利用促進マニュアル、幸いにして完成いたしました。多くの人々にぜひ周知されてほしいと思っています。  市区町村のスポーツ施設を改修、新設するときには、ユニバーサルデザインの理念に基づいて、全ての人々にとって使いやすい施設となるよう、マニュアルで紹介している視点を取り入れた取り組みを支援すべきというふうに考えていますが、見解を伺います。 ◯中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 先月作成いたしました障害者のスポーツ施設利用促進マニュアルでは、施設管理者が知識不足などから障害者の受け入れに不安を感じていることを受けまして、これに対応するためのきめ細かい施設面の工夫など、障害者の視点に立った使いやすい施設のあり方を示しております。  こうした視点は、市区町村のスポーツ施設を障害者のみならず、全ての人にとって使いやすい施設として整備する際にも大変参考になるものでございます。  そのため、二十六年度から実施しておりますスポーツ施設整備費補助制度の申請の際に、市区町村に対しまして、このマニュアルを紹介し、障害の特性に応じた配慮すべきポイントなどを踏まえた整備を行うよう呼びかけ、アドバイスを行い、その取り組みを支援してまいります。 ◯斉藤(あ)委員 加えて、日本ではロンドン大会でのパラリンピックの報道というものについて、オリンピックのそれに比べて大変少なかったということを私なんかは文教委員会の質疑などで指摘してまいりました。せっかくパラリンピックの中でスポーツ振興というわけですから、非常にそれは残念な話でした。  そこで、さきの代表質問でもリオデジャネイロパラリンピックを契機として、多くの国民、都民が障害者スポーツに親しみ、関心を持つように普及啓発すべきと訴えたところです。  普及啓発と同時に重要なのが選手への支援なんですけれども、東京でも一地方として、身近な東京都生まれの選手などがパラリンピックに出場し、活躍をすれば、多くの都民が障害者スポーツに関心を持つきっかけになると思います。  都は、パラリンピックを目指す選手の育成、支援に力を入れていくべきと考えますが、見解を伺います。 ◯中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 二〇二〇年のパラリンピックで地元東京の選手がベストを尽くして戦う姿は、多くの都民に勇気や感動を与え、障害者スポーツに対する認識を新たにいたします。
     そこで、都は今年度から、パラリンピック出場を目指す選手の発掘や、競技団体が行う強化練習会などへの支援を開始し、来年度はその予算をさらに拡充いたします。  また、二〇二〇年大会に向けまして、有望な選手を新たに東京ゆかりパラリンピック出場候補として認定し、海外遠征や競技用具等への支援、医科学面からのサポートを実施いたします。さらに、都民が選手に対し親しみを感じますよう、認定選手のプロフィールや大会での活躍をホームページなどで積極的に発信してまいります。 ◯斉藤(あ)委員 ありがとうございます。  それでは、障害者の理解がパラリンピックで進んだところで、障害者雇用についても伺っていきたいと思います。  舛添知事は、東京都の長期ビジョンにおいて、二〇二四年度末までに障害者雇用を四万人ふやすというふうな目標を掲げていますけれども、一方で、現在、民間企業の雇用率は一・八一%と法定雇用率二・〇%に達しておりません。私は障害者の就労支援や定着を進めるには、企業と障害者のマッチングや企業の障害者目線での雇用環境の整備、就労支援機関などの連携が重要と考えます。  そこで、障害者の就労機会の確保と職場定着支援に、今後どのように取り組んでいくのか見解を伺います。 ◯山本産業労働局長 都では、障害者の雇用を推進するため、企業の理解を促す障害者雇用支援フェアや人事担当者向けの実務講座の開催に加えまして、就職に必要なスキルを身につける職業訓練などを行っております。  また、職場定着に向けては、国と連携した助成事業を実施するとともに、職場環境整備に向けた助言を行う東京ジョブコーチを年六百件規模で派遣しております。  来年度はこれらに加えまして、正規や無期雇用での雇い入れ、転換と賃金の改善などを行う事業主に対する奨励金を創設するとともに、社内で職場定着をサポートする職場内ジョブコーチの設置への支援を開始いたします。 ◯斉藤(あ)委員 今、障害者雇用を進めていくということですが、しかしながら、まだ課題はたくさんあります。特に改正障害者雇用促進法によって、二〇一八年四月から精神障害者が法定雇用率の算定対象になるんですけれども、なかなか一般就労定着が難しいということです。  精神障害者が職場で体調が悪化したときなんかに対応できるように、本当は医療機関と就労支援機関が連携するのがいいと思うんですけれども、残念ながら、医師も非常に限られた受診の中で日常の患者の様子を確実に把握ができないというふうなことで、なかなかこれは難しいことなんです。  雇用を行う上で、医療機関が詳細な情報に基づいて的確な指示が職場にできれば大変いいんですけれども、東京都は精神障害者に対する、より一層の理解促進に取り組むとともに、精神障害者の一般就労と定着を促進するため、医療機関と就労支援機関の連携強化に取り組むべきと考えるのですが、ぜひ見解をお願いします。 ◯梶原福祉保健局長 精神障害者は、周囲の環境の影響を受け症状が変化しやすいなどの障害特性があるため、就労支援に当たりましては、就労支援機関と医療機関が連携することが重要でございます。  そのため、都は来年度、医療機関が就労支援機関と協力して、精神障害者を実習生として受け入れ、就労に向けての課題等を検証し、具体的な支援方法を共有する取り組み等を行います。また、取りまとめた事業成果は、セミナー等で活用いたしますとともに、職員の研修等のためのDVDを作成して、都内の就労支援機関や医療機関に配布し、両機関の連携強化のために活用していただくこととしております。  さらに、広く都民に対しましては、精神障害を初め、さまざまな障害の特性や支援方法等を紹介する特設サイトや、障害者週間等の機会を通じて普及啓発を行い、障害への一層の理解促進に取り組んでまいります。 ◯斉藤(あ)委員 今、精神障害者の方を伺わせていただきました。そこで、次に心身障害児者についても伺いたいと思います。  肢体不自由児者の保護者団体からは、医療の発達によって、医療的ケアを必要とする障害児者は増加傾向にあるというふうに聞いているんですけれども、さらにケアが質的、量的に充実したことで、重い障害を持っていても、在宅で生活できるようになりました。  しかしながら、従来から私たちはたびたび取り上げてきた問題なんですけれども、在宅の障害児者を支える施設は、まだまだ不足をしているというのが現状であります。つい先日も適切な診療を受けながら、地域で暮らせるよう生活支援のさらなる取り組みを求められたところなんです。  そこで、東京都は短期入所などの施設において、医療的ケアを要する障害児者の受け入れが進むよう都が支援を行うべきと考えるのですが、いかがでしょうか。 ◯梶原福祉保健局長 都は来年度から、短期入所等を行う事業所におきまして、医療的ケアの必要な障害児者の受け入れが進むよう、地域の中核となる障害者支援施設等に障害分野に精通した看護師を配置する区市町村を包括補助で支援いたします。  看護師は、短期入所等の事業所に対しまして、医療的ケアの必要な障害児者の受け入れに係る相談や助言を行いますほか、訪問看護ステーションや医療機関等と障害福祉サービスの事業所との調整や、地域の障害者等からの医療的な相談に対応することとしております。  こうした取り組みは、地域での障害福祉サービスと医療との連携強化につながるものと考えております。 ◯斉藤(あ)委員 私の地元であります北多摩地域、大変重度心身障害児の施設が多く存在して、同時に多くの方が入所、もしくはデイサービスを使っていますが、近年、重度、重複の障害が著しく、実態に合わせた看護師を配置しようと思うと、さらなる加配が必要な状況です。通所サービスも不足しておりますので、このあたりはしっかりと取り組みを求めていきたいと思います。  加えて、さらに全身性障害の人々にとっての介護サービスです。  これについては、本来、訪問介護のサービスは、法に基づいて、国が費用の二分の一を負担しなければならないとなっていますが、国は財政的な理由から、訪問系サービスに国庫負担基準の上限を設けた上に、特別区や人口三十万人以上の市町村については、その基準を超える部分への国庫補助金を廃止しました。  私ども都議会や都、区市は、助成廃止に反対する意見書や緊急要望を国に行いました。ここの議場にいる皆さんが同じ思いだったということです。  平成二十六年度は、練馬区や町田市など十七区市が廃止の影響を受け、障害者が地域で自立して生活する権利を国が保障すべきであると改めて強く要求したいと思います。  東京都は、国に障害者の訪問系サービスに対する法に基づく負担を行うように求めるべきと考えますが、その見解を伺います。 ◯梶原福祉保健局長 都はこれまでも、重度訪問介護等に係る国庫補助金に関しまして、サービスを提供する区市町村が超過負担を強いられることのないよう、区市町村が支弁した費用額の二分の一を負担すること、国庫負担基準額については、さらなるかさ上げ等を行うこと、従前のとおり特別区は対象とするとともに、人口や財政力に応じた削減を行わないことを国に提案要求しております。  また、区長会、市長会からも同様の要望を提出しており、今後とも区市と連携し、国に強く申し入れてまいります。 ◯斉藤(あ)委員 ありがとうございます。ぜひ、ともにやっていきましょう。  ここから高齢者施策についても伺いたいと思います。  二〇一四年に成立した医療介護総合確保推進法による都の地域医療構想の骨子案が示されて、関係者との調整や意見聴取が行われております。  構想の骨子案では、二次医療圏に当たる構想区域イコール病床整備区域は、平成三十年からの次期保健医療計画の策定時に見直し検証を行うと記載されています。  また、国が定める算定式による二〇二五年の病床の必要量の推計値は八千床不足するというふうな値になっており、この地域では病床再編や機能転換を求められるのではないか、培ってきた連携体制はどうなっちゃうのか、そういった部分を大変心配する声もいまだ聞かれております。  東京都の特性を生かした体制整備というものがこれは重要なんじゃないかというふうに思うのですが、所見を伺います。 ◯梶原福祉保健局長 都はこれまで、地域医療構想の策定に向けまして、地域ごとに医療機関や区市町村等から意見を聞きながら、医療需要推計や受療動向の分析などをもとに、高度医療を担う病院の集積など、都の特性を踏まえた検討を行ってまいりました。  昨年十二月に取りまとめました骨子案では、誰もが質の高い医療を受けられ、安心して暮らせる東京の実現に向け、四つの基本目標を示し、その一つに、都の特性を生かした切れ目のない医療連携システムの構築を掲げております。  また、疾病、事業ごとの医療提供体制については、これまでに培われた連携体制を基盤としながら、地域の医療資源の状況等に応じて柔軟に運用することとしております。  今後とも、地域の医療関係者等と意見交換を行いながら、高齢化に伴う医療需要の増大や受療動向の変化等を見据え、医療提供体制の整備を進めてまいります。 ◯斉藤(あ)委員 今ご答弁いただいたように、この骨子案では、誰もが質の高い医療が受けられるようにというふうになっておりまして、支える医療の充実、人材確保・育成など、四つの基本目標を設定しています。特に都では、世界にも類を見ない急速な高齢化の進展ということで、高齢者が病気を抱え、介護が必要な状態になっても、可能な限り、住みなれた地域で生活できるよう、医療だけではなくて、介護とも連携して、高齢者を支えていくことが極めて重要になってまいります。  次期保健医療計画は、高齢者保健福祉計画と同時期に改定になりますので、今まで以上に医療介護提供体制を充実し、連携を強化、手厚くする必要があると思うのですが、次期保健医療計画の改定に向けて、医療と介護の連携を一層重視して、検討を行うべきというふうに私ども思うんですけれども、知事の見解を伺いたいと思います。 ◯舛添知事 今おっしゃった医療と介護の連携というのは、私は国会議員のときも、厚労大臣のときも、ずっと取り組んできたテーマでありまして、例えば保険制度も違いますね。しかし、生身の体で医療が必要、介護必要と、両方必要なんです、それぞれの人間にとってみれば。そういう意味で医療と介護の連携を強化して、大都市東京にふさわしい包括的な地域包括ケアシステムを構築していきたいと思っております。  具体的にどうやるかということで、介護サービス基盤の整備、それから在宅療養や認知症対策の推進、それから医療、介護の連携の仕組みづくり、それから福祉人材、医療人材の育成など、さまざまな政策を展開してきたわけですけれども、ご指摘のように、二年後には都の保健医療施策の方向性を示す保健医療計画と、それから高齢者の保健福祉計画を同時に改定しないといけない。  医療の分野では、東京の今の問題というのは、急性期から在宅医療に至るまでの一連の流れを、我々が持っている医療資源を最大限に活用して、どう構築するのかと。それから、介護の分野では、やはり介護サービス基盤の整備、これは特養にしても足りません。それから、人材の確保、これも最大の課題であります。  こうした課題を踏まえまして、今後、医療や介護の関係者などから現場の声を十分に聞きながら、これを、連携をいかにうまくしていくかということで全力で取り組んでいきたいというふうに思っております。  二年後の二つの計画の改定に際しましても、地域包括ケアシステム、これをきちんと構築するんだということを第一目標に据えながら、医療と介護の一層の連携強化を図っていきたいと、そういうように考えております。 ◯斉藤(あ)委員 ありがとうございます。今、認知症のことを次に聞こうと思ったのですが、ちょっと時間の関係もあったので──知事の方からちょうど地域包括ケアの話が出てまいりました。  そこで、地域包括ケアの方に話を移りたいと思うのですが、前提となる高齢者の住まい、特に認知症高齢者が安心して暮らせる住まいの確保というのは、なかなか難しいのが正直なところです。グループホームがあるわけですが、地域偏在の解消に向けた取り組みが過去東京都でも随分行われてきたんですけれども、都では二〇二五年度末までに二万人分を整備するというふうにしているんですけれども、あと一万人分ぐらい足りないんですね。  この平成二十七年度事業評価を見ますと、整備率の見直しを図って、支援を拡大するというふうに方向が記載されているのですが、認知症高齢者グループホーム整備への支援を拡充し、整備促進を加速すべきというふうに考えるんですけれども、その見解を伺います。 ◯梶原福祉保健局長 都は、認知症高齢者グループホームの整備を促進するため、国制度による補助に加え、都独自の取り組みとして、一ユニット当たり二千万円の整備費補助を実施しており、高齢者人口に比べ整備状況が十分でない区市町村につきましては、重点的緊急整備地域に指定し、補助額を一・五倍の三千万円としております。  来年度からは、今後の認知症高齢者の増加を見据えまして、重点的緊急整備地域の基準となる整備率を、これまでの高齢者人口比〇・二九%未満から〇・三三%未満に引き上げ、対象地域の拡大を図ります。  今後とも、都有地の減額貸付や土地所有者等によるオーナー型整備への補助など、多様な手法を活用しながら、認知症高齢者グループホームの整備を促進してまいります。 ◯斉藤(あ)委員 グループホームの偏在を解消といったときに、なかなかまちを歩いていて、グループホームってすぐわからない施設の方が多いので、実感として難しいところではあるのですが、しかしながら、かなり偏在をなくそうということで努力しているというふうに評価いたします。  東京都の第六期高齢者保健福祉計画によれば、特別養護老人ホームについても、大変今待機者が多くて、本当に要介護度四、五といった緊急度が高い方でも、四千三百人待機しているという状況であります。  特養ホームについても伺うのですが、地価が高い東京の実情を踏まえて、整備に結びつく実効性の高い施策を実施する必要があると考えるんですけれども、これについて見解を伺います。 ◯梶原福祉保健局長 都は現在、都有地の減額貸付、土地賃借料の負担軽減、建築価格高騰に対する加算を実施いたしますとともに、高齢者人口に比べ整備状況が十分でない地域の補助単価を最高一・五倍に加算するなど、特別養護老人ホームの整備を促進しております。来年度からは加算を行う整備率の基準を引き上げ、加算対象地域を拡大いたします。  また、土地所有者等が賃貸目的で特別養護老人ホームを整備する場合についても、新たに施設整備補助をすることといたしまして、今後とも国有地や都有地の活用も含め、さまざまな支援策を講じ、特別養護老人ホームの整備を促進してまいります。 ◯斉藤(あ)委員 特養ホームの方についても大変期待を持たれているのですが、そういった中でつい先日、川崎市で介護つき有料老人ホームの入居者三人の転落死がありました。実は職員による殺人であったということが明らかになって大変ショックな事件だったんですけど、この事件をきっかけとして、虐待や窃盗など介護職場のモラル低下や厳しい労働環境に再び大きな注目が集まっております。  ただ、こういったニュースによって、一層の人材難に陥るなどの影響も懸念しているんですけれども、ここでしっかりとこの部分、人材確保に取り組まなきゃいけません。  都として、介護職場の環境改善、処遇改善、介護人材の確保に向けて、さらなる施策の充実を図る必要があると思うのですが、その見解を伺います。 ◯梶原福祉保健局長 都は現在、介護人材の確保を図るため、職場体験の実施や施設等で働きながらの資格取得の支援のほか、国のキャリア段位制度を活用し、職責に応じた処遇を実現するキャリアパスの導入に取り組む事業者への支援など、さまざまな取り組みを行っております。  来年度は、福祉避難所の指定を受けた施設等の運営事業者が施設周辺で職員宿舎を借り上げる場合に支援する都独自の補助制度を創設いたします。  また、福祉の仕事のイメージアップと人材の裾野を広げるため、一般大学の学生等を対象とした福祉職場への有償インターンシップや福祉の仕事の魅力ややりがいを発信する若者向けのイベントを実施することとしておりまして、介護人材の確保に向け、施策の充実を図ってまいります。 ◯斉藤(あ)委員 今、有料老人ホームの話をさせていただいたので、ちょっと有料老人ホームについてお話をしたいと思います。  少し前の調査なんですけど(パネルを示す)社団法人全国有料老人ホーム協会が平成二十四年に全国調査したんですけれども、介護つき有料老人ホームの入居者のうちに何割ぐらいが認知症の疑いがある、もしくは認知症ですかというのを調査したんですね。  回答がなかったところ以外でやってみると、この四つのグラフ、左から五割未満が認知症、次が五割から七割未満、七割から九割未満、そして一番右側が九割以上の人が自分のホームでは認知症の人だというふうな場合の回答をグラフ化したものです。九割以上の認知症、もしくはその疑いと回答した施設は、介護つき有料老人ホームの中で三四・二%と一番多かったんですね。もしくは、五割以上の人が認知症かというふうにまとめると、大体七四・三%の施設が五割以上認知症、もしくはその疑いだというふうに答えているんです。介護つきなので、これは重いんじゃないかと。  住宅型有料老人ホームというのがありますが、これは外部のサービス事業者が介護を行うようなところなので、もうちょっと軽いんじゃないかというふうに思うのですが、青いのは同じようなグラフなんですけれども、実際には九割以上が認知症ですよと、もしくはその疑いですよという施設が全体の四五・四%あって、五割以上の人が認知症、もしくはその疑いと答えたホームはやはり七五・三%、全体の四分の三だったんですね。要介護の人の比率が大変多いということでありますから、有料老人ホームの現場も大変だと思います。  以前、有料老人ホームに入るような人は、介護を余り必要としない人じゃないかとか、少し余裕がある人じゃないかという感じがあったんですけれども、十年ぐらい前から、私も人材不足で大変だという話を聞いていたものですから、実際にちょっと調べてみたら、かなり要介護が高い方がふえている上に人材が不足しているというふうな状況のようです。  高齢者人口の増加に伴って、都内の有料老人ホームの数は十年間で二・六倍、未届けも大変多い。施設数の増加に質的な面での適正な運営の確保が追いつかないのではないかという心配があります。  都として、有料老人ホームの適正な運営に向けて、指導に取り組むべきと考えるんですけれども、見解を伺います。 ◯梶原福祉保健局長 有料老人ホームは、老人福祉法第二十九条に基づく施設であり、都は法に基づき、届け出等の指導を行っております。  また、東京都有料老人ホーム設置運営指導指針を策定し、指針に適合しない運営が行われている場合には、計画的に改善を行うよう指導しております。  昨年十二月にはこの指針を改正し、施設が遵守すべき事項として、入居者が外部サービスをみずから選択できる原則の徹底、事故防止への取り組み強化と重大事故発生時の報告の徹底、介護職員に対する認知症介護に関する研修の実施などを盛り込んだところでございます。改正内容につきましては、事業者向け説明会を開催して周知徹底を図っており、今後とも介護保険の保険者である区市町村とも連携し、有料老人ホームの指導を行ってまいります。 ◯斉藤(あ)委員 ありがとうございます。有料老人ホームにもどんどん都として寄り添っていってほしいというふうに思っております。  さて、一方で、元気な高齢者の方にも目を向けなければいけないんじゃないかということです。労働政策研究・研修機構が行った調査では、六十歳を過ぎても働きたい高齢者は六四・一%と、まだまだ元気な方が多いということです。  東京都長期ビジョンでも、六十から六十九歳までの高齢者の有業率、今五三・四%を二〇二二年までには五六%、都の支援による就職者を二〇二四年度までに二万四千人にしたいという目標を掲げているのですが、そこで、平成二十七年度における東京労働局との協定に基づく都の支援計画事業の実績と二十八年度予算における都の取り組みを伺います。 ◯山本産業労働局長 都は今年度、雇用対策協定に基づき、国と連携して高齢者の就業を推進しております。具体的には、東京しごとセンターにおける就業相談や職業紹介、六十五歳以上を対象とする職場体験事業を実施するほか、区市町村を通じ都内五十八カ所のシルバー人材センターの運営費等を補助しております。  来年度は、高齢者の就業分野の拡大を図るため、引き続き国と連携しながら、着実に事業を推進するとともに、シルバー人材センターの福祉家事援助サービスの推進や労働者派遣事業の展開など、元気な高齢者が身近な地域で活躍できるよう高齢者の多様な働き方への支援を強化いたします。 ◯斉藤(あ)委員 今、元気な働ける高齢者の方の話が出ましたので、ぜひ私の方からは一つ提案ですけれども、大体、定年退職後の就労希望というのは、従来と同じ会社で働きたいという方が四七・九%で一番多いんですけれども、実際には二八・一%程度にとどまっているそうです。一方、介護の仕事なんかは、昨年十二月の有効求人倍率は一般の職員で四・五倍、パートで十一倍と大変人手不足です。  イメージとして、介護や福祉は重労働、体のケアというイメージがあるのですが、実際には介護、特に障害者の福祉なんかにおいては、社会経験が豊富で、対人関係が上手な方であればお願いしたい仕事なんかはたくさんあるんですね。  それで、二十八年度予算では、これまでの人材確保の取り組みに加えて、福祉の仕事に関心の薄い層に対する掘り起こし強化という取り組みが盛り込まれています。  人材不足が深刻な中で、元気な高齢者に福祉職場で活躍してもらうような取り組みを進めるべきではないかと私は思うんですけれども、都はどのように考えるのか伺います。 ◯梶原福祉保健局長 都は現在、元気な高齢者を生活支援サービスの担い手として活用する取り組みや、保育所での読み聞かせなど、福祉施設で高齢者が活躍できる仕組みづくりを行う区市町村を支援しております。  来年度は、元気な高齢者も含め、多様な人材の活用をより一層進めるため、新たに東京都社会福祉協議会に福祉人材対策推進機構を設置し、区市町村や関係機関と連携し、人材の掘り起こしから育成、マッチング、職場定着までを総合的に支援する取り組みを開始いたします。この中では、食事の配膳、利用者への声かけや見守りなどのサポート業務を行うために必要な研修や事業者とのきめ細かなマッチングを実施いたします。  今後とも、関係機関と連携し、高齢者の多様な働き方を支援し、福祉職場で活躍できる取り組みを進めてまいります。 ◯斉藤(あ)委員 今、るるいろいろ駆け足で聞いてまいりましたが、共生社会ということで、最後は高齢者の方の退職後の社会参加の場という話で戻ってまいりました。私ども、しっかり共生社会をつくるために頑張っていきたいと思います。  ここで一回区切りまして、改めて別のテーマに移っていきます。救急搬送について伺います。  救急搬送の時間の短縮については、年に一隊ずつであった救急隊の増強ペースは、平成二十八年度予算案では八隊と大きくふえております。また、六月からは東京駅、そして 新宿周辺で救急機動部隊が創設というふうになりました。  その上で私は、年間七十六万件にも及ぶ過去の救急出動件数の内容、いわゆるビッグデータの解析、分析をもとに、約二百五十隊の救助隊がネットワークを形成することで、より効果的な運用が可能なのではないかというふうに思うんです。  そこで、二十八年度予算案は、調査委託費として救急隊の効果的運用に関する検討経費というのがどうも計上されているようですけれども、その目的と救急隊の効果的な運用に向けた今後の対応について、ぜひ伺います。 ◯高橋消防総監 東京消防庁管内では、高齢化の進展等に伴い、救急出場件数が過去最高を更新し続け、救急隊の現場到着時間が延伸傾向にありますことから、救急隊の計画的な整備などに努めております。  さらに、来年度は、より効果的な救急隊の運用を図るため、年間約七十六万件の救急活動にかかわるビッグデータをもとに、気候、時間帯、人口構成等の要因が各地域における救急需要の変化にどのように影響しているかについての分析を調査委託する予定であります。  今後は、この分析結果を踏まえ、さらなる救急隊の効果的な配置と運用に向け検討を進めてまいります。 ◯斉藤(あ)委員 そのような対策、ぜひとっていただいて、さらに救急車の適正利用ということをしてほしいわけですが、それでも頻繁に救急要請する人というのがいるものです。救急車を一年間に三十回以上要請した人、平成二十六年の中では百七人いるそうです。出動件数は六千五百六十件、これは救急二隊分、全ての出動件数に相当しまして、非常に看過できないと思います。  頻回救急要請者について根本解決を図るためには、例えば慢性疾患や地域福祉の支援対象の方であれば、高齢者の人は介護保険のケアプラン、障害者であれば支援計画を工夫するなど、福祉関係部署が適切に対応していくべきであり、そのために頻回救急要請者となっている方の情報を福祉関係部署と共有するということが大切なんじゃないかと思います。  そこで、不要不急の通報を繰り返す方、頻回救急要請者を減らしていくとともに、広く都民に対しても、救急車の適正利用を呼びかけていくべきではないかと思うのですが、その見解を伺います。 ◯高橋消防総監 救急車を頻回要請する事情はさまざまであり、要請者に応じて個々に対応することが不可欠であります。このため、当庁では必要に応じて福祉事務所や保健所等と連携した頻回救急要請者連絡会を地域ごとに開催し、情報の共有を図るとともに、合同で個別訪問や必要な支援を行うなどの対策を講じているところでございます。  また、救急車の適正利用については、新聞広告やトレインチャンネル、ホームページなどのさまざまな広報媒体を活用し、真に緊急な場合に救急車を利用するよう広く都民に働きかけを行っております。  今後とも不要不急の救急要請を抑制するなど、救急車の適正利用に向けた取り組みに努めてまいります。
    ◯斉藤(あ)委員 それでは、救急の話をさせていただいたので、消防の話もしていきたいと思います。  昨年十月に広島市の雑居ビルで三人が亡くなりました。この火災におけるビルでは、消防計画のテナントの代表者名が違ったり、消防訓練の実施も五回指導されながら、一度も行っていなかったというようなことが指摘されています。  そこで、広島市の火災を教訓に、雑居ビルに入る飲食店の営業時間に合わせて査察を実施するなど、雑居ビル火災の防止に向けて、その実態を踏まえた実効性ある対策というのを求めますが、その見解を伺います。 ◯高橋消防総監 当庁では、広島市での火災を踏まえ、雑居ビル等で営業している飲食店など六百三十一店舗に対し関係機関と連携して営業時間に合わせた緊急の調査を行いました。その結果、特に夜間、少人数で営業を行っている店舗では、有効な自衛消防訓練が実施されていない状況が把握できましたことから、営業形態や従業員の勤務状況に応じた自衛消防訓練を実施させるなど、実態に即した指導を行ってまいりました。  これら雑居ビル等では、テナントの入れかえが頻繁であることから、今後とも夜間における査察などにより、継続的に実態の把握に努め、防火安全対策の実効性を確保するよう指導してまいります。 ◯斉藤(あ)委員 雑居ビル対策の方もぜひ頑張っていただくと同時に、福祉施設の防火対策も伺わせていただきます。  二〇一三年二月に発生したグループホーム火災を受けて、小規模な社会福祉施設などへスプリンクラーの設置や自動火災報知機の整備などが平成三十年四月一日から既存施設にも義務化されるんですけれども、私はグループホーム程度の経営規模からすると、後からスプリンクラーの消防設備を設置するとなれば、その負担は極めて過大というふうに指摘してきました。  高齢者施設には、国から補助金が出ているんですけれども、障害者施設には出ていないために、必要な支援が求められるというところでしょうか。この義務化までの間、障害者グループホームなどに対する防火対策をどのように進めていくのか、そこを伺います。 ◯梶原福祉保健局長 お話のように、昨年四月、改正消防法施行令が施行され、既存の障害者グループホームや短期入所を行う施設に対して、平成三十年三月三十一日までにスプリンクラーなどの消防用設備を設置することが義務づけられました。  都は現在、消防用設備の設置など、既存の障害者グループホームの防火対策に取り組む区市町村を包括補助で支援しておりますが、来年度は既存の施設にスプリンクラーや自動火災報知設備等を設置する際の経費の四分の三を事業者に対し補助する制度を創設し、グループホーム等の防火対策を一層促進してまいります。 ◯斉藤(あ)委員 グループホームまで来ましたので、関連して、医療施設の防災についても伺っていきます。  おととし、都議会民主党は、都内病院の一〇〇%耐震化に向けて都が取り組むように求めたんですけれども、災害拠点病院については、耐震、耐火構造であることが要件ですが、その他の医療機関も耐震化を推進しています。  しかし、残念ながら、耐震化がなかなか進んでいない病院が多いということで、都内病院の耐震化をさらに推進するためには、耐震補強、免震構造などへの建てかえを引き続き継続するとともに、一層支援していかなきゃいけないと思うんですけれども、そこについて見解を伺います。 ◯梶原福祉保健局長 都は現在、病院の耐震化を進めるため、国の補助制度を活用し、災害拠点病院や救急医療機関などに対し、耐震診断を初め免震化を含め新築建てかえや耐震補強の支援を行っております。また、国制度では対象とならない病院を含め、都独自に都内全ての病院を対象に補助を実施しており、平成二十六年九月時点で都内の八五%の病院で耐震化に取り組んでおります。  来年度からは、耐震化の計画がない病院に対し、コンサルタントを活用して、病院の実情に合う工事手法や整備費用の縮減などについて検討する費用も補助し、病院の耐震化を促進してまいります。 ◯斉藤(あ)委員 耐震ということで、ありがとうございました。災害、防災というふうなことで、次に、防災まちづくりの推進についてもちょっと絡めて聞きたいと思います。  平成二十八年度予算では不燃化十年プロジェクト、延焼遮断帯形成事業などによる木造密集地域の不燃化推進が引き続き計上されておりまして、加えて防災生活道路整備促進事業、地区計画策定支援が計上されているところなんですけれども、この新規予算の狙いについて伺います。 ◯安井東京都技監 今回改定いたします防災都市づくり推進計画では、延焼遮断帯に囲まれた木密地域を対象として、緊急車両の通行や安全な避難に有効な道路の拡幅計画を区とともに定めております。その整備を促進するため、来年度からは道路用地の測量や取得等に要する費用を補助し、区の取り組みを後押ししてまいります。あわせて、道路整備に協力して建築物の建てかえ等を行う場合にも、工事費の一部を助成することといたします。  もう一つの地区計画策定支援についてでございますが、これは整備地域以外における老朽木造住宅の密集地や将来ミニ開発が進むおそれのあるグラウンド等を対象といたしまして、区や市が地区計画などを活用して、敷地の細分化防止策などを講じる場合に、その計画策定費を補助するものでございまして、これにより震災時に危険性の高い市街地の形成に歯どめをかけてまいります。 ◯斉藤(あ)委員 ぜひ地区計画をつくりたいという市区町村を応援していただきたいと思います。  加えて、多摩地域について、古い木造建築物、やはり集中している地区が散見されるんですけれども、特区や東京都の耐震化助成制度の対象外では、なかなかそこの解消が進みません。基礎自治体は、整備地域以外にも助成しているわけなんですけれども、ぜひ東京都の支援を得て、さらに耐震化が進められるように要望しておきます。  それでは、都市整備局に対して、さらに道路の関係で伺っていきたいと思います。  東京都において、都市計画道路の整備方針、第四次事業化計画案が示されました。都市計画道路のうち、都として今後十年間で優先的に事業着手する路線が示されたわけであります。  都議会民主党は、早期整備が望まれる路線については、オリンピック・パラリンピック後を見据えた環境整備とあわせて、早急な取り組みを進める一方で、長期未着手の路線については、廃止を含めた検討を早期に進め、めり張りのある整備方針にすべきだということを求めてまいりました。  多くの路線で決定から五十年近く経過して、社会状況や周辺のまちも変わっている中で、今回の都市計画道路の検証についてどのように取り組んだのか、そこを伺います。 ◯安井東京都技監 都はこれまでも、社会経済状況の変化に応じまして、整備方針の策定などの機会を捉え、都市計画道路の必要性を検証し、計画の見直しを行ってまいりました。  今回の整備方針案におきましても、学識経験者の意見を踏まえた上で、区市町とともに交通処理機能の確保や緊急輸送道路の拡充など、十五の項目を設定いたしまして、それに基づき都市計画道路ネットワークの検証を行いました。  その結果、必要性が確認された路線の中から今後十年間で優先的に整備すべき路線二百二十三キロメートルを選定したところでございます。  同様に、検証項目に照らしまして、必要性が確認されなかった九区間、約五キロメートルを見直し候補路線として位置づけてございます。 ◯斉藤(あ)委員 検討の結果、都市計画の廃止に向かう路線も明記されたということは大変評価いたします。長期未着手路線については、周辺環境や地域のまちづくりとの関係に鑑み、必要に応じ引き続き見直し、廃止に向けて取り組んでいただきたいと思います。  近年、公共事業については、市民の意見も多様になっているために、真に必要な道路整備の計画決定に当たっても、プロセスを工夫していくことは非常に大事だと思っています。五十年前の計画で、立ち退きや生活環境の変化といったものがある方からすれば、やはり納得のいく説明というものが必要だと思います。  整備方針の策定段階においても、住民の目線で意見を取り込む工夫が必要だと考えますが、この点についてどう取り組んだのか伺います。 ◯安井東京都技監 今回の整備方針の策定に当たりまして、パブリックコメントにより、幅広く都民などの意見を反映させることは当然でございますが、これに加えまして、新宿駅西口広場イベントコーナー及び東京都立川合同庁舎におきまして、都民がいつでも訪れることのできるオープンハウス形式の説明会も新たに開催してございます。  来場者に対しましては、個々の路線について、必要性や重要性などを丁寧に説明し、直接意見を伺ってございます。  また、各区市町におきましても、パブリックコメントの期間中にパネル展示や説明会を実施してございまして、これらの場で得られた意見も踏まえながら今月末には整備方針を策定する予定でございます。 ◯斉藤(あ)委員 ありがとうございました。ぜひそういった取り組みを進めていただきたいと思います。  さらに、ちょっと伺うのは、真に必要な道路が仮に事業化された後、そこの課題なんですけれども、私の地元、小平市では、ご存じの方も多いと思いますが、平成二十五年の五月に小平都市計画道路三・二・八号線の住民投票が行われました。このとき新聞やラジオ、テレビでも大変広く報じられたことで、多くの市民が強い関心を持って、私も随分たくさんの方々からさまざまな意見を聞きました。  計画の周辺住民も随分代がわりしており、道路整備に対する理解もかなり差が出ていました。今後、都市計画決定から時間がたつにつれて、よりその傾向というのは強くなるんだろうなということは本当に実感したところであります。  さらに、隣接する国分寺で事業化された部分、同じ路線なんですけれども、事業化された部分については、東京都が周辺住民参加の沿道まちづくり検討会というのを開催して、出された意見を環境施設帯など、歩道とか、街路という部分ですね、これの設計に生かす取り組みが行われていたんです。  しかしながら、私がいろいろ見聞きする中で、こうした大変前向きで大変いい取り組みだと思うんですけれども、それがその先の区間の沿道住民になると、ほとんどそういうことが行われていることを知らないというのが実態だったんです。  道路整備の効果、必要性、完成後の道路の姿について、都民の意見をできるだけ反映するとともに、しっかりと説明すべきというふうに考えるんですけれども、都の見解を伺います。 ◯佐野建設局長 道路整備を進めるに当たりましては、住民に整備の意義を理解していただくことが重要でございます。そのため、地域の実情に即し、道路整備のさまざまな効果や実際の整備事例などに関するわかりやすい資料を作成し、住民説明会などで活用するとともに、質問にも丁寧に対応しております。  また、事業を進める中で住民からも意見を聞いており、例えば国分寺三・二・八号線では、都と地元市、沿道住民から構成される環境施設帯検討会を設置して、副道の有無とともに歩道や自転車走行空間、緑豊かな植樹帯の配置などを検討し、整備しております。  今後とも、住民の理解と協力を得ながら、道路整備を推進してまいります。 ◯斉藤(あ)委員 大変いい取り組みだと思いますので、ぜひ広めて、しっかり広報していただきたいというふうに思います。  では、最後のテーマで環境施策について伺います。  都議会民主党は、昨年末、奥多摩町を訪れて、山に入ってボランティアによる枝打ちを間近で拝見しました。作業箇所は大変急峻な斜面で、五メートルはあろうかという杉の木にするするっと登って、揺れる木の上で見事に作業しているボランティアの方たちの様子に大変驚かされたんですね。  また、お隣、山梨県丹波山村にも行きまして、東京都所有の水源林の保全の様子も視察をいたしました。都の水源林買収は、明治中期、上流の荒廃によって、玉川上水に渇水、濁り水があって、大変悩まされた。当時の東京市長、尾崎行雄が五日間に及んで現地踏査をしたことから始まっていまして、保全された森林は土砂流入の防止や雨水浸透の効果を発揮して、そのために小河内ダムは建設五十年以上経過してもなお、驚異的な有効貯水量を誇っているということらしいんです。  都の水源林以外の森林も、多くは樹木が混み合い、荒廃が懸念されております。特に採算のとれない森林は放置されていることが多くて、早急に対策を講じる必要があります。  平成二十八年度予算では、森林再生計画に加えて、新たな枝打ち事業も計上されているのは承知しているんですけれども、このような多摩の森林現状に対してしっかりと取り組むべきと考えるのですが、見解を伺います。 ◯遠藤環境局長 森林の持つ水源涵養、土砂災害防止、生物多様性維持などの公益的機能を発揮させるためには、間伐などの管理を行い、森林を適切な状況に保つことが重要でございます。都は、森林再生計画事業として採算がとれず、手入れがされていない人工林を森林所有者にかわり間伐することで林の中に光を入れ、下草や広葉樹の生育を促しております。  また、間伐した森林については、数年後に枝打ちを実施しておりますが、来年度からは水の浸透を高めることなどを目的に、枝打ちの面積を従来よりも拡大して実施することとしております。  こうした取り組みを着実に進めることにより、放置された森林の公益的機能を回復し、針葉樹と広葉樹のまじった豊かな多摩の森林を再生してまいります。 ◯斉藤(あ)委員 森林再生、新たな局事業で取り組みが進むと期待しております。特に水源森林隊の活動というのは大変感動的でありますので、ぜひ知事にも、一度足を運んでいただきたいと思いますし、多摩の森林再生、そうしますとより一層取り組みを進めていただけるのではないかというふうに思いますので、ひとつよろしくお願いをいたします。  それでは、環境ということで、次に、家庭部門での省エネ推進について伺います。  環境審議会答申では、改定する環境基本計画において、家庭部門のCO2削減目標というのは、二〇〇〇年比マイナス二〇%としています。  実現に向けた果敢な取り組みが必要と考えるんですけれども、住宅新築時に省エネ、再エネ機器を導入しても、建物からの熱ロスが大きければ、冷暖房の負荷が大きくなってしまいます。エネルギーを輸入に頼っている日本で、特にほかの自治体からのエネルギー供給も受けている東京は、国に率先して環境の観点からエネルギーを無駄にしない住宅の誘導というのをするべきなんじゃないかと思うんですけれども、なぜしないのか。  東日本大震災後に省エネ基準改正された通称H二十五基準、二〇二〇年には住宅にも義務として課されるのですが、従前の基準を改定したあくまでミニマムの基準ということですので、エネルギー問題に直面した諸外国の基準と比較して、決して高いレベルではないと思っています。  より高い性能の省エネ住宅が供給されるようにすべきと私は考えるんですけれども、いかがでしょうか。 ◯遠藤環境局長 都はこれまでも、一定規模以上の新築マンションの建築主に対して、断熱等の環境性能表示を義務づける制度や長寿命で環境にも配慮した戸建て住宅の供給を街区単位で行うモデル事業などを通じて、住宅の省エネ化を促してまいりました。  一方、国は二〇一四年に閣議決定したエネルギー基本計画において、二〇二〇年までに大規模な建物から戸建て住宅まで段階的に建物を新築する際の断熱等の省エネ基準を義務化することとしております。  こうした動きを見据え、来年度、住宅の省エネ化をさらに進めるため、魔法瓶のように断熱性、気密性にすぐれた高水準省エネモデル住宅の調査検討を行う予定でございます。 ◯斉藤(あ)委員 オイルショックがあって、一九八〇年に初めて制定された省エネ基準というのは、改定を経ても、決して高い水準ではないにもかかわらず、基準を満たす住宅というのはほとんど普及してないんですね。  代表質問では、既存住宅ストックの流通活性化については、空き家の発生抑制ということの観点から取り組みを求めたんですけれども、市場価値だけでなくて、環境負荷の観点から見ても、断熱性能に劣るものが多いといわれる既存住宅の省エネ推進というのは進めていいのではないかと思います。  省エネにつながるリフォーム等については、住宅の環境負荷低減の観点からも、都として支援する、一層取り組みに値するものではないかと私なんかは思うのですけれども、その見解を伺います。 ◯遠藤環境局長 既存住宅の省エネ化を図るため、都は今年度から、複層ガラスなどの断熱性能の高い建材を用いたリフォームと太陽エネルギー利用機器の設置を同時に行う場合に、費用の一部を補助する制度の運用を開始しております。  また、家庭向けに発行している省エネハンドブックやパンフレットに断熱改修の必要性やその効果をわかりやすく解説した内容を盛り込み、省エネアドバイザーなどを通じて普及啓発に取り組んでおります。  今後、区市町村との連携を深め、都民のさらなる理解の促進を図るなど、既存住宅の一層の省エネルギー化を進めてまいります。 ◯斉藤(あ)委員 最後に、これはちょっと知事に伺いたいんですけれども、再生可能エネルギーの利用促進と省エネの取り組みについて伺いたいのですが、特に再エネ、省エネ施策というのは、五年前の東日本大震災の経験の上で強化されたといっても過言ではないと思います。  都議会民主党は、エネルギーは都市の活動の基盤であるというふうに考えています。もちろん多量に消費する東京だからこそ、省エネルギー、再生可能エネルギーの取り組みをきちんとやるという責任は大きく、意義も高いと、そしてそういったことを私どもは繰り返し申し上げさせていただきました。  環境基本計画の目標設定についても、より野心的な数値を求めて、知事からも前向きなお答えを過去いただいたことがございます。知事も、東京都環境基本計画において、再生可能エネルギーの利用割合を国よりも高い二〇三〇年に三〇%程度とすることを目標としたいと意欲的な表明をされております。  二〇三〇年を展望して、総合的に取り組みを進めていただきたいというふうに考えるんですけど、改めてこれについての知事の見解を伺います。 ◯舛添知事 世界有数の大都市でありまして、しかも日本の首都である東京の責務として、スマートエネルギー都市をつくり上げていくということが必要だと思っています。  この東京の決意を明らかにするために、東京都環境基本計画におきまして、二〇三〇年の新たな省エネ目標とあわせまして、再生可能エネルギーの電力利用割合を三〇%程度に高める意欲的な目標を設定することにしました。国は二二から二四ですから、国よりも上をいっていると。  目標の実現に向けまして、需要側の取り組みとして、キャップ・アンド・トレード制度の着実な推進とともに、住宅の低炭素化を後押しする施策の実施などによりまして、エネルギー消費量の削減を図りたいと思っております。  供給側につきましては、住宅等への太陽光発電や下水処理場などでの小水力発電の導入促進、それから地産地消型の再エネ電気、熱の導入拡大など、東京の特性を踏まえた取り組みを進めてまいります。  二〇二〇年大会とその後も踏まえまして、受給両面からの総合的なエネルギー施策を展開しまして、世界一の環境先進都市東京の実現を目指してまいりたいと思っております。 ◯早坂委員長 斉藤あつし理事の発言は終わりました。(拍手)  以上で本日予定しておりました質疑は全て終了いたしました。  なお、明日は午後一時から委員会を本委員会室で開会いたしますので、よろしくお願いいたします。  これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。    午後八時十一分散会         平成28年 予算特別委員会資料要求について                        清 水 ひで子 君 (共 産)   1 東京都長期ビジョンの主な取組の事業費   2 舛添知事の海外出張の状況(出張先、期間、目的、参加人数及び費用)   3 東京都地域防災計画が示した減災目標達成のための施策ごとの目標   4 防災対策予算の主な事業別執行状況の推移(平成23年度~平成26年度)   5 局長級等退職者の再就職状況(平成27年度)   6 各局別・任命権者別職員定数の推移(平成24年度~平成28年度)   7 各局別職員定数及び退職者数の推移(平成11年度~平成27年度)   8 各局別・職種別超過勤務の実態(60~80時間、80~100時間、100時間以上)及び病気による休職者数の推移   9 都及び監理団体における非常勤職員等数の状況(局別、団体別)  10 監理団体の職員数と都財政支出の推移(過去5年間)  11 監理団体における評議員会等の設置状況及び公開の状況  12 指定管理者制度の導入状況  13 都区財政調整における算定方法の見直し等の一覧と影響額(平成24年度~平成28年度)
     14 課税標準額段階別納税義務者数(区市町村民税所得割)及び均等割のみを納める納税義務者数の推移(平成18年度~平成27年度)  15 消防団員の費用弁償の額と平均出動回数(23区・多摩地区別)  16 各局における大学との連携事業・連携協定の一覧  17 歳出予算性質別の推移(一般会計当初予算、過去10年間)  18 性質別歳出の推移(普通会計決算、平成11年度~平成26年度)  19 目的別普通建設事業費の推移(普通会計決算、過去3年間)  20 現在改築又は改修を行っている建築物一覧(財務局施工分)  21 財政指標の推移(普通会計決算、平成11年度~平成26年度)  22 平成28年度東京都予算の概要における子供の貧困対策680億円の内訳及び平成27年度当初予算との比較  23 中小企業受注実績(過去10年間)  24 平成26年度中小企業受注実績(局別)  25 低入札価格調査実績(過去5年間)  26 都債発行額の推移(一般会計、昭和60年度以降)  27 都債発行額及び都債現在高の推移(普通会計、昭和60年度以降)  28 都債償還額及び減債基金残高の推移(一般会計)  29 今後の都債償還の予定(一般会計、普通会計別)  30 公債費の推移(一般会計)  31 各種基金の年度別推移(平成24年度~平成28年度)  32 用地会計による用地取得の年度別推移(平成24年度~平成28年度)  33 250m2以上の未利用都有地の地域別・規模別件数、面積、活用状況及び今後の活用予定(各局)  34 土地信託一覧(信託目的、施設概要・規模、契約年月日、総事業費、受託者、入居率、信託配当の実績、公共的部門の入居状況)  35 土地信託ビルごとの支払利息・信託報酬の推移(平成2年度以降)  36 税制改正に伴う法人都民税及び法人事業税の影響額(平成13年度以降)  37 都税収入の推移(平成13年度以降)  38 資本金区分別法人数(利益法人数、欠損法人数)及び法人事業税額、外形標準課税額の推移(過去5年間)  39 資本金10億円以上の法人事業税業種別申告額(平成17年度以降)  40 法人事業税の税率の推移(決算額、標準税率、制限税率及び超過税率、昭和49年度以降)  41 法人事業税の収入額の推移(平成13年度以降)  42 法人都民税の税率及び収入額の推移(平成13年度以降)  43 固定資産税・都市計画税の各種軽減制度と影響額  44 私立学校経常費補助予算額の推移及び増減内訳(平成11年度以降)  45 私立学校(幼・小・中・高)における学級規模別学校数  46 私立学校教育費における公費負担と私費負担の推移(幼・小・中・高別、過去3年間)  47 私立幼稚園の保育料及び入園金への助成制度の実施状況(区市町村別)  48 平和関連事業(戦争犠牲者追悼、被爆者援護を含む)の事業費  49 東京都が支援するスポーツの世界大会の開催状況(都が支出した金額を含む。平成22年度以降)  50 首都高速道路(株)等への出資金、貸付金及びその償還額(過去20年間)  51 東京メトロからの株式配当の推移  52 生産緑地地区面積の推移(区部・多摩地域別、過去10年間)  53 都心3区、都心5区、23区の業務床面積の推移(平成11年度以降)  54 事務所・店舗などの床面積の推移(区部・多摩地域別、平成11年度以降)  55 高さ100m以上の大規模ビルの建設状況(平成20年度以降)  56 「センター・コア」内の主な開発計画と推定就業人口、推定自動車交通量  57 都心3区・都心10区、周辺区のマンション立地状況(平成10年度以降の推移)  58 東京外かく環状道路、首都高速中央環状線の概算事業費、残事業費及び進捗状況(都内区間)  59 市街地再開発事業助成の推移(平成13年度以降)  60 都施行再開発事業の地区別状況  61 都施行土地区画整理事業の地区別状況  62 都市公園等の比較(国内大都市)  63 都市公園・緑地の変化(過去10年間)  64 都市再生緊急整備地域内の主な開発計画の推移  65 都市再生緊急整備地域内の主な開発計画の件数、延べ面積  66 防災都市づくり推進計画に定める重点整備地域内の延焼遮断帯となる道路(都施工、区施工別)の整備状況(整備済み、整備中別の距離、進捗率)  67 木造住宅及びマンションに対する耐震改修助成の実績(件数、額、過去10年間)  68 公共住宅の供給実績  69 平成28年度に建替工事を予定している都営住宅団地  70 都営住宅の建設計画と実績(新規建替別・過去20年間)、管理戸数(募集停止戸数)  71 都営住宅の応募状況(過去5年間)  72 都営住宅使用料一般減免の状況(過去5年間)  73 都内区市町村が実施している家賃助成制度の状況  74 都営住宅用地を活用した民間事業  75 都営住宅建設事業に係る中小企業への工事発注実績(過去5年間)  76 横田基地の軍民共用化にかかわる経過と支出  77 横田基地、硫黄島、厚木基地の空母艦載機による離着陸訓練の実施状況の推移(過去10年間)  78 東京都に存する米軍基地に係る航空機事故の状況(過去10年間)  79 八ッ場ダム建設工事にかかわる関係局の財政負担(過去10年間)  80 区部及び多摩地域都市計画道路事業化計画の現況  81 臨海部広域幹線道路等の事業費  82 都内駅における可動式ホーム柵等の設置駅数及び設置計画のある駅数  83 風力発電、地熱発電、小水力発電、バイオマス発電、太陽光発電、太陽熱利用の普及状況  84 都関連施設における風力発電、太陽光発電、太陽熱利用、水力発電の導入状況  85 都内の二酸化炭素排出量の部門別推移(平成2年度以降)  86 都内の微小粒子状物質(PM2.5)の測定結果(月別、過去5年間)  87 大気汚染濃度の高い測定局上位10局の推移(平成11年度以降)  88 二酸化窒素及び浮遊粒子状物質濃度の全国上位10局の推移(過去5年間)  89 保全地域に係る公有化予算額、公有化面積及び管理費予算額の推移(1999年度以降)  90 横田基地周辺における騒音発生回数の推移(1999年度以降)  91 子どもの貧困率及びひとり親の子どもの貧困率について(過去5年間)  92 生活保護世帯及び児童養護施設退所者の大学進学率の推移(過去5年間)  93 東京都監察医務院における「一人暮らしの者」の検案数の推移(過去10年間)  94 認可保育所の定員、入所児童数及び待機児童数(平成27年4月・10月、新定義・旧定義)  95 認可保育所の施設数、定員の推移(1965年度以降)  96 認可保育所等の施設数、定員及び入所児童数の推移(過去5年間)  97 認可保育所の運営に対する補助実績の推移(過去5年間)  98 都道府県、政令指定都市及び児童相談所設置市における一時保護所数  99 2016年度予算における都民への主な経済的支援事業の一覧 100 福祉手当及び医療費助成等の予算と決算の推移(1999年度以降) 101 シルバーパス発行数の推移(区市町村別、費用負担別発行数と発行割合、過去5年間) 102 道府県・政令指定都市における高齢者への交通助成制度の実施状況 103 道府県・政令指定都市における高齢者医療費助成制度の実施状況 104 道府県・政令指定都市における高齢者の介護に着目した手当の実施状況 105 東京都後期高齢者医療広域連合における後期高齢者医療保険料の推移(均等割、所得割及び一人当たり平均額) 106 都道府県における一人当たりの国民健康保険料(税) 107 政令指定都市及び特別区における国民健康保険料(税)の均等割額(平成11年度以降) 108 政令指定都市における一人当たりの国民健康保険料(税)及び限度額(過去3年間) 109 特別区及び都内市町村の国民健康保険に対する支出金の推移(法定負担、法定外負担別、過去5年間) 110 介護給付費都負担金の推移(過去5年間) 111 介護保険財政の歳入・歳出、介護給付費準備基金の保有額の状況 112 特定入所者介護サービス費等(補足給付)受給者数及び件数(食費・居住(滞在)費、区市町村別) 113 要介護度別要介護(要支援)認定者数の推移(平成12年度以降)
    114 生計困難者に対する介護保険サービス利用者負担額軽減制度事業の区市町村別利用者数及び事業の実施状況 115 道府県・政令指定都市及び都内区市町村における介護保険料、利用料軽減の実施状況 116 特別養護老人ホームの施設数、定員数、入所者数、待機者・入所希望者数の推移(過去5年間) 117 都道府県における介護保険施設、認知症高齢者グループホームの定員数並びに高齢者人口及び要介護高齢者数に対する割合 118 各都道府県の地域密着型施設の事業所数及び施設数並びに定員数 119 都道府県、政令指定都市における特別養護老人ホームの常勤・非常勤別の看護・介護職員数及び定員数に対する割合 120 認知症高齢者グループホームの利用者負担の状況及び施設数、定員数 121 認知症高齢者グループホームの施設数・定員数及び整備予算額・決算額の推移(2000年度以降) 122 福祉施設設置に係る用地費助成・貸付けの実績 123 福祉施設設置に係る都有地、国有地貸付けの実績 124 大気汚染に係る国及び都の制度における認定患者数の推移(平成11年度以降) 125 東京都監察医務院における検案数のうち栄養失調による死亡者数の推移(過去10年間) 126 都内被保護世帯数、被保護人員及び保護率の推移(平成11年度以降) 127 都内各福祉事務所における現業員一人当たりの被保護世帯数 128 路上生活者対策施設の定員及び入所者数等の推移(過去3年間) 129 区市町村地域生活支援事業の実施状況 130 区市町村における障害者総合支援法に係る利用者負担独自軽減策の実施状況 131 都内区市町村の乳幼児、子ども医療費助成の実施状況(所得制限、窓口負担、対象年齢等) 132 児童福祉司一人当たりの担当件数の推移(過去10年間) 133 都道府県別人口10万人当たりの一般病床数 134 東京都中小企業振興対策審議会の開催状況及び検討テーマ 135 中小企業制度融資の目標と実績の推移(過去10年間) 136 新銀行東京の融資の推移(年度別、月別、規模別) 137 新銀行東京と東京都及び都監理団体との取引内容(中期経営計画以後) 138 新銀行東京の不良債権の状況(経年) 139 都内製造業の推移(2000年以降) 140 親会社が海外にある都内企業数の推移及び全国比(2006年以降) 141 都内小規模小売店の推移(1999年以降) 142 都の商店街振興施策の利用状況 143 過去10年間の雇用情勢 144 都内若年者の失業率、平均賃金 145 若者雇用対策の実績の推移(過去5年間) 146 都における雇用形態別の有業者数、平均賃金、求人及び就職状況 147 都立職業能力開発校の応募状況と職業紹介実績、就職率(過去5年間) 148 中央卸売市場における市場別業者別数の推移(10年間) 149 中央卸売市場における取引方法別割合及び取扱金額の推移 150 直轄事業負担金の推移 151 都心5区の交通渋滞発生状況 152 都市型水害の状況 153 骨格幹線・地域幹線道路の事業概要と財源内訳 154 道路橋梁費の整備費と維持補修費の補助単独別内訳 155 都立の都市公園整備の推移(過去10年間、区部・多摩別) 156 臨海関係第三セクターに係る金融機関業態別融資残高の推移(過去5年間、企業別) 157 臨海関係第三セクタービルの入居率(過去5年間) 158 臨海副都心開発における諸会計間及び第三セクターの相互関係並びに事業費(平成28年度予算) 159 臨海副都心開発における諸会計間及び第三セクターの相互関係並びに事業費(昭和63年度~平成28年度累計) 160 臨海副都心開発関連予算・決算の推移 161 臨海副都心における土地の長期貸付及び売却等の推移(1990年度以降) 162 臨海副都心における進出事業者からの地代収入一覧 163 政令指定都市との上下水道料金比較及び料金減免の実施状況 164 上下水道事業における9億円を超える工事契約(過去5年間) 165 上下水道料金の減免実績の推移 166 水道料金滞納状況及び給水停止件数の推移(平成11年度~平成26年度) 167 上下水道の施設、管路の耐震化状況 168 都内区市町村立小中学校の普通教室及び特別教室への冷房設備設置状況(区部、市町村別) 169 都立及び区市町村立学校の給食調理方式の状況(設置主体別) 170 都内の就学援助受給者の推移及び各区市の就学援助対象項目・受給資格・基準 171 公立学校教育費における公費負担と私費負担の推移(過去3年間) 172 都内小・中学校及び都立高校、特別支援学校における図書購入費の推移(過去10年間) 173 都立及び区市町村立学校における児童・生徒からのLBGTに係る相談等の件数・内容 174 ゾーン30の整備地区の一覧(区部・市町村別) 175 主な消防力現有数の年度別推移(過去5年間) 176 特別区消防団分団本部施設の現況 177 高層建築物(21階以上、33階以上)の棟数の推移(平成14年度以降) ──────────────────────────────────────                        斉 藤 あつし 君 (民 主)   1 平成26年度私立学校経常費補助交付額学校別一覧   2 私立学校経常費補助各割単価の推移(過去10年間)   3 平成27年度私立学校経常費補助各割単価及び特別補助単価   4 私立高等学校(全日制)学年別生徒数・学級数の推移(過去10年間)   5 私立中学・高等学校(全日制)の学則定員・実員の推移(過去10年間)   6 私立高等学校(全日制)一学級当たり生徒数及び学級規模別学校数・学級数   7 私立高等学校(全日制)居住地別・学年別生徒数   8 私立学校経常費補助予算額の推移及び増減内訳(過去10年間)   9 都立高校の日本語を母語としない生徒数・外国人生徒数(全日制・定時制別、国別、言語別、年齢別)(過去10年間)  10 都立定時制高校の年齢別生徒分布  11 都内高年齢者の年齢別就業率  12 都内高年齢者の就業率の高い業種  13 都内特別養護老人ホームの待機者数(自治体別)  14 救急車要請通報における同一人物の頻回通報の事例 ──────────────────────────────────────                        石 川 良 一 君 (維 党)   1 グランドデザイン検討会第1回から4回までの配布資料と議事録   2 東京都都市計画審議会、都市づくり調査特別委員会第1回以降の配布資料、議事録   3 1945年以降の我が国と東京都の出生率の推移   4 1945年以降の我が国と東京都の結婚した夫婦から生まれた子供の数の推移   5 1945年以降の我が国と東京都の非嫡出子の出生率の推移   6 1945年以降の我が国と東京都の未婚率の推移   7 舛添知事就任以降の都の婚活支援事業の年度ごとの内容   8 坂浜平尾土地区画整理事業の管理する先行買収用地の、財務局、都市整備局、建設局所管の用地面積と位置図   9 認可保育園、無認可保育園、認証保育所、認定こども園、幼稚園、保育ママ、自宅での保育の、満3歳児一人に一年間で投入される保育運営費の施設ごとの、公費の平均金額、保護者の負担する子供一人当たりの平均保育料の金額 ──────────────────────────────────────                        田 中 朝 子 君 (維 党)   1 保育園待機児童の定義(東京都各自治体、平成27年4月時点)   2 認可保育園の延長の資格条件(東京都各自治体、平成27年4月時点)   3 認可外保育園利用者への保育料補助の条件、対象、金額(東京都各自治体、平成27年4月時点)   4 認可外保育園(認証含む)から認可保育園へ移行した保育園の数(東京都各自治体、平成27年4月時点)
      5 認可保育園 入園者数(東京都各自治体、平成27年4月時点)   6 認証保育園 入園者数(東京都各自治体、平成27年4月時点)   7 認可外保育園 入園者数(東京都各自治体、平成27年4月時点)   8 いずれにも入園できなかった数(東京都各自治体、平成27年4月時点) ──────────────────────────────────────                        上 田 令 子 君 (か が)   1 監理団体における経営評価、役員業績評価(過去3年間)   2 監理団体・報告団体の職員構成について(できるだけ直近のもの)、職員の総数と以下の人員につき、それぞれ何名いるかの内訳   (1)東京都OB、OG   (2)現役出向(東京都職員が一旦退職して就職している場合を含む)   (3)プロパー(直接採用)職員   (4)2年以内に工事を請け負った民間企業に退職後何人就職したか(過去3年分)   (5)団体別職員定数及び充足率   (6)採用区分別の職員定数及び実数(過去5年)   3 東京都の障がい者雇用人数、雇用率(局別・任用区分別に過去5年)   4 障がい者の採用試験に際しての合理的配慮の考え方と措置状況   5 障がい者雇用に際しての合理的配慮の考え方と措置状況   6 「東京都ひきこもりサポートネット」相談実績と内容内訳、緊急時対応と支援機関(公的・民間いずれも含む)への紹介実績(相談実績は過去5年間を折れ線グラフで)   7 電子情報処理「システムアセスメント制度」に基づいたシステム評価結果(過去3年)   8 多摩26市への総合交付金の額の推移、年度ごとの総額とその内訳、算出根拠、人口一人当たりの額(過去5年分と来年度見込み)   9 東京ウィメンズプラザ相談件数と内訳(DV、ストーカー、虐待などの詳細)、関連機関やシェルターなど救済に結びつけた対応実績及び配偶者暴力対策区市町村支援事業実績(過去3年)  10 加害者更生プログラムの実施実績及び成果がわかるもの  11 文化施設事業各館別の収支状況と事業実績(過去3年)  12 都内における生産緑地耕作放棄地の把握状況(直近のもの)  13 生産緑地への税の減免の基本的な考え方と歳入への影響額の概算  14 都営住宅の入居率、平均年齢、平均居住年数、滞納率(過去3年)  15 浅川清流環境組合に対する都の支援内容と今後の見通し(環境アセスメント及び技術的支援も含む)  16 都が監督する社会福祉法人の行政処分、文書指導の件数と種類別内訳(過去3年)  17 西東京市の障がい者通所施設「たんぽぽ」に関する、苦情・相談内容を種類別に整理した内訳と処分・指導の履歴及び西東京市との連携内容(平成14年度以降から直近まで)  18 区市町村の認証保育所利用者への補助制度一覧(直近・所得制限の有無とその額を含む)  19 区市町村別待機児童一覧及び都における平均待機期間(過去3年分)  20 子どもの権利保障に関する都と連携した啓発事業の区市町村別一覧  21 学童クラブ設置促進事業における19時以降エリア別実施率(過去5年分)  22 都外の都所管の障がい者入所施設の設置者・受入種別・設置年月・措置者数・職員数一覧(直近)  23 都所管の児童養護施設の設置者・受入種別・設置年月・措置者数・職員数一覧(都内と都外)  24 都所管の各児童養護施設に対する指導の状況・事由別件数(過去3年分)  25 東京都全体の就業に結び付けた障がい者就労支援事業の実績(過去3年分)  26 中小企業制度融資の保証債務残高、代位弁済、損失補助の件数及び金額(過去5年)  27 都内における水害発生状況(過去5年)と今後起こり得る被害想定  28 いじめ防止対策推進条例及びいじめ防止計画の実施状況  29 体罰による懲戒処分者の人数と内訳及び事件の概要(平成26年度~直近)  30 各特別支援学校の学年別定数と実数及び就学相談件数(過去3年分)  31 公立小中学校、都立高校から警察への児童・生徒に係る通報(被害と加害別)件数(過去3年分)  32 各執行機関に対する行政不服審査請求(異議申立て・審査請求・再審査請求)の所管局別件数(過去5年分)  33 総務局人権部による人権啓発活動の取組状況、事業別予算額(昨年度と今年度の実績と来年度見込み分)  34 知事の海外出張の訪問先・期間・目的・主な面会相手及びその経費(就任以降現在まで)  35 外務長及び都市外交担当部長の国内外の出張状況と同行者について(設置以降現在まで)  36 平成27年2月10日に、都庁を訪れたツィリル・コザチェフスキ駐日ポーランド大使と知事が面会した際の席次表  37 延遼館構想に係る調査の実施結果及び経費内訳  38 延遼館構想の今後の取組内容及び経費の年度別見通し  39 東京都教育委員会の審議会等附属機関の委員数、開催状況(過去3年分)  40 動物取扱業者及び動物取扱責任者への業務形態別・事由別の命令と行政指導の実施実績(過去3年分)  41 都における各種事業に対する乗数効果の考え方  42 都が支出した公務員人件費、公共事業費、教育費の乗数効果想定(過去10年分)  43 職員募集に際し「電話対応」を職務内容としているものの任用者別募集人数(直近のもの)  44 燃料保管委託調査員の人数及び業務の内容、状況、成果の分かるもの(過去3年分)  45 人事委員会への苦情相談・措置要求の状況(過去3年分・男女別)  46 東京都労働委員会委員の委員種別業務状況(過去3年分)  47 執行機関別の紛失や誤廃棄等不適切な公文書管理・事故の状況(保存年限中の誤廃棄・保存年限設定前の廃棄の件数過去3年分)  48 18歳選挙権実施に向けた啓発活動につき、選挙管理委員会、教育委員会、生活文化局(私立学校担当部門及び広報広聴部門)の連携に向けた取組状況・体制が分かるもの  49 都内における都市計画道路に係る住民投票の実施状況とその後の都の対応  50 都市計画道路の優先整備路線整備(第四次事業化計画)の路線別進捗状況、都が把握している住民団体の有無(賛否を含む)、区市町村・関係住民との協議実績(過去3年分・年別回数)  51 都市計画道路3・4・1号線と3・4・11号線に関して、地元市・関係団体・住民への対応経過と今後の見通しが分かるもの  52 都立公園・都施設におけるプレイパークの実施状況(頻度)と実施主体  53 都による土地の購入状況(過去3年分)  54 都有地の売却・等価交換の件数とその事由並びに金額(過去3年分)  55 多摩ニュータウン開発における超過債務の処理の状況・確定した都民負担額  56 身体障害者手帳・愛の手帳・精神障害者保健福祉手帳の障がい等級別・事由別返納年齢(過去3年分)  57 生活指導指針策定状況調べ(主な内容が分かるもの)  58 オリンピック・パラリンピック準備局の管理職の前職職名・前職在任期間  59 昨年10月の国勢調査実施の状況  60 国勢調査員・指導員による虐待通報・告訴告発の件数(事由別)  61 教員免許失効と無免許授業の回数と補講を受けざるを得なかった児童生徒数  62 住宅扶助切り下げの影響額・世帯数・うち都営住宅居住世帯数とその比率  63 市町別調定水量及び地下水揚水量(5年前と直近のもの)  64 水系別使用許可量及び取水量・融通量等の実績(直近のもの)  65 浄水・地下水の単価が比較できるもの(5年前と直近のもの)  66 東京都病児・病後児保育施設の施設種別と受入れ実績(直近のもの)  67 家庭保育事業(保育ママ制度)の区市町村別実施状況及び過去5年の家庭的保育者数と保育児童数、直近の保護者負担額  68 18歳未満の自立支援医療費(精神通院)支給認定申請者数、自立支援医療受給者(過去5年分・原因疾病種別内訳)  69 18歳未満の自立支援医療費(精神通院)の公費負担額及び自己負担額、支払項目別内訳と構成比(過去5年分・原因疾病種別内訳)  70 児童養護施設入所者の自立支援医療受給者(過去5年分・原因疾病種別内訳)  71 介護保険に係る区市町村別、要介護度・要支援度別認定者数及び65歳以上人口とそれに占める比率、区部計、市部計、町村部計、総計(直近のもの)  72 区市町村別第一号介護保険料、介護保険特別会計額及び一般会計からの繰入額・人口当たり繰入額、区部計、市部計、町村部計、総計(直近のもの)  73 区市町村別介護予防・日常生活支援総合事業、包括的支援事業実施状況(直近のもの)  74 ホームページ運用に係る費用の各局過去5年分の推移及び過去5年間の委託業者とその選定方法  75 都における社会保障関係費の自然増と圧縮額の過去10年分、今後の想定10年分  76 官民連携インフラファンドについて運用報告書等、創設時から直近までの運用状況が分かるもの(月次報告を含む)  77 官民連携再生可能エネルギーファンドについて運用報告書等、創設時から直近までの運用状況が分かるもの(月次報告を含む)  78 官民連携福祉貢献インフラファンドについて運用報告書等、創設時から直近までの運用状況が分かるもの(月次報告を含む)...